知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

国家を考える最良の素材。

2010年09月26日 | 国家論
サンデル教授の授業で有名になった政治哲学。
「正義論」

そして、一番重要なことは、
 唯一絶対の正義などない
ということ。

味方を変えれば、「何が正義か」は変わる。

特に領土問題は、根が深く歴史的に見ていくと、あいまいになっていきます。

尖閣諸島自体は、土地の価値がそれほどなかった。
それが、排他的経済水域が領土から決められるようになり、
 排他的経済水域が、水産資源、天然資源を生み出すと分かる
と、島自体に価値がないものでも、
 領有権の主張合戦が始まる
わけです。

むかしは、うちが支配していた。
もともとは、ここの民族が発見した。
今はうちが実行支配している。
・・・・

島は、最初に見つけた国が、「見つけたよ。うちのものにするよ。」
と宣言し、実行支配することで領有権が認められることになります。

そうなると、言い分が食い違って、
 ちょうど境にある島においては、お互いが主張しだす
わけです。

中国は、台湾、フィリピン、タイ、韓国・・・
アジア各国との領土問題を抱えています。


そして、こういう問題の解決方法は、
 ひとつではない
し、
 唯一絶対的に正しい正解などない
わけです。

試験慣れしていると、すぐに正解を知りたくなるわけですが、
 世の中には、正解がないもの
の方が多いと思います。

これが、クイズ番組で優秀な成績を収めても、
 ビジネスで成功するわけではない
理由の一つです。


正解を導くのではなく、
 問題を解決する方法を考える。

問題解決能力こそが、
 今後の不確かな時代に必要となってくる能力
だと思います。


個人的には、中国が強硬な理由は、
 人民軍の影響が大きい
のではないかと思います。

おそらく、中国も、
 経済を優先させるために早期に収めたいとする勢力

 これを機に、尖閣諸島の領有権を強固に主張すべきだという勢力
が存在していて、
 この対応を間違えると、国体に影響が出かねない
ので、
 難しい対応を迫られている
のだと思います。

 レアアースの禁輸の指示は出していない
という声明は、柔軟な姿勢の表れで、
 謝罪と賠償の要求
は、強硬な姿勢の表れです。

仮に、レアアースの禁輸が国家の指示となると、
 日本側が経済制裁の対抗措置を取ることができるようになる
わけです。
旅行についても、ビザの発行に干渉したり、旅行会社に自粛を求めるなど圧力をかけているはずですが、正式には圧力をかけているとは表明していないのも、同じ理由からです。

政治問題を、
 経済制裁の発動により、経済問題にする
と、
 自分の国にとっても著しい損害が出る
ことと、
 国際社会に警戒感を与えることになる
からです。

あまり強硬な対応をすると、
 他の国家も、ちょっと取引をするのは危険かもな
と思い、
 中国への投資を控えるようになる
わけです。

それにより、お金がインドやタイなどに流れるようなことになると、
 上海オリンピック後の経済成長に影響が出かねない
からです。

中国が今後も経済発展を続けるためには、
 バブル気味の投資を内陸部へ向かわせて、国土を開発し続けなければならない
わけで、
 そのためには、海外投資を呼び込む
必要があります。

そのため、あまり強硬な戦略は取りたくない。
ただ、弱腰だと、人民軍からの支持が揺らぐ危険性がある。
小平が心配していたのも、
 人民軍の掌握だといわれていました。

つまり、中国という国を考える上では、
 ハーバードへ留学する清華大学や北京大学のエリート政治家
と、
 毛沢東からのDNAを持つ中国共産党政権時代の人民軍
という2つの勢力の考え方を頭に入れたうえで、
 対策を練らなければならない
ということです。

中国では、日本のように、シビリアンコントロール(軍を民間人がコントロールする体制)が働いていないことを忘れてしまうと、
 行動が読めなくなる
と思います。



ここで、政治に「もし」は、ないということは承知の上で、
 小沢総理だったらどうなっていたか
と考えてしまいます。

小沢氏は、親中派の田中角栄のもとで、成長した政治家で、
最近では、新人議員を連れて中国へ行ったことが有名です。
つまり、パイプを持っているということ。
そうなると、ここまでこじれないうちに解決できたように思われます。

今ようやく、自体の重要性に気がついたようで、
メディアも大々的に報道するようになり、政府も対応に追われていますが、
中国と台湾・チベットの対立の歴史を学べば、
 中国がいかに領土問題や国体にナイーブな国家であるか
は分かると思います。

小泉政権時代に、尖閣諸島に上陸した活動家を強制送還をしてとっとと帰ってもらったのも、
こじれると、双方にとって痛いからです。

今回の対応は、
 問題を大きくしすぎた
ため、
 解決が非常に難しくなっています。

あまり知られていないうちであれば、
とっとと返して、遺憾を表明で済んだかもしれないですが、
返すのが遅れたため、
 中国がこぶしをあげてしまい、その上げてしまったこぶしをどうするか
が難しくなっているわけです。

何事もなかったかのように、下ろそうにも、
 日本を毛嫌いする多くの国民や、人民軍
の納得が得られないおそらがあるからです。


このケースから、学べることはたくさんあります。
これを学びの素材にして、自分の人生に役立てるとよいと思います。

最も大切な学びは、
 絶対的な正義などない
ということです。

こちらが正しいと思っていることも、相手はそう思っていないことなど沢山あります。
歴史も、勝った方が自分が正しかったと書き記しますが、
 結果が逆であれば、全く別の正義が生まれます。

関ヶ原の戦いなども、
 事前の合意からすると、徳川家康は正義に適っていない
ということになります。

そのため、豊臣政権がいかに国民のためになっていなかったか、
朝鮮出兵など失政を強調し、自分が正義だと作り上げる必要があったわけです。

歴史は塗り替えられ、領土問題も強いほうが勝つことになります。

植民地政策ですら、19世紀には正義に適う政策となっていました。
野蛮な人を教育して、キリスト教などの文化を広めることは正義だ。

歴史を学べばこういう事例はたくさん出てきます。

大切なことは、
 こういう場合に、どのように行動すれば、自分が幸せに生きることができるか
を考えるということです。

何も考えていないと、簡単に流されて、
 他人の正義感を押し付けられてしまう
ことになります。

難しい問題ですが、
 自分の頭で、自分は、何が正義と考えるのか
 どのように解決することができるのか
を考える。

正解などないので、自分で自由に考えてみればよいと思います。
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国家について考える。

2010年09月25日 | 国家論
日本が弱腰外交なのは、政府が悪いわけでも、官僚が悪いわけでもないと思います。
一番の問題の所在は、国民です。

国民は、長すぎた平和な時代によって、
 世の中には話合いで解決できない輩がいる
ということを忘れてしまっているわけです。

平和な田舎に行くと、鍵をかけずに外出する。
泥棒などいないからです。

しかし、都心部では、ありえない。
隣の人にも警戒感を怠らないようにしなければならない。
盗聴器が仕掛けられていないかに気を配らなければならない。
息子の声かどうかも注意しなければならない。
倒れている人に声をかける際も、ハンドバッグをひったくられないように警戒しなければならない。

世の中には、悪い奴も、道理が通らない奴も、自分のことしか考えていない奴も
 いっぱいいる
ということを前提に、自分の身は自分で守るようにしなければならないわけです。


これは、外交も同じ。

世界政府ができていない以上、
 自分の国は自分で守らなければならない。

アメリカを頼りにすることもできない。
所詮他人です。いくら条約を結んでいても、自分の国ではありません。
友達が襲われていても、自分が殺されそうだなという場合には、
助けない人も多いと思います。

中国や韓国が善人だと性善説を唱えることもできない。


自分の身は自分で守る。
これが原則です。

憲法でも自衛権を認め、自衛のための自衛力を保持することは認めています。

しかし、平和な時代が長かったため、
 自衛隊が武力衝突で出動することもなかった。

世界を見れば、パレスティナでは、ごく普通に軍が攻撃をしています。


日本国がどのように自分の国を守っていくのか?

仕事がない人に対し、生活保護を与えるのではなく、
 自衛隊に入隊して、お金を稼げるようにするシステムを作る。

これは、アメリカで現に行われている政策です。
サンデル教授の授業でもありました。

貧しいものが従軍するシステムは正義に適うのか?
本人が同意しているからよいとする意見と、
 同意は真意によるものではなく、お金がないから嫌々しているにすぎないという意見
の対立。


軍事費にどれだけお金を割くのか?
生活保護費や高齢者の医療費よりも、優先できるのか?

民主党は、軍事費よりも福祉費を優先し、多くの国民もその方がよいと考えています。


つまり、軍事費は、保険みたいなもので、
 何事もなければ、少ない方がよい。

何かがあって初めて、ありがたみが分かる。

沖縄の基地もそう。
何もなければ、無用の産物。
何かがあって、そこから軍用機が飛び立って、日本国を守ってくれて初めて、
 ありがたみが分かる。


話合いの前提には、力が必要です。

弁護士が闇金などのやくざに対応できるのは、
 弁護士の背後に国家権力がついている
からです。

 訴えますよ。刑事告訴しますよ。
 では、話合いをしましょう。

外交も、最悪の場合、強硬路線で来られると、
 自国もただでは済まないぞ。
という恐怖感があるからこそ、
 お互いにこのあたりで手を打ったほうがよさそうだ
となり、
 結果的に、強硬策に出なくても済む
わけです。

いろいろな国が、核を持ちたがるのもこうした理由からです。

あまり痛めつけると、ぶち切れて、上海と北京が壊滅することになると思えば、
 お互いに損だからこの辺でやめておこう
ということになるわけです。

相手が何もしてこないと確信していれば、
 徹底的にやってやろう
ということになります。


ここで、日本人にどこまでの覚悟があるのかということがポイントになってきます。

仮に、武力衝突が起き、爆撃を受けたとしても耐えられるか?
韓国のように2年間の徴兵制が導入されても耐えられるか?
軍事予算の増強により、消費税が20パーセントになっても、国のためと甘受できるか?


 弱腰だ。許せない。
と言いながら、
 基地はいらない。軍事費はもっと減らすべきだ。
 話合いで解決すべきだ。
という主張は、矛盾をはらんでいます。

 弱腰だ。
では、どうすればいいんだい?
 法律により処理すべきだったんだ。
では、中国が制裁を強化したらどうするんだい?
 話合いで解決すべきだ。
話合いに応じなかったらどうするんだい?
 国際司法裁判所に裁定を求めて・・
国際司法裁判所が機能しなかったらどうするんだい?
中国が裁定を守らなかったらどうするんだい?
 国際世論が日本を味方してくれる。
世界が中国の市場が欲しくて、利益の少ない日本の味方をしてくれなかったらどうするんだい?
 そのときは、ねばり強く交渉をして・・・
日本にレアアースや農作物、石油などが入ってこなくなって、物価高になったらどうするんだい?
生活が苦しくなっても耐えられるのかい?
 ・・・・・・

主権国家というのであれば、
 主権を守るために強制力を具備する
必要があります。

ただ、強制力は最後の手段。見せ金のように使う。

戦略的な外交。
相手の嫌がる制裁をこちらも用意できるような
 コントロールできる立場に立つように知的に成長する。

 それは、日本にしかできない。
 これがないと、我が国はかなり困る。

そういったものを国家レベルで作り上げる。
あるいは、国家が開発を邪魔しない。

国民が覚悟を決め、努力をして、国力を高める。
国力は、
 豊かになりたいという人が増えて、
 人よりも努力しようという志をもつ人が主流になれば、どんどん上がっていきます。

今は、残念ながら、平和な時代が長かったので、
 働かないでも生活保護で食べていける
という風潮が高まっています。
 一生懸命働いてきた人の年金よりも、生活保護費の方が高い
という逆転現象も起きています。

生活保護受給者は、戦後の混乱期を除き最高です。
190万人を突破し、200万人目前です。

その中には、体が不自由であったり、精神的な病であったりと
 やむにやまれぬ人がいます。
そういう人は、当然保障されるべきです。

しかし、仕事がないという理由で受給している人が増えているのが現状です。
仕事がないのは、国の政策のせいでもありますが、
 国力がどんどん減っていっている一因です。

学力の低下も、国力が劣っていっている理由です。


国家はチームです。
しかも、団体戦です。
みんなの力の底上げこそが、国家を成熟させ、国力を強くさせることになります。

国民が誇りを持っていて、人格を尊重され、怒らせると怖いぞと思われるような国に対しては、
 他国も最大限の注意を払う
ことになります。

ただでは済まないと分かっているからです。

日本がなめられているのではなく、
 日本国民がなめられている
わけです。

平和な国民には、何もできないだろうと思われているので、
これからも、圧力をかけて、実利を取ろうとしてくるはずです。

これは、竹島も北方領土も同じです。

国民がどういう国を作っていくのか。
そのためには、どういう覚悟を持つのか。
どの程度の負担なら負ってもよいと考えるのか。

日本国のために、自分には何ができるのか。

それを多くの国民が考え始めた時に、国家が変わることになります。

中国が小平の改革によって生まれ変わったように、
日本が国民の意識変化によって、目覚めるわけです。
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