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二時間サスペンスドラマ

「ドラマの視点」です!

金曜エンターティメント 妻は多重人格者

2007-06-26 | 二時間サスペンス
一人の人間の行動や思考の中に「本人以外の人格」が現れ、本人の意識とは別の判断や動作を行なうという、いわゆる「多重人格」、病理学では「解離性同一障害」と呼ばれる「病状」を持つ女性とその状態を受けとめ現実的な解決を模索する家族や医師などの苦闘を描いた作品。

物語は、努力家で愛妻家でもある平凡な美術教師、真司(高嶋政伸)が受けた一本の電話から始まります。消費者金融会社からの催促の電話。真司はそのときはじめて妻に秘密があることを知ります。妻(亜希子/松下由樹)はついさきん「起業家」として動き始めたばかりでした。

仕事のやりくりで五万円ほど借りたということですが、それ以外にも催促があって……どうやら多額の借り入れを行なっているようす。真司は妻を問い詰めますが、どの店でいくらぐらい借りたのかまったく記憶がないということ。

真司はそんな妻をなじり、怒りをあらわにしますが、「普段の妻」と「借り入れを平気でする妻」がどうしても同じ人間だとも思えず……専門の医師に相談すると、「多重人格」であると指摘されます。

どうやら妻には、「本人を攻め立てる人格」と「本人を守ろうとする人格」がそれぞれ二人ずつ「合計四人」、本人を含めて「合計五人」の人格が存在し、「本人を攻める」ほうの二人が亜希子の意思を占領し、彼らの思惑によって「亜希子が動かされ……」それによって借金が増え続けたという病状(理論)。

実話だということですが、この部分はなかなか理解されにくいところかも。しかしながらくるくると人格が憑依する松下由樹の演技には圧倒されるところも。「合計四人」の人格とその背景が明らかになるにつけ、亜希子の口調はしだいに真実味を帯び、夫とその家族が亜希子と向かい合うことでさらに緊迫感が広がります。

自分の中に存在する「四人」を動かしたのは「亜希子本人」の強い意志でした。亜希子自信が変わることで、「四人」の恨みが少しずつ緩み、最後には消失、亜希子はホントウの人格を取り戻すという結末。

それまで妻を非難していた夫が、妻の病状を知るや態度が一転。妻の擁護に回り、家族を説得し、TV出演で病状を告白するという積極的な行動を見せます。家族がひとつとなって亜希子を守ろうとする姿勢がドラマに一縷の光明をともしています。

内容はかなり現実離れしていますが、このような不可解な病気で苦しむ家族がいたことは確か。「信じるか、信じないかということではない。これは現実なんだ」と叫ぶ夫に、混沌とした時代での勇気を見た気がしたが……。(2006年3月放送/ドラマの視点)

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