いわき市鹿島町下蔵持(しもくらもち)の里也橋には、
次に紹介するような悲しい伝説が残されている。
里也橋
下蔵持に里(さと)という美しく、
声の綺麗な少女(或いは寡婦ともいう)がいた。
黄昏(たそがれ)時になると軒端で歌を歌っていたが、
その声に誘われて、毎夜、
同じ時刻に通ってくる美しい不思議な若者があった。
その頃、村人が下蔵持三島八幡社境内の
大榎(或いは神白の梵天山の大欅ともいう)を切り倒して、
少女の家の近くに橋をかけることになっていたが、
いよいよ明日は切ると決まった晩、
若者はいつもの通りやってきたが、
もう今宵限りで会えないと悲しそうに嘆いた。
ところで人々は遂にその大木を切り倒したが、
血がおびただしく流れ、
これを川まで運ぼうとしても微動だにしない。
困り果てた村人たちは、声美しい里を呼んで来て、
歌を歌わせ、音頭を取らせたところ、
樹は自ら動き出し、
安々と目的地に着いて無事に工事を終わることができた。
ところがそれからは若者の姿は見られなくなった。
里也橋がこれで、
この辺に片葉の葦が茂っているという。
『いわき市史』
次に紹介するような悲しい伝説が残されている。
里也橋
下蔵持に里(さと)という美しく、
声の綺麗な少女(或いは寡婦ともいう)がいた。
黄昏(たそがれ)時になると軒端で歌を歌っていたが、
その声に誘われて、毎夜、
同じ時刻に通ってくる美しい不思議な若者があった。
その頃、村人が下蔵持三島八幡社境内の
大榎(或いは神白の梵天山の大欅ともいう)を切り倒して、
少女の家の近くに橋をかけることになっていたが、
いよいよ明日は切ると決まった晩、
若者はいつもの通りやってきたが、
もう今宵限りで会えないと悲しそうに嘆いた。
ところで人々は遂にその大木を切り倒したが、
血がおびただしく流れ、
これを川まで運ぼうとしても微動だにしない。
困り果てた村人たちは、声美しい里を呼んで来て、
歌を歌わせ、音頭を取らせたところ、
樹は自ら動き出し、
安々と目的地に着いて無事に工事を終わることができた。
ところがそれからは若者の姿は見られなくなった。
里也橋がこれで、
この辺に片葉の葦が茂っているという。
『いわき市史』