私の父は平成3年に亡くなりました。私は今でも父が大好きです。
いえ、亡くなってから益々父を求めるような感情を持つのは、私だけではない娘という立場なら誰でもそうじゃないかと思います。
父は55才でこの世を去りました。私は29才でした。
父は、当時の職場ではトップでした。立派な自慢の父でした。会議の時などは寡黙で滅多に発言はせず、じっと人を見て、その意見は本心か?裏に何かあるのか?とじっと人を観察する人でした。
しかし家族の前やプライベートな時は吉本系で、非常に愉快な、周囲を笑わせる事で満足する父でした。黙ってると損、みたいにマシンガントークで笑いを起こし、わざと音痴に童謡を歌ってみせたりして、私達家族はいつもお腹がよじれて痛くなるほど笑いました。
父は眼光鋭く、怒ったら目がギョロリとひときわすごくなり、人は言い返す事も出来なくなっていました。
私はそんな父と一緒にいると本当に安心で大好きで、自慢の父でした。父よりすごい男性はこの世にはいないと思っていました。父が横になってテレビを見ていると、二十歳過ぎても父に乗っておおいかぶさり、父の耳や鼻に指を突っ込んでみたりしましたが、父は何をされても知らん顔してテレビを観ていました。
父は、笑顔は本当に優しい顔でしたが、笑ってない時は、特定の職業に間違われるような怖い顔でした。
父が逝って23年、随分経ちました。
今でも普段歩いたりしている時も、眼光鋭い父に似た人はいないかしら、と、心のどこかで父を探しているような気がします。
弟より私の方が父に似ているらしいです。性格やものの考え方が。私は中身は男なのだと時々人に言われます。
弟子やお母さんと話していても
「主人にも同じ事を言われた。」
「お父さんと同じ事言う。」
とよく言われます。
私は父をお手本にして、父ならこんな時どう判断するか、それを基準に考えるようにしています。
眼光鋭く、人の心の裏を読む、そんなカッコいい人に私もなりたい。