冬桃ブログ

和合の雛飾り

 下伊那郡阿南町に和合(わごう)という地区がある。
 ここで行われる「念仏踊り」は、2022年、
ユネスコの無形文化遺産に登録された。

 この念仏踊りは、宮下家という旧家の15代目当主が、
川中島から持ち帰ったのが始まりだと伝えられている。
 ぜひ見物したいのだが、和合はS村どころではない山中にあり、
曲がりくねった細い山道のかなた。
 盆踊りは夜だから、その機会があるかどうか……。
 
 でもこの地域の歴史に興味を持ったおかげで
宮下家の28代目当主、宮下金善さん、そして
奥様の澄子さんとご縁ができた。
 
 お二人は元教師で、和合の歴史を語り伝える
著書を二冊出しておられる。


 江戸時代中期に建てられた古民家の隣に
住んでおられるのだが、古民家の方は「宮下家住宅」として
長野の県宝に指定されており、一般公開されている。


 毎年、この時期にはその古民家に雛を飾り、
これも一般公開されているというので、さっそく
見学させていただいた。


 たくさんの吊るし雛は宮下澄子さんの手作り。 


 真ん中に飾られているのは土雛。

 
 いわゆるお雛様だけではなく、桃太郎や浦島太郎など、
おとぎ話の主人公から、花魁や翁、媼までさまざまな姿。
 江戸時代末期から昭和20年代あたりまでに、
全国各地で作られたものだという。
 宮下金善さんは子供の頃、玩具として
これで遊んだこともあるそうだ。
 澄子さんの解説を伺わせていただきながら、
なんとも華やいだ雛飾りを堪能した。

 宮下さんご夫妻。いまもお二人で古文書を学び、
歴史研究に余念がない。


 古民家の出入り口に、こんな紙が貼ってある。
 「かに」は「蟹」。
 柊やイワシの頭とともに、節分に飾る厄除けだそうな。
 蟹のはさみで角をちょん切っちゃうぞ、と鬼を脅す。
 なるほど!


 澄子さんから自家製の柚子入りコンニャクをいただいた。

 
 この写真はいわゆるコンニャク色に撮れてしまったが、
実物は薄い山吹色。
 うちに持ち帰って茹で、まずは刺身で。
 ゼリーのような柔らかさ。ほんのり口中に残る柚子の香。
 ちぎって「おでん」にも入れた。 
 庶民的な料理が、このコンニャクが入っただけで
上品な一品にイメージアップ。
 感動的な美味しさだった。

 この夜は裏の畑で採ったフキノトウ、春菊、ネギの青い部分で
天婦羅もこしらえた。
 山中に美味あり。これぞ贅沢の極みだと、私的には思うのだ。


 
 
 

 





 




 
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