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CMOSセンサの画素回路

2014-11-22 13:28:29 | COMSセンサをSpiceする

Wikiに載っているCMOSセンサの画素回路は(ちょっと手を加えて)こんなカンジだ

この内、C1はフォトダイオードD1のP層・n層を電極とし、挟まれた空乏層を誘電体層とする
フォトダイオードの寄生容量であって、D1と別に作りこまれるものではない。

C2はQ2のドレイン領域と基板との間で構成される容量で、多分実物のチップを観察しても
特別にC2が作りこまれているようには見えないだろう。
人によっては、この部分をフローティング・ドレインと言ったりもする。

Q1・Q2・Q4のトランジスタの役割は単なるON/OFFスイッチで
アナログ的なアンプの役割をしているのはQ3だけだ。
特に、赤丸で囲んだQ2とC2はQ3のVthバラツキ等の影響をキャンセル処理させるための
もので、CMOSセンサの光検出動作には本質的には関係ない。

・・・で、Q2とC2を外してしまうと・・・

 ・・・こうなる。
で、動作のナガレは・・・

  1. ResetラインをONさせてQ1のIdsを流す
  2. Idsは行き先のD1で逆バイアス電流となり、D1をほとんど通過せず
    寄生容量のC1を瞬時に充電する
  3. C1が充電したところでResetラインをOFFさせてQ1のIdsを遮断する
    この状態で、Q1のソース電位=Q3のゲート電位はC1の充電電圧によって
    GND電位から上に支えられている状態になる
    もちろんD1はC1の充電電圧で逆バイアスを維持している
  4. カメラのシャッタを開いてフォトダイオードD1に露光を開始する
  5. D1の空乏層内で吸収された光子の数に応じた電子・正孔対が生じ
    これがD1内を光電流になり、ダイオードの逆バイアス電流として流れ、
    充電されたC1を次第に放電して行く
    光が皆無ならば、逆バイアスのダイオードのリーク電流、つまり暗電流で
    ゆっくりとC1を放電して行く
  6. 一定時間経過後にカメラのシャッタを閉じてD1への露光を終了させ、
    ReadOutラインをONさせてQ4のドレイン-ソース間を導通させる
    一定時間はC1が放電しきらない範囲の時間であるのはトーゼンだが
    Q3がn-MOSなら、そのVthを超える電圧がさらにC1に残っていなければならない
  7. DataOutのラインは画素マトリックスの外で負荷抵抗
    (実際のセンサICでは電流制限するようにゲート電圧を抑えたMOSトランジスタ)
    につながっており、コレとQ3とがドレイン接地増幅器(ソースフォロワ)を形成しており
    コレによってC1の残留電圧をQ3のVth分だけシフトした電圧値が
    Q4と負荷抵抗との間のノードに取り出される

上記で 5 の動作をワタシは光電流による寄生容量の放電と表現したが、
「寄生容量に蓄積」と表現する方が世間では多い。
言葉のイメージだけの問題だが、個人的には好きではない。

付け加えると、ソースフォロワをアンプとか増幅器と言うのも違和感がつきまとう・・・



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