噴火の痕跡(伍)…

噴き出し溢れ落ちる泥流のうねり
それは国道を繋ぐ橋をも持ち上げ
百メートルの先へ押し流した…

団地の二階部に激突したその橋は
その壁を破壊しながら止まり
今は渡る人も無くただ横たわる…

噴火の痕跡(四)…

断層帯の上で真っ二つに折れた
総合病院の跡地には
降り積もった火山灰で埋立てた
大きな公園があり
その下には活断層が走っている…
この断層帯の存在は
明治噴火で既に指摘されていた…

断層の上には建てるべからずと…

噴火の痕跡(参)…

あの年にここで見た有珠の風景は
山のどてっ腹に開いた火口から
幾筋も立ち上っている噴煙の白柱
辺りには自衛隊車両ばかり…

その記憶の先で
あの時噴煙を上げていた火口湖が
エメラルド色の姿を現した…

噴火の痕跡(弐)…

噴火が始まった午前11時40分…
火口から溢れ出た熱泥流は
5棟124戸が暮らす公営住宅を
容赦なく襲う…
階下は完全に埋まり
二階にまで泥流が流れ込んだ…

その風景は未だ生々しくある…

噴火の痕跡(壱)…

緩やかに曲がったこの道のその先は
本来真っ直ぐな直線の道…
それがある時
その場所を通る火山性活断層により
瞬く間に押し曲げられ
その変動線の上にあった総合病院も
多くの建築物も
断層帯の再活動で悉く破壊された…

少なくともこの辺りにはその層帯が
三本伸びている…