設計日記

建築の設計の事とか、施工の事とか、建築のことばっかりを書き綴ります。

シェルカラーハウス 屋根の仕組み

2008-01-29 16:45:46 | 建築


屋根にウレタンフォーム吹き付け


 【シェルカラーハウス】の屋根は、木造だけど陸屋根(勾配の緩い屋根)なのでガルバリウム鋼板瓦棒葺きです。勾配の緩い金属屋根で最も怖いのが雨漏り。だけどこれは屋根施工業者もよく分かっているので屋根勾配と収まりを十分検討して解決済。
 次に怖いのが、室内に発生する屋根裏の結露。その次は雨の音。両方とも以外と知られていません。結露は暖かい室内温度と冷たい外気温の差によって、室内側に発生します。結露した水は屋根下地、一般には構造合板を濡らし、10年ぐらいで合板が腐ってしまいます。又、瓦屋根と違い、金属屋根は雨の音に特に配慮が必要です。寝室ではうるさくて眠れないなんて事にもなります。
 そこで、【シェルカラーハウス】では、屋根下地に合板ではなく硬質木毛セメント板(センチュリーボード)厚さ35㎜を使用し、さらにウレタンフォームを25㎜吹き付けています。これで結露と音の問題はクリヤー。いつまでも丈夫で快適な屋根になっています。

ローコスト住宅【シェルカラーハウス】その1

2008-01-28 17:46:49 | 建築



 金沢市内に昨年暮れ完成したばかりの住宅を紹介します。若いご夫婦と二人のお子様のための住宅です。設計の打ち合わせの時に「シンプルで白い外観の家にしてください。」とご要望だったので白い箱に木のルーバーのついた構成にしました。建物の1階+2階床面積は約35坪。建設費は約1,600万円。45.7円/坪(外構、設備機器、設備引き込み、電気、空調機器などとにかく全部含む。)で完成しました。リビングは吹抜となっていて、蓄熱暖房機1台で暖房をまかなっています。なかなかエコでしょ 続く。

ベルギー ブルージュ

2008-01-16 17:23:44 | 建築設計

ベルギー ブルージュ  運河から離れた一般的な町並み。

煉瓦造りの瀟洒な建物が続く町並み。「かわいい」と大人げなく感じてしまう程人のスケールにぴったりサイズに収まる家々。虚勢を張るわけでも無く、個性を主張するわけでもなく、ただ町並みにすっぽりと収まっている。そのすがすがしさはこの町の魅力そのものだろう。

地球温暖化

2008-01-12 12:11:06 | 建築設計
 金沢は今日も雨。この季節には雪が降らなきゃいけないのに、それが連日の雨。生活するにはありがたいけど、地球が壊れてゆくのを直に感じてしまう現象には閉口する。
 私の趣味の一つが釣り。いつも能登島の入り江に浮かぶイカダで釣り糸を垂れる。ねらいは黒鯛。毎年8月、9月はのっこみも終わり、手のひらサイズのチンタが入れ食いになる季節だが、昨年は海水温が高く、黒鯛の姿が消え、代わりに釣れる小粒のアジも生け簀に入れて1時間も経つと高温のため死んでしまう始末だった。
 住宅の話に戻そう。金沢の木造住宅の瓦屋根には雪止めがついている。お隣に雪を落とさない配慮からだ。本当は重い雪をいつまでも屋根に乗せておくよりも滑り落とした方がよいのだけれど、落とす空き地がないので屋根の上で雪が溶けるのを待つ。屋根の上にごっそり雪が積もっている状態を想定して建物を設計するわけだから、トップライトや軽快な庇を付ける場合はよほどの注意が必要だった。京都の数寄屋に比べてどうしてもずんぐりむっくりしてしまう。
 
 だけど近年の積雪量だったら事情は違う。これからの北陸の住宅はどんどん軽やかな表現がなされるだろう。それは温暖化の影響以外の要因が大きく、全国一律デザインのプレハブ建築が隆盛し、ハウジングメーカーがそのデザインの後を追う状況が地元の伝統を無視する最大要因なのは明白な訳だけれど、さらに温暖化が拍車をかけることになるのであろう。かくして地域性は無くなってしまうのだろうか?私はそれでもこの地に根付く建築家として、私だけでも金沢らしい建物の伝統を受け継いでゆく必要があると感じている。もちろん伝統の受け売りでは時代にそぐわない。現代建築に伝統を反映する。それは近代建築からも伝統建築からもタブーとされることだけれど、私はそれを追求したい。