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最後のスクロヴァ、終わりなき深化に深く感動

2010-03-29 23:17:25 | Classical Music
3年間にわたる読響の常任指揮者の人気を終えるMr.S、スクロヴァチェフスキ先生最後の定期演奏会へ行ってきた。演奏曲はブル8。

Mr.Sのブル8はこれまで読響とN響で各1回聴いていますが、特に最初の2002年読響の演奏の時は感動で涙が止まらなくなったことを昨日のことのように覚えている。

Mr.Sは2007年に読響の常任指揮者に就任し、ブルックナー交響曲を始めとする数多くの名演を聴かせてくれた。86歳という年齢を考えるとさらに常任を延長することは難しいであろうが、やはり淋しいことだ。

そのような感慨を持ちつつ演奏を聴いたが、今回巨匠の解釈に変化が聴かれ、さらに深化していたことは驚異的であった。

もはや現代のスタンダードと言っても過言ではないスクロヴァ氏のブルックナー解釈は、あの宇野功芳氏をして「世界一のブルックナー指揮者」と言わしめるほどであるが、不動の大家としての名声を確立した後も、そして86歳という高齢でありながらさらに理想の演奏を求め研鑽を積む姿勢は信じられない。

第4楽章の冒頭、トランペットのファンファーレは通常極めて勇壮に「パンパカパーン」とならされるのだが、今回の解釈ではスッと音量が落とされオーケストラ全体の調和のとれたマイルドな響きが聴かれた。

また、良くこれでもか!!という感じで仰々しく結ばれることの多いコーダも、さらっと超高速。その他にもこの曲を知り尽くしたスクロヴァ氏のさらに洗練を極めた解釈が随所に聴かれた。

今回の聴衆は非常にマナーが良く、第4楽章コーダでスクロヴァ先生が腕をあげている間は完全な静寂。そして怒涛のスタンディング・オベーションが続いた。国内オケの演奏でオケがステージを去った後もこれだけ大勢のスタンディングが続いたのはおそらく朝比奈以来ではないかと思う程凄かった。私も最前列で最後のスクロヴァ氏の姿をしっかりと目に焼き付けた。この日の演奏がDVDになればきっと私も「ブル7」のDVDに続いて写っているだろう。 

私の座席のすぐ後ろで、読売日響正指揮者の下野竜也氏が大きな声で「ブラヴォー」コールを繰り返していたのが印象的だった。

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