赤塚不二夫保存会/フジオNo.1

『ドバッ』

『ドバッ』
「平凡パンチ」1973年2月5日号

・解説
自慰を邪魔されることを戯画化した、2色4ページの猥談読み切り。

掲載はマガジンハウス発行の「平凡パンチ」。これはヌードグラビアやセクシー路線の記事が中心の男性週刊誌であり、赤塚もエロ系のギャグ漫画を求められたのだろう。この時期の「平凡パンチ」連載作は、ジョージ秋山『日本列島蝦蟇蛙』、鈴木義司『CVゼニー』、西沢周平『周平レポート』など。

赤塚は後年の『花ちゃん寝る』に至るまで、開けっ広げでのどかな性描写を貫いた。それとは真逆の、ラディカルで現実味のある性描写を得意としたのが、赤塚が「僕の強敵」(『バカボン線友録』、1995年、学習研究社)と評するジョージ秋山だ。誌面では、このふたりの作品が並んで掲載されているのが興味深い。

ジョージにも自慰にまつわる作品がある。自慰にふけり性欲との付き合い方を思い詰めた中学生が、幼女への性犯罪を犯してしまう『ザーメン』(「COM」1971年3月号)がそれだが、読者に拒否され、「こけおどし」「卑猥なだけ」と非難を浴びたのだ。今読んでみると後ろ暗さのあるヒューマンドラマを突き詰めつつある時期の作品であり、のちに起きた幾つかの少年犯罪が思い浮かぶ。この作品は『ドストエフスキーの犬』(2010年、青林工藝舎)に収録された。

・単行本
未収録
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