安愚楽牧場が正式に倒産したと聞きました。
私は、一時期安愚楽牧場で働いていたことがあり、5年前までは同社の預託牛を約10年間扱っていました。
安愚楽牧場なくしては今の自分はないし、牧場を経営していることもなかったでしょう。
社員時代を含め、安愚楽とのお付き合いをしている期間は、飼養管理等で意見の対立もありましたが、「牛飼い」としてはここでは書き切れないくらいのことを学びました。
まさに、「牛飼い人生」の基礎を創り上げた時期でした。
また、三ヶ尻社長には当牧場の創設期において、一方ならぬお世話を頂きました。
本当に感謝しております。
安愚楽牧場は今までにはない経営形態だったので、常に「異端児」扱いでした。
都会からお金を集め、それを農村で効率良く運用する、なんて発想はどことなく胡散臭いかもしれませんが、田舎っぺの頭のカチカチのおじさま達には絶対に考えも付かないことです。
それが故に、その動向は常に注目されていました。そして、ものすごいスピードで牛を増頭し続けて、ピーク時には日本全体の和牛総頭数の10%を保有するまでにななりました。「安愚楽が動けば牛の相場が動く」とまで言われる様になりました。
初期のころ、預託農家の戸数も少なく、牛のほとんどが自社の牧場で飼われていました。
その時期は、牧場従業員のほとんどが牛に関しては素人でしたが、社長も含めて真剣に牛飼いをしていました。牛の事で良く仲間と議論をしたものです。本当に楽しかった思い出があります。
それがある時期を境に、雰囲気は変わり、みんなの気持ちが牛から離れていくようになり、
私も、ついて行けなくなり、預託契約の解除をせざる終えなくなりました。
いろいろ問題があった牧場ですが、潰れるとは思っていませんでした。
関係者への影響がどこまで広がるのか計り知れません。
あれだけの頭数の牛はどうなるのでしょう?
残念ですね。もう少しどうにかならなかったのですか?