透明人間たちのひとりごと

夢の国のアリスとテレス

 ボクの 「物語」 の主人公は間違いなく自分自身です。

 でも、いくら主役だからといってもわがままは通りません。

 自分の思うままに生きようとすれば大なり小なりの障害と
周囲からの少なからざる抵抗は覚悟しなくてはなりません。

 抵抗に及ぼす摩擦係数や負荷率の値が、障害となる壁や
生け垣などの幅や高さに比例することは否定できませんが、
実は、もっとも強大で、逆らいにくい対象は、不特定多数の
アカの他人 ―― いわゆるエキストラたちの存在なのです。

 仮にボクが、1号 さんの子供で、就職氷河期の時代に
卒業年度を迎えた悲運から希望する職業には恵まれずに
やむなく 透明人間 (エイドマン) 5号 として父親が
経営するジャパンエイド (JAPAN-AID) という
会社の乗組員(エイドクルー)になったとします。

 ここでは、ある無料の情報誌(フリーペーパー)の配達と
それを掲出するためのラックの設置場所の開発責任者で
あり、同時に無料情報誌の広告および宣伝を担当している
ものとしましょう。

 また、誰かの恋人であり、誰かの弟であって、兄でもある
とか、余暇にバンドをやっていてボーカルとパーカッションの
プレイヤーであるとか …

 それらはすべて、ボクが演じるところの 役割 のひとつ
ひとつに過ぎません。

 1号 さんの子供としての立場上それなりの頑張りは必要
だし、開発担当責任者としてもそれらしい努力を重ねる責任
があります。

 何百キロも離れた地にいる恋人とのあいだは遠距離恋愛
が進行中であり、兄としてまた弟として振舞い、ロックバンド
では担わされたパートをボーカルとして、そしてプレーヤーと
しても過不足なく演じているとしましょう。

 そのすべてが、ただのポーズあろうとなかろうと nose4ase2

 つまり現実の世界では、それぞれの役割に準じた《らしさ》 
があって、社長はいかにも社長らしく、部長は部長らしく …、
そして、男には男らしさが、女には女らしさが求められ、それ
相応にそれらしく振舞うことが強要されるのです。

 不特定多数のアカの他人たちという世間の目によって …。

 その意味からは「人生はロールプレイング」そのものだし、
分担された役割から逸脱する行為や行動にはペナルティー
が課せられ、その前段階として摩擦や抵抗があるわけです。

 《それらしさ》とは、ヒエラルキー(階層・階級的組織構造)だ
とも言い換えられます。

 世間の人たちが気にしてやまないのは、氏素性や出身地と
いった俗に言う身分に属することや、学歴、資格、勤め先
、年収などの処遇に関する内容です。

 「求む! 日本国首相」 のなかで 1号 さんが言っていた
ように「二人以上で政治が始まり三人寄れば派閥ができる」
とは、かつてアリストテレスが「人はポリス的な動物である
と定義したように社会的な共同体としての「群れ」のなかでの
関係においてのことです。

 社会や政治といっても、結局は 役割分担 とそれを
補強し補完する意味での上下関係で構成されている
「群れ」 のなかでの話です。

 そのなかで自分とは、分断されて孤立化した個体としての
「ボク」 のことです。

 ボクが、ボクの「物語」 を演出し演技しているのに脇役
やエキストラたちのアドリブ的な脚色で、セリフも配役も場合
によっては舞台装置や背景やBGMまで変更されるのです。

 ボクは、ボクの 「成功物語」 を自分自身で書き上げ
、そのように演じたいのです。

 自己実現するために綴ったオリジナルなシナリオです。

 でも、決まっていつも脚本が変わり、演出も演技も変更を
余儀なくされるのです。

 これが RPG(ロール・プレイング・ゲーム)ならリセットして
最初からやり直せますが、いくら思うに任せないからといって
リセットはできませんし、ゲームオーバーも御免です。

 現代は、

 価値観が多様化したグルーバルな時代だといいますが、
もともと価値観は人の数だけあるのです。

 同じ価値観を共有するとは、ある角度や切り口から見た
場合に同じように感じるという程度でイデオロギーや宗教観
が似ていても完全に一致することはありません。

 そこに誤解のもとが生じ、勘違いの種が芽吹き、行き違い
の枝分かれを起こすのです。

 「物語」 の主人公が自分であっても、共通の価値観を
脇役たちと常に共有することは不可能です。

 同じ台本を片手にリハーサルが出来ないままにそれぞれ
「物語」 が進行するなかで、なんらかの齟齬(そご)を
来たせば、物を言うのは力関係です。

 現実の群れの世界は、所詮、「力学」 の世界です。

 力関係がそのまま人間関係そのものに反映されます。
 
 たとえ

 差別化され孤立化して、孤独の淵に追いやられたとしても
牙を剥(む)けるような一匹狼でいられる覚悟と自信と実力
があるのならともかくも、ただの凡人でしかないボクには、
他の誰かから必要とされる存在としての自分という役割に、
せめてもの生きる価値を見出すという程度にまで、今や …

 ボク「成功物語」スケール は見る見る
うちに縮小してしまったのです。  (あぁ、情けねぇ nose9ase

 こうして …、

 ボクの綴ったシナリオは、日々刻々と加筆修正され
てゆくなかで、思い描いていたような スペクタクル
シーンハードボイルドアクション もないままに、
ちょっとした泣き笑いの毎日と、ふと訪れるロマンチック
ささやかな幸せの夜に、決して、妥協したわけではないけど
埋没してゆくのです。

 
 「それでいいのだ」  えっ! バカボンのパパeq

  … 赤塚不二夫先生 の声がする。

  「何を寝言を言ってんだ。  目を覚ませ 5号!

 デスクについた涎(ヨダレ)の染みが、昼休みの終わりを
告げていました。

 なぁ~んだ。 夢だったのかquestion2 ボク1号 さんの
息子であるわけがないし、そもそも恋人もいない。

  だいたいボクの人生ストーリーは、もっと、どでかいもの
だし … それにしては、この親和感はなんだろうquestion2

 目覚めたときの妙な違和感はなんだったんだろうquestion2

   q 夢を見ていたのは現実のボク だったの question 
   q それとも ボク がいま夢のなかにいるの question

    いったい、どっちがどっちの夢を見ていたのeq


  ――― 人間は政治的な動物であると言った ―――

 政治学の始祖 アリストテレス が見つけたものは

 不思議の国 じゃなくて、鏡の国 でもなくて、

 夢の国アリステレス だったんだ。

 コイツ まだ、寝ぼけてるよ! 

コメント一覧

むひ太郎
案内にあったサイトが見つからないけど、もうないんだね。

つぶれたのかな? だけど、ここは生きてるわけで、廃刊になったんだな。 きっと!

それでも、記事はなにげに面白かったと思うよ!
透明人間5号
グレゴール、いや違う。 グレーゴルでもなく…
え~と、グレゴルー・ザムザさん でしたね。

それと、ジョニー・Dさん でしょうか?

コメント有難うございます。

来月より、静岡の無料中古車情報誌 カーゲットの発行となります。
ボクが設置と配達の担当となりますので、宜しくお願いします。

HPサイト http://www4.ocn.ne.jp/~carget/
【掲示板】 http://6417.teacup.com/carget/bbs

皆様も、是非のぞいて見て下さい。
グレゴルー・ザムザ
みんな目覚めない夢の中にいるのさ。

ベッドの上で、毒芋虫になっている自分の姿を見たくないから…
J・デップ
アリス・イン・ワンダーランドだよ!
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「たわごと」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事