みかんのつぶやき。植物とか妄想とか愚痴とか情報のゴミ。

また、会える予感

私が幼稚園から小学高学年位まで一緒に生活していた犬がいた。
名はウルフという。由緒正しい中型の赤犬の雑種である。誰が拾ってきたのか、正確にはもう思い出せない。
ウルフは体が丈夫で頭が良かった。昔の田舎では犬は立派に役に立つ家族の一員だった。今のように灯りが溢れていなかった夜間など、不審者、不審な動物が近づこうものなら、吠えて教えてくれる。ことに、我が家は鶏を数羽、飼っていたので大変助かった。
昔の田舎のことだから基本的に外飼いである。そして、家に繋いでおくのは夜間のみ。夜間など不審者が出没するという噂がたてば、夜間も放す。そんな時代だった。
私が小学校に通い始めると、学校が終わると校門で必ず待っていた。私は友達と一緒に遊びながら帰るのであまり有り難くはなかっのだが、今考えるとどうして帰る時間が解ったのだろう。不思議でたまらない。友達と別れるとあとはウルフと一緒に野山を走りながら、あるときはいつもと違う道を探しながら、家に帰る。ウルフは用心棒のようなものだった。
たまに、近所のお宅に遊びに行くことがあった。楽しい時間を過ごし、いざ家に帰ろうとしたら、私の靴がない。えっどうして!その頃は玄関など開けっ放しだった。その家のおばさんに下駄を貸してもらって家に帰る。と、いつもの私の靴が一足キチンとあるのである。それが1度や2度ではない。
不思議に思って母に話す。母も不思議がっていた。そこで、母がそのお宅の近くで見張りをした。なんとウルフが現れ、靴を咥えて尻尾を振りながら家に運んでいたと笑いながら話してくれた。家族中、大笑いである。
ウルフは何を考えそんなことをしていたのだろう。いたずらのつもり?私への忠誠心のあらわれ?いずれにしても、今の言葉でいうと、胸キュンである。
そんなウルフはある日を境に家から姿を消した。みんなで近所の人も巻き込んで探したが見つからなかった。ウルフの家出直後、なんとなくウルフは死んだのだろうと幼いながら私は思った。
雑種の犬に生まれずに、警察犬に生まれていたら、間違いなく優秀な警察犬となっていただろう。立派にお務めを果たしていただろう。ウルフよ、また、会おう。

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