建築リフォームの会社を立ち上げたある人の話です。地場の大手住宅メーカーに勤務して20年、設計士の肩書きを生かして独立することになりました。
とはいっても当初はレンタルオフィスを都心に借りて、携帯電話の番号を名刺に刷り込んで、挨拶回りで忙しくしていました。
三ヶ月後に再び彼と会ったところ、レンタルオフィスでは仕事にならない、とこぼすようになりました。
どうしたのか、と聞くと「都心というロケーション」だから仕事が来ると思ったら、全然音沙汰なし、困った…というわけです。それからまた数ヶ月後、再会した彼から新しい名刺を受け取りました。
彼曰く「自宅を事務所にして、固定電話を引いた」というのです。結果はぽつぽつ仕事が来始めている、とのことで、以前とは違い、やる気に満ちた笑顔が非常に印象的でした。
彼の場合、キャリアも人脈もあったことで慢心していたのかもしれません。ですが、個人事務所として都心でオフィスを構えるよりも、会社を登記して固定電話を引くことの方が、よほど他人からは信頼されることがわかったようです。
会社の形は有限会社(旧法)でしたが、法的に代表と名乗ることができるため、以前の人脈がようやく生かせるようになったのです。
現在、有限会社は全て株式会社に一本化されており、資本金が1円でスタートすることが可能となりました。株式会社のメリットはなんといっても「出資」という制度から成り立つことが上げられます。
むろん、一人で500万円を出資しても構わないのですが、何人かで会社を作るときには、出資持分を決めることもできます。
例えば、設立当初500万円の資本金に決め、Aさんが300万円、Bさんが100万円、Cさんも100万円を出資する、と決めます。この場合出資持分に応じて代表取締役がAさん、とします。
金融機関から借り入れをして、会社設立に必要な備品をそろえ、早速営業活動が始まりますが、Aさんは300万円分の有限責任を追うことになります。
この有限責任が、株式会社の特徴といってもよいでしょう。会社設立のメリットとは、個人の資産と会社の資産が完全に分離され、また負債も完全に分離している、ということです。
ですから、代表取締役といえども出資分の責任だけを負えばよいため、設立に手続きが掛かっても登記件数は全ての法人でトップなのです。
もちろん、経営者個人が会社に「貸し出し」、あるいは会社が経営者に「貸し付け」を行う際は、会計上「根拠のある」やり方で行うことが求められます。
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