HPもパブリッククラウドを始めました。hpcloud.com日本でも展開するのでしょうか??
by a2z_solution on Twitter
クラウドストレージをファイルサーバとして直接あるいは間接的に使用できる製品が出そろってきました。StoreSimleやGladinetなどが有名です。それらの製品を比較検討する場合に、どういう機能がファイルサーバに必要なのか考えてみました。
(1) パフォーマンス
従来社内ネットワークを介して接続されていたファイルサーバはインターネットを使用した接続になります。利用者としてはパフォーマンスが最も気になるところだと思います。ファイルを読み込んだり、保存するのに砂時計がくるくる回転するのを待つことはストレスの何物でもありません。
クラウドファイルサーバの機能を提供する製品はキャッシュ機能を持ったものを選ぶべきです。以前、テープ装置を使った階層型ストレージが流行した時代もありましたが、同じようにローカルストレージに頻繁に使用するデータをキャッシュし、ファイルの読み書きを高速にする必要があります。ただし、バックアップの点から考えるとなるべく早くデータはクラウドストレージにコピーされるべきです。頻繁に利用するデータはローカルにも持っておくことでアクセスを高速にさせ、データ保持のために完全なデータをクラウドストレージに持ちます。
データ転送もなるべく高速になるように考えられているべきです。特に、導入時には10TBを超えるデータをクラウドストレージにアップロードする必要があるかもしれません。クラウドストレージへのアクセスはREST(HTTP)を使用するためセッションを複数持つことができます。ファイルの分割や、ファイル単位で複数のセッションを同時に使用しデータをアップロードすることで転送速度を上げることができます。
また、更新データのアップロードにはファイルすべてを再アップロードせずに、更新されたブロックだけをアップロードできるような機能があると望ましいです。
(2) データの暗号化
クラウドストレージは安全です。しかし、何が起こるかはわかりません。PCのディスクを暗号化するのと同じように、クラウドストレージのデータも暗号化できると安心です。同じようにインターネットを通るデータもhttpsの利用で暗号化し万が一のデータ漏えいから防ぐ必要があります。
データを暗号化しなくても元のデータを分割し、分割したデータを複数のデータセンターに保存するサービスを提供している企業もあります。この方法であれば、あるデータセンターからデータが漏えいしたとしても元のデータを復元することはできないため安全性は高いといえます。
(3) 互換性
クラウドストレージの導入により利用者は使い勝手が悪くなることは避けなければなりません。できれば、今までと同じようにエクスプローラにネットワークドライブとしてマウントして利用したいものです。そして、エクスプローラの中からは自由にフォルダを何階層も作り、アクセス権制御により他の人からは自分のフォルダが見えないようにすると同時に、共有フォルダではメンバー間でデータを共有できる必要があります。
実は、クラウドストレージはフラットなファイルです。これを階層化させて見せるためには、疑似的に階層化させる必要があります。また、ファイルを共有させるためには変更されたデータは即座にクラウドストレージに反映させる必要があります。同時に、他の人が変更したデータはローカルキャッシュから削除するようなことも必要です。これらのことはファイルサーバを残し、ストレージ機能だけをクラウドストレージを使用する場合には比較的容易ですが、直接クライアントからクラウドストレージを使用する製品の場合は難しい機能です。
いつくかのファイルサーバに求められる機能を考えてみました。ファイルサーバの利用は個人のドキュメントだけではなく、バックアップ用途やファイル共有など様々な場面で使用されるため、これがすべてあてはまるとは思えません。検討される場合には、これらのことを頭の片隅に置いてみていただけると幸いです。
数年前までフィルサーバ統合を行う企業が多くありました。各部門で保持していたファイルサーバを集約し、データセンターで大型ストレージを導入し社員のファイルサーバとしたのです。個人のデータはIT管理者により保護され、各部門のPCがわかる人がボランティアで行っていたファイルサーバ管理も必要なくなります。
今、このデータセンターに設置された統合ファイルサーバをクラウドに移行しようと考えるIT Proが増えています。ファイルサーバの管理は日常のデータバックアップ/リストアの作業に加え、高価なストレージの維持費、データセンターコストも無視できません。Amazon S3やWindows Azure ストレージをファイルサーバとするためにはどのようなことに注意する必要があるのでしょうか。私なりに考えてみました。
クラウドストレージを構築するには大きく2つの方法があります。
(1) ファイルサーバをデータセンターに残し、ストレージ機能だけをクラウドストレージを利用する
Windows Serverなどサーバを従来通りデータセンターに設置し、このサーバが利用するストレージ領域にクラウドストレージを利用する方法です。クライアントからは従来通り、このサーバに対してネットワークドライブを割り当てデータアクセスを行いますが、実態としてのストレージはクラウド上にあります。この方式が優れているのは、ディレクトリーサービスやファイル共有機能は従来と同じものを使用できる点です。一方で、データセンターには小規模ですがサーバは残ってしまいます。
(2) クライアントから直接クラウドストレージを利用する
クラウドストレージは一般的にREST (Http)でアクセスを行います。したがって、エクスプローラからクラウドストレージに対してネットワークドライブを割り当てて使用することはできません。そこに、何かしらのソフトウェアが必要になります。データセンターからはファイルサーバのサーバ、ストレージはなくなり、利用者はインターネットさせ接続されていれば世界中どこからでも自分のフォルダに接続できるようになります。しかし、現実には未だ従来のファイルサーバと全く同じ機能を提供している製品はありません。
明日は、ファイルサーバをストレージに構築するためにはどのような機能を実装しておくべきなのか考えてみたいと思います。