花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

モルモット

2016-10-27 | 日記・エッセイ


子供の頃、若き父が学位研究に使うため、モルモットが家で沢山飼われていた。数もろくに数えられないのに減ったことは解ったらしく、お父さんが持って行った、また減ったと、そのたびに大泣きしていたという。悲しかったことは都合よく忘れて、いまやせっせと餌をやった楽しい記憶しか頭に残っていない。長じて自分が扱う番になれば、長らく接することがなかったモルモットは甚だ小さく見えた。そしてもはや家で育てた動物を実験に使う時代ではなかった。いつぞや処置済の一匹をそのまま失念して、なんとかして下さいと動物舎から医局に連絡が入ったことがあった。慌てて駆け付けると、いつの間にかケージ一杯のまるまる太った所謂ブタモルに育っていて引っ張り出すのに苦労した。真冬の寒い晩、第四研究室で膝に載せた小さな白いモルモット達はしみじみと暖かかった。この年になっても、遊園地でモルモットを見かけると必ず足が止まる。そうして何時までも眺めている自分が居る。