OH-1
川崎重工業によって製造された陸上自衛隊の観測ヘリコプター(偵察機)。
敵陣に忍び込み情報を得る任務から、『 ニンジャ 』 の愛称がある。
用途:観測ヘリコプター
製造者:川崎重工業
運用者: 日本(陸上自衛隊)
初飛行:1996年8月6日
生産数:34機+試作機4機で生産終了
運用状況:全機現役
ユニットコスト:約25億円(平成20年度)
約19億円(平成22年度)
武装
91式対空誘導弾と増槽を装備したハードポイント
偵察が主目的であるため軽量化を優先し機関砲等の固定武装は搭載されなかったが、胴体両側のスタブ・ウィングにハードポイントがあり、自衛用(空対空)として 91式携帯地対空誘導弾発射機を2基納めたケースを左右2基装備することが可能である。
スタブ・ウィング下には増槽の搭載も可能で通常は2基(左右1基)を装備しているため、91式対空誘導弾は最大で 4発しか搭載できない。
(この稿のデータは、OH-1 - Wikipedia による。【岩淸水】にて、91式対空誘導弾の映像を添付した。)
91式携帯地対空誘導弾
JASDF TYPE91 SAM
「スティンガ」は赤外線誘導方式であったが、これに加えて CCDカメラを使用し 可視光画像によるミサイル誘導を可能とする こと を目的に開発された国産ミサイルが 91式携帯地対空誘導弾で平成3年度に制式化された。陸上自衛隊では普通科、特科、機甲科などに幅広く配備されている。 航空自衛隊では基地防空用に配備されている。日本独自のハイテク技術が投入されており赤外線+可視光誘導により正面要撃能力、対妨害性、瞬間交戦性が大幅に向上した。
http://torakyojin88.web.fc2.com/91sam.html
2012 04 09 英首相 「 日本とヘリ共同開発も 」 読売単独会見 【読売】
空中より情報収集を行う観測ヘリコプターは、長らくヒューズのOH-6 カイユースであったが、更なる機能向上を目指して新型機導入が急がれた。防衛庁による選定の結果、川崎重工業が主契約会社となり、富士重工業と三菱重工業が協力すると言う形で計画がはじまった。総組み立てや主要部品を川崎、中部胴体を三菱(名航)、エンジンを三菱(名誘)、後部胴体その他を富士が担当している。
OH-1 のモックアップ(木型)
かかみがはら航空宇宙科学博物館展示
以前から川崎では実用ヘリコプターの国産化に意欲を示しており、すでに設計準備の段階を終えていた。また、三菱も先行して国産ターボシャフトエンジンTS1の開発を進めており、計画がはじまったのが1992年(平成4年)、設計開始は翌1993年(平成5年)だが、1996年(平成8年)8月6日に初飛行(数日前に三菱の純国産ヘリMH2000が初飛行)と言う異例の速さでの完成を果たした。4機の試作機XOH-1は川崎での社内飛行実験を経て、翌1997年(平成9年)から陸上自衛隊で制式採用され、OH-1となった。実用試験が行われた後、2000年(平成12年)に量産1号機を納入した。
以後、年間3~4機のペースで調達していたが、平成16年『新防衛大綱』以後は1~2機となっており、平成22年度予算での4機の調達を最後に、量産機34機+試作機4機で調達を終了した。当初は250機程度を導入する計画であったが、偵察機としては1機当たり19~25億円と高額なことから193機を調達したOH-6Dを代替できなかった。
三重県明野駐屯地の飛行実験隊では、現在も信頼性の向上および新装備採用のための飛行試験を継続している。また、初飛行から10年を経たが損失した機体は1機もない。
「観測ヘリコプター」は、日本領土に侵攻上陸した敵を低空から偵察し、地上攻撃部隊や戦闘ヘリコプター部隊に最新の情報を提供、戦術を支援する機体である。このため、敵に気づかれないよう極低空を高速で飛行する隠密性と速力、敵に気づかれて攻撃された場合も、情報を完全に伝えるために高い生残性を求められた。
最前線での生存率を高める為、機体はAH-1Sにも類似した縦列複座(タンデム)式のコックピットを採用して胴体を細くした。レーダー反射面積を抑え、目視被発見を避けるとともに、前方から射撃された際の被命中率を下げる為、胴体幅は概ね1m以内に抑えている。搭乗員の生存率を上げるため、座席部分は装甲化され、防弾ガラスを採用した。また、油圧系や操縦系はすべて2重になっている。
メインローターは4枚ブレードであり、川崎式の無関節(ヒンジレス)ハブローターシステムを採用し、操縦応答性の向上を図った。ローターブレードは12.7ミリのクラスの銃弾にも耐えられるガラス繊維複合材料を用いている。
テールローターは8枚ブレードで、低空飛行時に樹木などと接触する危険を減らすためにダクテッド方式(機内埋め込み式)を取り入れ、ブレードは騒音を抑えるために不等間隔に配列している。この方式は仏アエロスパシアル(現ユーロコプター)の特許(フェネストロン)であることがOH-X構想当初の懸案であったが、実機の製作段階で特許の期限(20年)が過ぎたため、無料で使用できることとなった。
観測に重要な空中静止装置は大変優れており、パイロットは空中で手を放していても自動でバランスを取ってホバリングしていられる。エンジンも強力で、無関節ローターハブのもたらす運動性と合わせて、機首を上に向けての垂直上昇、80度での急降下、宙返り、後ろ向き宙返りなどのアクロバット飛行も可能である。
OH-1の開発チームは、独自のローターハブ構造が評価され、優秀なヘリコプター開発者に贈られるアメリカの権威的なハワード・ヒューズ賞を、アメリカ以外のプロジェクトではじめて受賞した。
アビオニクス [編集]観測機として最重要能力である偵察機構は、後部座席上部に設置された索敵サイトである。AH-1やAH-64が機体先端に設置されているのに対し、OH-1はコックピット上部にあるため、敵から見えない木陰などに身を隠して偵察できる。
サイトは赤外線センサー、可視光線カラーテレビ、レーザー距離測定装置が一体化したもので、敵上陸地点を昼夜問わずに監視できる。
また、コックピットにも任務適合性の高いアビオニクス統合システムを採用した。
エンジン [編集]搭載エンジンは三菱重工業が開発・製造したTS1-10ターボシャフトエンジンである。1段圧縮機と1段出力タービンで構成され、出力は884軸馬力(shp)である。OH-1ではTS1を2基搭載している。前述のように、垂直上昇、80度での急降下、宙返り、後ろ向き宙返りなどのアクロバット飛行が可能な力を持つが、馬力自体は大きくないので、重量増につながる重武装はできない。三菱と技本により、定期修理(オーバーホール)間隔を延長するフォローアップ研究が行われ、耐久性、燃料消費率が向上し、出力も990軸馬力(shp)になったTS1-10Aが開発されている。
詳細は「TS1 (エンジン)」を参照
防衛省技術研究本部では、2006年(平成18年)よりTS1の出力を増強する「ヘリコプター用エンジンの研究」を、三菱を主契約企業として行っている。TS1の燃費を向上させると共に、圧縮機と出力タービンを2段化することにより、1300馬力に増強できるとしている。完了は2011年(平成23年)を予定。
武装 [編集]固定武装はないが、胴体両側の安定翼下のハードポイントを介して、91式携帯地対空誘導弾(SAM-2)を転用した自衛用の短射程空対空ミサイルを、箱型の2連装ランチャーに搭載して4基(左右2基ずつ)装備することが可能で、ヘリコプター等に発見された場合は、ミサイルで自衛攻撃できる。また翼下には増槽2基を標準装備する。
配備基地 [編集]陸上自衛隊の2011年3月末時点の保有機数は32機[4]。
帯広駐屯地:北部方面航空隊 第1対戦車ヘリコプター隊
八戸駐屯地:東北方面航空隊 第2対戦車ヘリコプター隊
目達原駐屯地:西部方面航空隊 第3対戦車ヘリコプター隊
木更津駐屯地:東部方面航空隊 第4対戦車ヘリコプター隊
明野駐屯地:中部方面航空隊 第5対戦車ヘリコプター隊
明野駐屯地:航空学校、開発実験団 飛行実験隊
霞ヶ浦駐屯地:航空学校 霞ヶ浦校
滝ヶ原駐屯地:航空学校 教育支援飛行隊
性能・主要諸元
乗員 - 2名
全長 - 12.0m
全高 - 3.8m
主回転翼直径 - 11.5m
自重 - 2,500kg
全備重量 - 3,500kg
発動機 - 三菱 TS1-M-10 ターボシャフトエンジン ×2
出力 - 884shp ×2
超過禁止速度 - 290km/h
航続距離 - 550km
機体内燃料積載量 - 953L
2015 02 17 和歌山沖で陸自ヘリ不時着…乗員2人は脱出 【読売】