『アメリカン・サイコ』

2008-08-30 13:28:47 | シネマ







『アメリカン・サイコ』 
出演: クリスチャン・ベール, クロエ・セヴィニー 監督: メアリー・ハロン


サイコパスというとクラフト・エービングが著した『性的精神病質』という本があったそうだが、
何しろ1880年頃に上梓されたもので、
エービングはこの中で性倒錯を「生殖を伴わない全ての性行動」と定義したらしいから、
ほとんどの性行為が生殖を伴なわない現代人は、
エービングに言わせれば性倒錯者という事になる。


この映画は1980年代のニューヨークに住むヤッピー、パトリックの物語。
パトリックは最高級のスーツを着こなし、エクササイズに励み、
高級マンションに住み、最高級のレストランでディナーを摂る
完璧主義の優秀な証券マンである。

しかし彼には常に満たされぬ思いがあり、
いつしか街娼を切り刻み、浮浪者を刺し、同僚を斧で叩き割り、
浮気相手の脳味噌を喰らう、
、、、、という、夢か現実か、、その挟間を、
まるで全面鏡張りの部屋でガラスの破片を踏みながら踊るような炸裂と狂気で、
一種瀉血感と精神の浄化を感じさせながら描く。

パトリックは物質的、社会的、経済的にはほとんど満たされた環境でありながら精神的に満たされない。

つまり物質文明と消費主義に対する皮肉がメッセージという事らしい。

原作はあまりも残虐で猟奇的であったため、
米国ではフェミニストを中心に非買運動が起きたりして問題になったのだそうだ。





★★☆☆☆


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