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田舎ぐらし(119)

ー 知らない人にあいさつをしてはいけません?!ー

 

 ウォーキングをしていると、よく向こうから歩いてくる人と行き会う。田舎ぐらしを始めて最初のうちはほとんどの人に「こんにちは」と声をかけていた。歩きながら軽く「こんにちは」とやるのである。

 今、人を選んでいる。
以前笑顔で「こんにちは」と返してくれた人には必ず言う。言わないと決めている人がいる。それは視線も合わせず、口をへの字に曲げて通り過ぎる人。

たまたま目が合った人には会釈をする。

 なぜ知らない人にあいさつをするのかというと、ひとつには歳を重ねて肩の力が抜けてきたからだと思う。それに挨拶が返ってくると気分がいい。

 概して、日本人より外国人の方が屈託がない。前に日光に行った折、神社の石段を下りてきた米国人らしい若者に笑顔で “ ハーイ ” と声をかけられたことがある。こちらも思わず日本語で “ は~い ” と返した。

 日本では子どもに知らない人と話をしてはいけませんなどと教える。しかしこれは甚だ具合の悪いことになる。赤ん坊が最初に顔を見るのは母親だ。すると、母親だけが知っている人。その後顔を見るのは知らない人、話をしてはいけない人になる。一生母親とだけ話をすればいいことになる。

 これは屁理屈である。しかし、三つ子の魂百まで、案外こういうしつけが大人になっても挨拶ができない人間をつくっているのかもしれない。年頃になって、好きな女(男)に言い寄ることもできなくなると思うのは考え過ぎだろうか。

 田舎に来て、野菜の育て方はたまたま路傍で畑をやっていた知らない人に教わった。屋根の材料も現場でタバコを吸っていた知らない職人に教えてもらった。どちらも「こんにちは」から始まった。袖振り合うも他生の縁、もし向こうがきょとんとしたらそれだけのご縁だと思えばいい。

 仮に自分がこれから会社を始めるとしたら、知らない人に挨拶も出来ないような類いは採用しない。


 

 


 
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