記事の紹介です。
インフレ誘発 アメリカの量的緩和に副作用
2011.6.23 21:52
22日の会見でQE2の効果などについて説明する
米連邦準備制度理事会のバーナンキ議長 (ロイター)
【ワシントン=柿内公輔】景気後退やデフレを回避するため、米連邦準備制度理事会(FRB)が昨年11月から実施してきた量的緩和策第2弾(QE2)が今月末で終了する。6000億ドル(約48兆円)の国債買い入れなどで市場に資金を供給したQE2は、企業の設備投資や個人消費などを上向かせる狙いがあったが、雇用や住宅建設などへの効果は乏しい。あふれたマネーは原油や穀物などの商品市場に向かい、世界的なインフレや通貨安競争を助長した。そんな異例の金融政策を検証した。
経済への効果乏しく
「米経済を救うはずだった。だが、計画通りには機能せず、実体経済への目に見える効果は皆無だ」米紙ウォールストリート・ジャーナルで量的緩和による効果をこう切り捨てたのは、同紙コラムニストのブレット・アレンズ氏。同氏が問題視するのは、米景気の「体温計」とされる雇用と住宅建設だ。
FRBのバーナンキ議長が、リーマン・ショック後の08年12月から昨年3月まで実施した量的緩和策に続き、第2弾の実施を示唆したのは昨年8月。このとき1億1180万人だった常勤雇用者は今年4月、1億1250万人とわずか70万人増えただけだ。
「これで第2弾の“費用”の6000億ドルを割れば、1人当たり85万ドルの税金コストだ。この間、パート雇用者は60万人減った」とアレンズ氏。失業率も「正常にはほど遠い」(政府高官)9%台で、バーナンキ議長自身、「雇用を完全回復できなかった」と認める。
住宅にいたっては、中古住宅平均価格が昨年8月の17万7300ドルから今年4月は16万3700ドルまで8%値下がりした。5月の中古住宅販売は前月比3.8%減で過去半年で最低水準まで落ち込んだ。差し押さえ物件の流入が深刻な値崩れを招いている。
雇用と住宅の回復の遅れが個人消費を冷やし、5月の小売売上高は11カ月ぶりにマイナスに転じた。「期待されたほどには経済を刺激しなかった。基本的に何もなし得なかったとさえいえる」(米シカゴ大のジョン・コクラン教授)とまで酷評する向きも多い。
株価上昇も…
これに対してバーナンキ議長は「QE2はすべての問題を解決する『万能薬』ではない。想定した範囲では成功したと思う」と反論。例えば「株価は上昇した」と強調している。実際、ダウ工業株30種平均は昨年8月から約3割も上昇した。ロイター通信がアナリストやファンドマネジャー63人に聞いた調査では、ほぼ半数が「6月末のQE2終了で株価が下落する」と回答している。
このほか民間企業の手元資金もこの2年間で4割も増えた。ただ、景気の先行きを慎重にみる企業が多いため、せっかくの潤沢なマネーも十分には投資に回っていないとみられる。
世界経済が混乱
より深刻なのは、世界経済に与えた悪影響だ。バーナンキ議長は22日の記者会見で「QE2はデフレのリスクを消し去った」と胸を張ったが、市場にあふれかえったドル資金は商品市場に向かい、投機が過熱。世界中で原油や穀物、鉱物の価格が高止まりした。
米CNBCテレビのキャスターでエコノミストのラリー・クドロー氏は「FRBが生み出したあまりに過剰なマネーが、商品市場高騰の要因だ」と指摘する。その結果、中国やブラジルなどの新興国を中心に世界中でインフレ傾向が強まった。新興国側は防戦のため金融引き締めに走っており、利上げラッシュの様相を呈している。
FRBは「インフレは新興国の高成長のせい」(バーナンキ議長)と反論しているが、まともに取り合う声は新興国のみならず市場にも少ない。米国でも消費者物価が11カ月連続プラスとなるなどインフレ懸念が高まっている。
さらに金融緩和に伴うドル安は各国の通貨安戦争を助長。少しでも輸出に有利となるよう為替介入に踏み切る新興国も続出し、中国の朱光耀財政次官は「QE2は間接的な為替操作だ」などと批判した
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110623/fnc11062321540019-n1.htm
記事の紹介(抄出)終わりです。
■ Site Information ■
■ 2009年7月9日
「我が郷は足日木の垂水のほとり」 はじめました。 本稿はその保管用記事です。
■ 2010年3月2日 人気blogランキング(政治)にエントリーしました。 => ランキングを見る
人気プログランキングに戻るには、ここ を クリック して下さい。