マニアやっていると「なんで〇〇を集め始めたんですか!」「よく〇〇に注目しましたね!」などなど、疑問と驚きの声をいただきます。
初期に作ったシャッター写真集。テーマが決定後もしっかり悩み、今に向けて走ってきました。
自分でも「なんででしょうね?」って感じです。
シャッターを撮る人になるとは全然想像していませんでした。
昔の自分に会いに行ったらきっと面食らうでしょう。
逆にシャッター撮る前の自分の内面ってどんどん思い出せなくなっています。
そんなにのめり込んでいる自覚はなかったのですが、もうすっかりシャッター含めた「自分」のようです。
無理やりシャッターを引き抜こうとしたら多分全身に激痛が走る。
まだ25歳の若造ですが、こうして歳を重ねて出会いを重ねて、元の自分が記憶の隅に追いやられていくんだなぁってつくづく思います。
「マニアの人って、マニアになる前は何だったのでしょうか?」
そう好奇心を抱く気持ちが、今になり本当にわかります。
昔は振り返ることができるうちに振り返るに限ります。
マニア前の自分について考えてみます。
ってことで長い長い自分語りが始まるので興味ある方だけご覧いただけると嬉しいです!
幼少期から高校まで
〜飽き性ながら、マニアの気配も。〜
小っ恥ずかしい記憶ばかりなのでちょこちょこっと。
本当に気まぐれな子どもでした。
現実的な職業でいうと歌手やら奏者やら科学者やら弁護士やら小説家やら画家やらデザイナーやら、とにかくいろんなものになりたがったので家族は大変だったろうなと思います。
こんな人間が一つの対象を追い続けるマニアになるだなんて誠に信じられない。
しかし、少しだけマニアの気がある思い出もありました。
小学生の頃にデジカメを譲り受けて以来、数年間にわたって空の写真ばかりを撮り続けたこと。
大学に入ってから当時のメモリースティックを見る機会がありましたが想像以上にストイックでした。
一切建物や電線などが映り込んでいない空と雲のみのデータがそこにありました。
きっと、プレビュー画面に空以外のものが混じってしまうことを一切許さなかったのでしょう。
空の写真群は今の自分の原点だったかもしれません。
今の作品に通じる「ルールを設けての撮影」はその頃から無意識ながら好きでやっていたことでした。
大学在学中
〜多分野を楽しみ、恩師と出会う〜
デザイナーになりたい!と意気込んで美術大学に入学。
初期段階で「美大生っぽくない真面目すぎる学生」と言われて戸惑ったこともあるけれど、本心から美大生活を満喫していました。
美大の世界は自分が思っていたところと良い意味で随分と違っていました。
自分が入った学科は「デザイン」とついていることからデザイナーの先生方が大勢いらっしゃるものだとばかり思っていました。
しかし入ってみたら情報工学に特化した先生がいたり写真家の先生がいたり。
在学中は一般的にイメージされるデザイン領域にとどまらない多彩な授業を楽しんでいました。
そして、この「写真家の先生」というのが自分のマニア活動の直接的なきっかけです。
「リサーチエンタテインメント」という考え方に基づき、特定の被写体を調査・研究しながら、多くの人が楽しめる写真作品を作ってきた先生。自分が今試みていることですね。
(自分の内面が先生の目に触れると大変恥ずかしいので名前を伏せていますが、この説明でバレるかも)
カメラを持って空を追い続ける楽しみを不意に思い出して、ゼミではこの方にお世話になりたいなと、いつからか漠然と思っていました。
案の定、この某先生のゼミに入った自分。
ただ、卒業制作の対象物を確定させるのには随分と苦労しました。
子ども編で触れた通り、とっても移り気だったので。
生き物や街中で気になったものなどを何も考えずに撮っていました。当然、軸がブレているので卒制に向けた方針が定まらない。
当時はボツにした「農地の美術品」。もしかしたらこういうのばかり撮る人になってたかもしれませんね。
面談を重ねているうちに、先生から一言。
「無意識だと思うけどシャッターが写ってることが多いね。撮ってみたら?」
……本当だ!
無意識のシャッターだ!
そんなこんなで、「無意識にシャッターにひっかかるものを感じている」ということを指摘された自分は、その日の夜からシャッターを真剣に撮り集めるようになりました。
シャッターを見た人の心の動きや、シャッターを撮影していて気がついた周辺の現象。
そういったことを先生と相談しながら、試行錯誤して今の撮影スタイルを定めてきました。
シャッターマニアとしての目覚めをもたらしていただいたこと、リサーチエンタテインメントの楽しさを教えていただいたこと。
当時の先生のおかげで今の自分があると言っても全く過言ではありません。
初期に作ったシャッター写真集。テーマが決定後もしっかり悩み、今に向けて走ってきました。
今とこれから
卒業制作展での作品展示をきっかけに色々なご縁ができまして、今も働きながらシヤッター写真家としての活動を続けています。
大学を卒業するまでは外向きに作品を出していくという経験が今まであまりなかったので、自分の存在がどんどん多くの方に知っていただけることに驚きと嬉しさを感じてばかりです。
皆さん、私のことを知ってくださって本当にありがとうございます。
最近、私はあと何年ぐらいシヤッター写真家であり続けるのかなと考えることがあります。
他の被写体にも興味津々ですので、何か違うマニアに目覚めるというのもありえそうです。
しかし、どんな活動をしていてもシャッターのことは忘れずに撮り続けているような気はしています。
もしかしたら、ずっとシヤッター写真家かもしれません。
変化か、継続か。
先のことは全然読めない性格の自分ですが、これからも楽しく活動してまいります。
これからも皆さん、よろしくお願いします!