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啓蒙家か侵略者か、二つの顔持つ日本の賢者~安川寿之輔著「福沢諭吉のアジア侵略思想を問う」

2011-04-10 05:17:22 | 韓国のニュース記事

▲「福沢諭吉のアジア侵略思想を問う」安川寿之輔著
イ・ヒャンチョル翻訳、歴史批評社、420ページ、2万3000ウォン

日本の最高額券である1万円券に顔が載っている福沢諭吉(835~1901)は私たちにも見慣れた人
物だ。韓末の激動期、福沢は改革と開化を夢見たキム・オクキュン、パク・ヨンヒョ、ユ・キルジュン
などと関係を結びながら朝鮮の親日改革を支援した。また、高弟、井上角五郎を朝鮮に派遣して
韓国初の新聞といえる「漢城旬報」を主管し朝鮮の情勢変化に注目した。そして水面下で甲申政
変に深く関与し、政変が失敗すると「脱亜論」を発表して朝鮮侵略の先頭に立った人物だ。

日本内外で福沢に対する評価は「賛美」一辺倒だ。賢者、国民的英雄、哲人、思想家….しかし、も
う少し近くから観察すれば福沢は一方では啓蒙家、天賦人権論者、市民的自由主義の先駆者と
いう顔と異なり、一方では天皇論者、軍国主義者、アジア侵略の先駆者というヤヌス神のような二
つの顔を持っている。今まで福沢に対する評価の主流は前者に属する。

安川寿之輔の本は後者の福沢像を緻密に追跡している。著者安川は「底辺民衆」の見解で「民衆
思想史」の作業を深く掘り下げてきた学者だ。彼は1970年以後「頂点思想家」福沢の教育思想を
再点検することによって福沢評価のバランスを取るのに寄与した。アジアに対する福沢の言説を
緻密に分析しているこの本も同じ脈絡で福沢の神話と虚像をひきはがしている。

この本は序章と本論4部で構成されている。序章では「一身独立してこそ一国独立する」という福
沢の有名な命題に対する誤読を含んで福沢研究の不思議な7つの命題を提示している。1章で
は状況によって変わった福沢自身が文を通じて、丸山真男の盲信的福沢礼賛論を責める。この
本の中心とも言える2章と3章は福沢のアジア認識を批判的に分析している。特に壬午軍乱以後、
朝鮮の政治・社会変動のたびに発表した彼の立論に現れる朝鮮(中国、アジア)蔑視と侵略の福
沢像を見せる。4章で著者は明治時代に芽生え始めたアジア侵略思想は結局「暗い昭和」に続い
たし、福沢がその中心にいると告発する。そして付録に含まれた「福沢諭吉、アジア認識の軌跡」
は福沢だけでなく明治時代、日本のアジア政策を見ることができる貴重な資料として価値がある。

日本の近現代史で福沢が占める比重は非常に大きい。彼は明治日本の対外政策と文明開化に
多大な影響を及ぼした。「富強改明」という明治の国家目標を成就するために大きく寄与したこと
は否めない。しかし、彼の言説を総合分析してみれば、西洋帝国主義を模倣した日本のより醜悪
な帝国主義もまた福沢の姿だ。そういう意味でこの本は福沢の功罪を同一線上で評価できる研究
を用意したとことに意味があり、また、著者が期待している「アジアと日本の歴史認識の深刻な亀
裂と間隙」を埋めるのに重要な道案内だ。

ハン・サンイル・国民大名誉教授

[福沢諭吉侵略、朝鮮・清侮辱発言]
▲"朝鮮国(…)未開なのでこれを誘引して導くべきで、その人民は本当に頑迷固陋で…."(1882.3)
▲"朝鮮は本来論じる価値もない。私たちが目標にする当面の敵は支那(中国)であるため…."(1884.12)
▲"朝鮮国(…)国ながら国でもなくて、政府ながら政府でもない。"(1894.7)
▲"こういう乞食らを相手に戦って蚤を移す憂慮も"(1894.7)
▲"(朝鮮の)過ぎたる崇拝の迷夢を悟らせ粉砕するに弾丸火薬よりましなものはありえない。"(1894.7)

ソース:朝鮮日報(韓国語) 啓蒙街なのか、侵略者なのか…二つの顔を持った日本の賢者
http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2011/04/08/2011040802342.html