横須賀市 米川歯科医院の米川です。
お盆休みを挟んだので少し間が空いてしまいました…。
前々回にお話した通り、今回は「滅菌をどのようにして行うのか」についてお話します。
全ての微生物を死滅させて無菌状態にする(=滅菌する)ってどうやるの?、と思われる方も多いかもしれません。
一般的に医療界ではオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)という器械を使って器具の滅菌を行います。
通常の器具を滅菌するのに米川歯科医院が使っているオートクレーブはこちらです。
一般的な歯科医院が導入しているサイズよりやや大きめです。
50kgくらいありますので一人ではなかなか持てません。
ちなみに電源は125V・20Aで一般のコンセントに合わず、特注です。
電気代も結構掛かります…。^^;
ただタービン類をこのサイズで滅菌するには大き過ぎて不便なので、タービン類専用のオートクレーブを導入しています。
写真にもありますが、ちょうどタービン類を入れるのに丁度いい大きさに作られているだけでなく、短時間で滅菌が可能になるように設定されているので、使い勝手が物凄くイイです。
通常のオートクレーブで滅菌をすると1時間弱掛かってしまいますが、こちらは15分もあれば滅菌が完了するようにできていますから重宝します。
さてさて、実際のタービン類滅菌手順は?と言いますと、
まず使用済みのタービン類にオイルを注します。
米川歯科医院ではオイルを注すのも専用の器械を導入しています。
オイルを注し終えたらオートクレーブで滅菌する訳ですが、1本ずつ滅菌するととても効率が悪いので、米川歯科医院では滅菌待ちのタービン類が20本前後になったら滅菌をしています。
この管理が思ったよりもとても難儀です。
1度に多くを滅菌すれば効率はいいですが、タービン類の本数に余裕がないと必要な時に滅菌が間に合っていないことになります。
前回お話した通りで、そのために沢山の本数が必要になり患者さん毎の滅菌が大変になるんですね。
米川歯科医院も結構本数を抱えているつもりですが、同じ治療内容が偶然何人も続くとタービン類が足りなくなりそうでヒヤヒヤすることもたまにあります。
また滅菌は器械類にかなりの無理をさせます。
タービン専用オートクレーブは、温度135℃で圧力0.23MPaを4分間持続させることで器械を滅菌しますが、タービン類に掛かる負担はかなり大きく寿命がかなり短くなります。
実際滅菌をすることで故障するタービン類は多く、それらを修理に出すと1ヶ月以上は平気で返ってきません(そして修理費用も少なく見積もっても4~5万円は毎回掛かります…)。^^;
その分も考えて本数を持っていないといけないんですね。
滅菌をするために、本数の管理、故障・修理の管理、オイル機器の管理やメインテナンス、オートクレーブ自体の管理やメインテナンス、などなど…、毎日毎日これらのことを全てクリアーしていかないといけない訳です。
にもかかわらず滅菌をしてもそれに対する報酬はありませんから、行わない医院が大多数でも不思議ではないかもしれません。
滅菌をシッカリしている大きな医院(例えば熊本の生田歯科医院)では、滅菌専任スタッフを雇用しているぐらいですから、医院の負担は大きいです。
滅菌をしないでアルコールでササッと消毒(≠滅菌)するだけで終えられたらどんなに楽なことか…。^^;
少し余談になりますが…。
今の時代オートクレーブを装備していない歯科医院はないと思っていました。
が、5,6年前に煮沸消毒(100℃のお湯に器具を入れて消毒するという古典的な方法)のみで滅菌をしていない歯科医院があるという話を聞きビックリした思い出があります。しかも横須賀市内で…。^^;
やっぱり医療は清潔でないといけませんよね。
当たり前ですが、米川歯科医院はこれからも滅菌を頑張ってやっていきたいと思います。
(本当に当たり前の話ですが…)
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