SH-60 シーホーク
SH-60 Seahawk
シコルスキー・エアクラフト社製、アメリカ海軍
などで使用されている汎用ヘリコプター。
2013 12 17 国産品と、アッチ制のちがい 【わが郷】
SH-60 は当初、駆逐艦などに搭載される LAMPS Mk IIIの多目的ヘリコプター、SH-60B シー・ホークとして開発された。その後、派生型として、航空母艦搭載の艦上対潜哨戒用として SH-60F オーシャンホークが開発された。また、救難用の HH-60H レスキューホーク、沿岸警備隊の HH-60J ジェイホークなども派生した。これらは将来的に、SH-60B と SH-60F の後継としての MH-60R シーホーク、HH-60H や、CH-46 シーナイトの後継としての MH-60S ナイトホーク、HH-60Jの強化型としての MH-60T によって代替されることになっている。
その他、日本は独自開発の派生型としてSH-60J(通称ホワイト・ホーク)、機体から新規設計したSH-60Kを開発しているほか、台湾やオーストラリア、ギリシャなども独自の運用要求を加味した機体(S-70Bシリーズ)を輸入している。
設 計
SH-60 シリーズは、シコルスキー社の H-60 シリーズの海軍型である。基本的には、陸軍向けの UH-60 ブラックホークをもとにしているが、電子設備や兵装、機体構造など、相違点が多い。狭い格納庫に収納するため、テールコーンは手動、メインローターは電動による折りたたみが可能で、後部主脚位置も変更されている。また、駆逐艦などの狭い飛行甲板から離着陸しなければならない LAMPS ヘリコプターについては、悪天候の中で着艦するための RAST システムが装備され、さらに尾輪は複列式となっている。一方、過酷な野戦環境での乱暴な離着陸を考慮しなくて良いので、主脚はやや簡素化されている。
生存性にも配慮されており、油圧装置故障時には人力で操舵が可能であるほか、燃料タンク下面及びドライブシャフトは12.7mm機関銃弾に耐えることができる。また、各動力伝達ギアには、故障の原因となる金屑片を焼き切って除去する機能があり、潤滑油を完全に喪失した後も15~30分間飛行が可能である。テールローター機能喪失の際も前進速度があれば、垂直安定板などの空力特性により機首方位を保ち、一定速度での飛行が可能である。コンピューターシステムにも同様の配慮がなされており、最重要である通信航法機能は、主電源が断絶されるまで使用可能であるほか、メインコンピューターシステムは、MIL-STD-1553多重データバスにより、レーダー系統、ソナー系統、火器管制系統とおのおの分離しており、メインコンピューターの機能が破壊された場合も、戦傷処理機能により重要な一部の機能の確保がなされる。不時着陸時はクラッシュワージネスと呼ばれる安全構造で、機体や座席を衝撃軽減機能として乗員の生存率を高め、着水時には緊急浮袋を展開し、機内燃料タンクが予備浮力として働くことにより、水没を防いでいる。
SH-60B LAMPS ヘリコプターや、航空母艦搭載の SH-60F 艦上ヘリコプターは、対潜攻撃を主任務としており、SH-60B はソノブイ、SH-60F はデッピングソナーを使用して潜水艦を探知するほか、LAMPS ヘリコプターでは対艦ミサイルの運用も可能である。また、いずれも副次的に捜索救難も担うため、救助ホイストの装備が可能となっている。これを元に救難専任機とした HH-60H や HH-60J では救難用装備が搭載されており、戦闘捜索救難を考慮した HH-60H では、機関銃や対戦車ミサイルなどによる武装も施されている。また、対テロ作戦や海賊の取り締まりが重要になるにつれ、多くの機体に機関銃が搭載されつつある。
HSS-2Bの後継として、SH-60Bを国内向けにSH-60Jとして開発。搭載電子機器を輸入できなかったため、防衛庁技術研究本部が開発した。1987年(昭和62)8月31日にアメリカで初飛行を行い、三菱重工業がライセンス生産。1991年(平成3)8月から部隊に配備された。これらは、基本的にはSH-60B LAMPSヘリをベースとしてはいるが、ソノブイ25本とともにHQS-103ディッピングソナー(AQS-13Fに匹敵)を搭載しており、より対潜に特化した強力な戦闘能力を備えている。
SH-60Jの後継として三菱重工業でSH-60Kが開発された。2001年(平成13年)初飛行。2005年(平成17年)度より配備が開始された。