冬桃ブログ

だから好きです、この街が。

 午後7時とはいえ、まだ明るい通りを
人々が続々と山下公園へ向かっていく。
 私は水町通りのイタリアンでスパークリングワインを
片手に、その流れを眺めている。
 恐ろしいほどの酷暑、まだ収まらないコロナ。
 いろいろあるけど、夏を、いましかないこの時を
楽しまずにいられようか、というエネルギーの流れ。

 7時半、爆音が響き、花火が始まった。
 25分間に二万発が打ち上げられるという。
 焦らず、ゆっくりと食事を終え、そろそろ
終わりかな、という頃、店を出た。
 山下公園はシートで場所を確保した人、
立ち見の人でぎっしり。
 その人たちの視界を遮らないよう気を付けながら、
フィナーレの絢爛に浸る。
 花火をこんな近くで楽しんだのは
ほんとうに久しぶり。


 翌日は寿町。
 この簡易宿泊所街で60年も暮らしている
78歳のK氏から、「西部の町」(西部劇のような
荒々しい町)と呼ばれた昔のことなどを聞かせていただいた。
 仕事はきつい肉体労働だが、高度成長期にはいくらでもあった。
 それでも懐が寂しい時は血液銀行で血を売った。
 危険な仕事も多く、ベトナム戦争で使われた薬莢の
処理は、耳が二日ともたないほどの爆音を伴った。
 港や船の関連では、船底の廃油掻きだしなどで
女性も多く働いていた……などなど。

 華やいだ観光地と、ドヤ街と呼ばれる簡易宿泊所街が
この街では違和感なく隣り合っている。
 人間のるつぼのような横浜。どちらへも普通に行き来
できるのが私には嬉しい。
 ここは「男の町」というイメージが強かったが、
住人の高齢化もあって、いまはかなり穏やかな町になった。
 女性受け入れに積極的な宿泊所も増えている。
 最後はこの町で看取っていただく…というのも
悪くないなと、けっこう本気で考えている。


 
 
 

 
 
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