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いわゆる「従軍慰安婦」問題について-その5

茨城県の場合
 
 
 茨城県では「上海派遣軍内陸軍慰安所ニ於ケル酌婦募集ニ関スル件」として1938(昭和13)年2月14日に報告書が作成されている(財団法人女性のためのアジア平和国民基金編 『政府調査 「従軍慰安婦」関係資料集成 1 警察庁関係公表資料 外務省関係公表資料』龍渓書舎 1997年3月20日 47-52頁)。
 
 これによれば、神戸市在住の貸座敷業者大内□□が、二名の酌婦を上海で「醜業」目的で神戸へ出発した事件が発生。
 
 この事件を警察が調査するに、大内は元々茨城県の出身で、同県在住で遠縁に当たる江幡□□に
 
「上海派遣軍ノ依頼アリタルガ故ニ酌婦数名ヲ募集スルヲ以テ適当ナル者アレバ通知シ呉レ」(前掲48頁)
 
と依頼。江幡□□は同県の周旋業者大川□□にこのことを斡旋。その結果、大内と大川により二名の酌婦が上海渡航のため神戸へ出発したということであった。
 
 しかし警察側としては
 
「上海派遣軍ノ依頼アリタルガ如ク吹聴シタル趣キナルガ本件ハ果シテ軍ノ依頼アリタルモノカ全ク不明ニシテ、且ツ酌婦ノ稼業タル所詮ハ醜業ヲ目的トスルハ明カニシテ公序良俗ニ反スルガ如キ本件事案ヲ公々然ト吹聴募集スルガ如キハ皇軍ノ威信ヲ失墜スルコト甚ダシキモノアリト認メ」(前掲49頁)
 
として、厳重取締りを行っている。
 
 やはりここでも警察側は他県の場合と同じく、軍が本当にそのようなことをしているのか信じられない、嘘ではないか、軍の威信に傷をつけるものではないかということで厳重取締りを行っているのがわかる。
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