チェンムーのおしゃべり広場

忙中閑ありしとき、ブログにむかひて心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、何とはなしに、心満ちたりにけり。

アサザ

2006-08-27 14:13:15 | 知るを楽しむ(紅楼夢)
昨日行った温泉はついでだった。
実は“アサザ”を見に行くのがメインだった。

「アサザが咲いている」という新聞の報道を見て、「フーン、アサザという水生植物もあるんだ!見に行ってみよう!」という訳で、行動を起こしたのだ。

家から車で1時間あまり、中之条の山の中の静かな池に、その花は咲いていた。
思ったより小さくて、直径2センチほどの黄色い小花だった。

解説板によると、アサザは、ミツガシワ科アサザ属の多年草で、低地の浅い池や沼に生える浮葉植物だそうだが、開発や水質汚染により、各地で減少しているということだ。

辞書で引くと、アサザの漢字は、“荇”とある。なぬ!この字は見たことがあるぞ!
必死で思い出したら、《詩経》の一節にあった。
【周南・関雎】参差たる荇菜は、左右に之を流む。

紅楼夢には出てくるだろうか?と思って《紅楼夢語言詞典》を引くと、果たしてあった。
第79回:さてまたその岸のべの蓼の花や葦の葉、池の内の翠の荇(アサザ)、香しい菱などながめやるに・・・

アサザは、“阿邪左”として万葉集にも出ているらしい。
だが、環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧II類(VU)とされていた。

雍正年製磁器

2006-07-25 20:49:08 | 知るを楽しむ(紅楼夢)
この壷(模造品)は、南京の夫子廟の立派な構えの骨董店で買いました。
値札には120元とありましたが、きれいなので気に入ったし、底には“雍正年製”と銘があったので、どうしても欲しくなり、若い女性店員に少しまけて欲しいと言いましたが、「ダメ」と言うばかりです。

何度か交渉したけれどまけてくれません。そこで最後に、「私は日本からわざわざ南京に来たのです。日中友好の為にまけてくれませんか?」と言うと、なんと即座に「100元にしましょう。」でした。言葉の効果に自分でもびっくりしました。

清朝の雍正年間は13年間と短命でしたが、陶磁史においては燦然と輝く珠玉の作品を焼造した期間と言えるそうです。

でも私にとって、雍正帝といえば、「紅楼夢」の作者・曹雪芹の家を没落の憂き目にあわせた厳しい皇帝と言う印象が強いのです。

曹家は代々要職にあって康煕帝の信任が厚かったのですが、康煕帝が薨じて雍正帝が帝位に即くに及び、その帝位継承の争いにからんで雍正帝からうとまれ、職を取り上げられ、家産も没収され、南京から北京に移らされました。

その後、曹雪芹は自分が経験した没落に至る貴族生活を「紅楼夢」として記したのでした。と言うことは、不朽の名作《紅楼夢》は雍正帝のお蔭で生まれたと言えるのかも知れません。

大明成化年製壷

2006-07-19 13:15:29 | 知るを楽しむ(紅楼夢)
以前、江蘇省の鎮江を訪れたとき、鎮江市立図書館の付近に千年の歴史があるという“西津渡古街”に行きました。細い敷石の道に沿って歩くと、小さな汚い骨董屋があったので、何気なく入ってみると、痩せたお爺さんがニヤニヤしながら出迎えて、一つの骨董品を手に持って何か説明し始めました。

チンプンカンプンで全く分かりません。あたりを見回すと、一つの小さな美しい壷が目に入りました。底を見ると“大明成化年製”とあります。この時ふっと思い出したのは、紅楼夢第41回に出てくる“成窯五彩小蓋鐘”でした。

“成窯五彩”と言うのは、中国は明代の成化年間に景徳鎮で焼かれた磁器で、白地に彩色された花や生き物が青色で縁取りされているものですが、数が少ないために貴重なものだそうです。
 
これは欲しいと思って、値段を見ると600元とあります(日本円にして約9千円)。本物だったら、100万円出しても買えないでしょう。でも、模造品ならば600元は高すぎると思いました。

私が思案しているのを見たお爺さんは、100元でいいと言いました。それでも高いと思ったので、
私:「50元!」
お爺さん:「70元!」
私:「60元!」
お爺さん:「65元!」
私:「要らない!」
お爺さん:「60元でいいよ!」

という訳で画像は、手に入れた“大明成化年製”の壷です。

闘牌について

2006-07-01 21:17:58 | 知るを楽しむ(紅楼夢)
紅楼夢第47回では賈母が熙鳳・王夫人・薛姨媽に呼びかけて“闘牌”をします。

“闘牌”と言えばカルタ遊びのことですが、しかし、しばらく遊ぶと賈母は“二餅(ピン)”一枚待ちで上がりになるという情況になります。

でも“二餅”と言えば、マージャンの牌でしょう? カードでもマージャンと同じ絵柄があるのかなぁ?

“カード”なのか“マージャン”なのか良く理解できなかったので、思いついて紅楼夢VCDで再現したら、やはり“カード”でした。

わ!このようなカード、初めて見たです。
確かに二餅が来れば、賈母はタンヤオであがりですね。

水葱儿について

2006-06-16 20:33:33 | 知るを楽しむ(紅楼夢)
《紅楼夢》第46回に鴛鴦というスタイルの良い美しい侍女が出て来ます。
王熙鳳は彼女のことを“まるで水葱儿のようだ”と表現してますが、“水葱儿”とは何でしょうか?

ある翻訳本では“水辺の行者にんにく”と訳してあり、別の翻訳本では“葱みたい”と訳しています。でも、どちらもイメージが湧きません。

友人が調べて来てくれて、“水葱儿”は“フトイ”(カヤツリグサ科)であることが判明しました。全国各地の湖沼やため池の浅水中に群生する大型の抽水性多年草で、花期は6-9月とあります。

インターネットで“フトイ”を検索したら画像が出て来ましたが、これは確かに鴛鴦のイメージに合っていました。めでたし!めでたし!

簪について

2006-06-14 09:27:07 | 知るを楽しむ(紅楼夢)
長いこと中国古典小説《紅楼夢》を学習していますが、時には、何故?・どんな物?・etcの疑問が生じます。調べたり、偶然の機会を通して知ったときは、とてもうれしいです。

今日はその一つですが、“金陵十二釵”の一人、王熙鳳という、やり手で機転が利いて性格がきつい女性が、あるとき使用人を指図しながら、自分の頭から簪を引き抜いて、それで耳をほじくります。

簪というのは、先が錐みたいになっていますから、そんなもので耳を掻くなんて、なんて危ない事をするんだろうと、思いました。

ところが先日、「北京故宮博物院展」を見に行ったとき、簪が展示されていましたので、観察しますと、簪の一端は錐のようになっていますが、もう一端は、なんと耳掻きになっていたのです。これでやっと納得できました。

簪の一端が耳掻きになっていたなんて、私には思いもよらなかったのですが、友人に話すと、「見たことあるよ」と言われ、なんと知らなかったのは私だけだったのかと唖然とした気持ちになりました。

--------------------------------------------------------------------------
上の記述の一部分を訂正します。(6月25日)

「あるとき熙鳳が使用人を指図しながら、自分の頭から簪を引き抜いて、それで耳をほじくります。」というのは私の思い違いであり、創作でした。

紅楼夢第28回には、「熙鳳が立っていて、敷居に足をかけ、耳かきで歯をほじくりながら、十人もの若党たちが花の鉢植えを移すのを監督していました。」とありました。

しかし、耳かきで歯をほじくることができるのかなぁ!