ハムの旅立ち。

明日17日黒豚の「ハム」がコロポックル村を出発します。

この時が来ることは初めからわかっていたことなのに寂しくなります。

そして今更ながら深く考えてしまう時もあります…。

しかし、私はなんて残酷な人間なんだ！とは思いません。美味しいものを食べる

ため、供給するためには、日常生活では見ることがない場面も見なくてはいけ

ない事がある。ということは改めて感じましたが。

以前鶏は肉として販売していた時期がありましたので、自分たちで処理していた

事はあります。しかし、豚は初めての経験です。鶏よりも賢く、人に馴れ、感情

移入のしやすい（一頭で名前を付けて飼っているので余計に…）四足の動物。

私にとっては初めての経験。ハムと関わったほとんどの人たちも初めての経験。

最後まで気持ちよく、美味しく食べることは出来るでしょうか。

　　　　　　　　　


二月に生まれたハムは春先にコロポックルにやってきました。ハムは生まれた時

他の兄弟よりも体が一回り小さく、本来ならばこの時点で淘汰されてしまう存在

の豚でした。理由は大きくなるのに時間がかかり商業ベースに乗らないから。

仮に時間がかかってもいいので飼おうと思っても、競争に負けて途中で堕ちて

しまう事が多いからだそうです。ぐうぜんにもこの時期に豚を飼いたいと思って

いた私に、この豚でいいなら譲るよと言ってくれたのが始まりでハムは

コロポックルにやってきました。はたから見たら過保護、愛情の懸けすぎ、

ペット化と色々言われますが、一頭飼いという最高の環境（人間から見たら

最高の環境に見えるが、はたして豚に言わせたらどうだったのか…）でスクスク

育ち、一人前の豚に育ちました。運動のし過ぎで豚にしては「締まりすぎ」という

専門家の意見もありましたが…。確かに足が早く、動きのすばやい豚でした。

豚の動きはちっとも鈍くないということを知りました。

みなさんは普段気にしたことが無いかも知れませんが私たち肉を処理したり、

加工する側にいる人は考えることがあります。必ずしも、美味しい肉＝健康な

動物では無いということ…。霜降り牛は人間で言えばメタボに近く、豚は

肥満…。フォアグラは肝硬変？！それを喜んで食べるのが私達なのですけどね。。

こだわりのベーコンを作っている私達からしても、脂身の無いベーコンは全く

美味しくない！！と思っていますから。

一般的な飼い方（窓が無く、薄暗い畜舎の中で食べる寝るの繰り返し）よりは

はるかに豚らしい？！生活を送り、人間の愛情もたっぷり受けたハムはどう

感じたのでしょうか。健康的であることは間違いないと思いますが、肉としての

美味しさに結びついているかはまだ不明です。

明日の出荷場までの道のりもストレスの溜まらない方法で運びます。

何を持って最後かは人によって違うかも知れませんが、私は自分の手で最後まで

面倒をみたいと思っています。美味しく食す、加工することはハムにとっても

幸せなことだと思っているので。最後にハムを可愛がってくれた「ハムファン」

の皆様、本当にありがとうございました。

引き続き加工が始まったらお知らせします。