火曜時代劇 剣客商売Ⅳ サンテレビ
江戸中期を舞台に剣客父子の縦横の活躍を描く、池波正太郎原作のシリーズ第4作!
第9話 勝負
秋山大治郎(山口馬木也)が妻三冬(寺島しのぶ)の父である老中田沼意次(平幹二朗)に呼ばれた。常陸笠間藩剣術指南候補の谷鎌之助(田中実)と立ち会えという。唐突だが理由があった。一年前、笠間藩からの要請に意次は指南役として大治郎を推したが、彼は断った。意地を張った笠間藩は、鎌之助が大治郎に勝つことを登用の条件としたのだ。気の進まない大治郎だが立会いは断れない。
秋山小兵衛(藤田まこと)はサラリと、「それで相手が仕官出来るのなら、負けてやれ」と言った。三冬までが、「人助けでございます」と言う。当の谷家や鎌之助が通う高橋道場では、腕は大治郎の方が上と考え、鎌之助が敗れて恥をかくことを恐れていた。
鎌之助の妻のお久(中島ひろ子)が三冬を訪ねてきた。お久の実家は小間物問屋で、以前田沼の屋敷に行儀見習の奉公をしていた。お久は、鎌之助が谷家の三男の冷や飯食いの境遇から脱するため今度の機会に賭けていると言う。しかしそれ以上は言えずに帰った。
大治郎は町でお久の父親の村田屋徳兵衛(神山繁)から声をかけられた。武家に嫁いだ娘は何かと苦労しているが、鎌之助が仕官すれば立場も良くなるはず、との親心を聞かされ、百両で鎌之助に勝ちを譲って、と頼まれる。もとより受けられる話ではない。
立会いの日が来た。場所は藩主・牧野越中守(村上稔治)の下屋敷で、藩主立会いの下での木太刀での対戦である。結果は大治郎の負けだった。わざと負ける気はなかったのだが妙に雑念がわいて集中出来ず、気力が充実しないままに相手に一本取られた。
それでも鎌之助の仕官は決まらなかった。弥七(三浦浩一)が小兵衛に報告する。町の噂では、大治郎が村田屋の金に目がくらんで勝ちを鎌之助に譲ったと言われ、牧野家でもそれを気にしていたためだ。
噂が耳に入った鎌之助が大治郎を訪ねてくる。大治郎が包み隠さず、その日の徳兵衛とのやりとりを話す。大治郎が金を受け取らなかったとは言え、鎌之助は落胆した。そして、「このような噂が流れた以上、仕官は辞退する」と言った。そこに三冬が入ってきて大治郎に、「もう一度立会いを」と言う。その提案に喜び、手をついて頼む鎌之助だった。
二度目の立会いは早朝の林の中で。木立の陰で見守る牧野家の重臣たち。小兵衛もいた。激しい打ち会いで、二人の体が跳び、木太刀がぶつかり合った。大治郎の木太刀が鎌之助に打ち落とされ、鎌之助が大治郎の喉元に切っ先を突きつけた。 「得心がゆかれましたか」と大治郎。「はっ」と頭を下げる鎌之助。二人は仲良く肩を並べて大治郎の道場へと向かった。放心したように見守る重臣たちに小兵衛は、「谷鎌之助を指南役に望みながらなぜ疑う。そのような家に倅をやらずにようござった」と言って立ち去った。
鎌之助の仕官が決まった。翌日小兵衛は大治郎に、「この度の勝負は一勝一負。昨日朝の勝負では、大治郎に二度の勝機がありながらそれを生かさずに勝ちを譲った」と言った。小兵衛の目は大治郎の心の動きを見逃さなかった。小さく微笑んで答えない大治郎に小兵衛は、「剣は、相手を殺すだけではない。人を生かすこともできる」と言った。
秋山 小兵衛 ・・・ 藤田 まこと
秋山 大治郎 ・・・ 山口 馬木也
佐々木 三冬 ・・・ 寺島 しのぶ
おはる ・・・ 小林 綾子
不二楼 おもと ・・・ 梶 芽衣子
板前の長次 ・・・ 木村 元
生島次郎太夫 ・・・ 真田 健一郎
飯田 粂太郎 ・・・ 尾上 寛之
谷 鎌之助 ・・・ 田中 実
お久 ・・・ 中島 ひろ子
村田屋 徳兵衛 ・・・ 神山 繁
田沼 意次 ・・・ 平 幹二朗
ブログ村ランキングに参加しています
バナーをクリックして応援お願いします
おすすめのサイト