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土塊も襤褸も空へ昇り行く:北村虻曳

随想・定型短詩(短歌・俳句・川柳)・写真
2013/11/11開設

ユーラシアの空から (詩)

2013-12-16 | 
ユーラシアの空から

幾時間も飛行機の窓ガラスに額をつけて外を見続けている.
畑と森の続くポーランドはヴェンドレヴォの村を離れ,
ワルシャワへ入り,ウィーンを経由して大阪へ向かっている.

ウラル山脈を越えて真夜中となった.
突然,北極のやや右手の地平線から,
錆びて歪んだ青龍刀のような形の巨大な炎が上がった.
三日月を思ったが,上下非対称である.
なにより北の空に月があるはずがない.

やがて,それは地平線から浮き上がり濃密な大気から離脱した.
そして対称性を回復し,やはり細い月であると主張した.
そうだ,私はいまハワイの中天に懸かる月を,
地球の肩越しに見ている.
ハワイの人々には眩しくて見えない三日月を.

北極線近辺,高度一万五千メートル,北の窓にも月は現れる.

(2005)


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