幼稚園に行くのが嫌だった。
どうしても送迎バスに乗りたくなくて、冬の朝はこたつに潜って篭城した。
コタツの足をしっかり掴んだ私を、母は引っ張り出すことができず、
最終的に祖父に力任せに引きずり出された。
執拗に一人の男の子から虐められていたのだ。
私が内向的で自己主張のできない子供だから狙われたのだろう。
タツノリ君という男の子から、揶揄われたり暴言を吐かれたり殴られたりしていた。
母に、幼稚園でタツノリ君にいじめられていると主張することができたものの、
怪我をして血を流したり、あざができたりしたわけではなく、頬の引っ掻き傷程度だったので、
よくあることと園の先生も助けてくれなかった。
ある時、母は言った。
タツノリ君はね、ヨーコちゃんのことが好きなんだよきっと。
…それを聞いて、心に湧きあがったのは気持ち悪さだけだった。
自分の辛さを理解してもらえないだけでも辛かったのに、
世界で一番大嫌いな奴が、自分を好いているだなんて、
子供の頭では全く想像できなかった。
そのうち、大人に訴えても意味がないのだということを学習した。
そして、いつのまにか虐められている自分が悪いのだと思うようになっていた。
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