福島民報
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いわきの漁必ず復活 「ようやく前に」 18日試験操業
■底引き網漁船長 北郷輝夫さん(62)
東京電力福島第一原発事故の影響で、いわき沖での操業自粛が続くいわき市漁協と小名浜機船底曳網漁協は18日、底引き網漁で初めての試験操業に乗り出す。流通目的の出漁は約2年7カ月ぶりで、本格操業再開に向けた第一歩。地元漁業者は「消費者の信頼を取り戻せるのか」という不安があるものの、未来を切り開く固い決意を胸に出港する。
「ようやく前に進める。手放しで喜べる状況ではないが、気持ちが高ぶるね」。市漁協久之浜支所所属の三誠丸(17トン)の船主兼船長、北郷輝夫さん(62)は津波の傷痕が今も残る久之浜漁港で出漁準備を進め、表情を少しだけ緩めた。
祖父、父と続く漁師一家の3代目。小名浜水産高(現いわき海星高)を卒業後、海運会社に勤務。父親が体調を崩したのを機に26歳で家業を継いだ。以来、30年余り、いわき沖で漁を続けてきた。慣れ親しんだいわき沖は豊かな水産資源を誇る。「常磐もの」と呼ばれるカレイやヒラメは県外で高値が付いた。
平成23年3月11日、福島第一原発から約10キロ沖の船上で強い振動を感じた。急いで帰港すると、数十もの漁船が津波で岸壁に乗り上げていた。原発事故を受け、漁協の操業自粛が決定した。仕事は魚介類の放射性物質調査や津波によるがれき回収しかなくなった。
放射性物質の調査目的の漁で沖に出た。引き上げた網には多くの魚が入っていた。調査用の一部を除いて全て海に戻す。やるせない気持ちが込み上げてきた。
本県産品への根強い風評が続く中、追い打ちを掛けるように汚染水問題が発生した。原発の状況は一向に改善しない。いわき沖で取った魚を市場に出せる日が再び来るのか-。不安と焦りに駆られる日が続く。それでも漁業を諦めようとは思わず、漁船の手入れを欠かさなかった。
「若い漁業者のためにも、何とか漁業再生の道筋を付けなければ」。試験操業に踏み切らないままでは、いわき沖の漁業が衰退するばかりだと危機感を募らせてきた。相馬双葉漁協よりも1年4カ月遅れて試験操業開始が決まった。試験操業の対象魚種は県などの放射性物質検査で全て安全性が確認されている。ただ、消費者の反応を考えると、期待以上に不安も大きい。「安全で安心できる魚を消費者にしっかり届け続けるしかない」
台風26号が16日に本県に最接近し、試験操業を17日から18日に順延した。相次ぐ台風で4度先延ばしとなったが、出漁準備を続け、気持ちを奮い立たせてきた。汚染水問題があるため、今の海域は沖合だ。「今度こそ海に出られる。復興までの道のりは険しいが、いわきの漁業の未来を必ず切り開く」。海を見詰める目に迷いはない。
■沖合40キロ以上で実施
いわき市漁協と小名浜機船底曳網漁協の試験操業では、底引き船14隻が18日未明、久之浜、四倉、江名、小名浜の各港を出港。底引き網漁は沖合約40キロ以上の水深150メートルより深い海域で行う。漁獲対象はミズダコや毛ガニ、メヒカリなど8魚種。県のモニタリング検査などで操業海域の水質や対象魚種の安全性は確認されている。水揚げした魚介類は同日午前11時30分までに、検査場のある小名浜港に集約する。
両漁協の試験操業は当初、9月26日に始める方向で調整したが、相次ぐ台風接近で延期が続いた。浜通り北部の相馬双葉漁協は昨年6月に試験操業を始めた。
試験操業への準備を終え、出港を待つ漁船=いわき市小名浜(2013/10/18 11:51カテゴリー:連載・再起2013)
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2013/10/post_8401.html
記事の紹介終わりです。
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■ 2009年7月9日
「我が郷は足日木の垂水のほとり」 はじめました。
本稿はその保管用記事です。
■ 2010年3月2日
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