Shirakuのモノローグ

矢坂芝楽の日々あれこれを綴ります

「龍人の樹」を振り返って・リュウ編

2015-10-19 19:47:49 | SUZUMARU
前公演作「龍人の樹」は、すずまるが挑んだ初めての現代劇であった。

とは言うものの、“リュウ”という特別な存在を登場させている。

劇中によるお婆ちゃんの語りでは“龍人”と呼ばれ、台本やあらすじでは“異形の者”とだけに留めている。

“龍神”の話は近江にも多少あり、それを採り入れた形であるが、実際に何者であったのかは稽古を進めながら掘り下げていき、確立させていった。
が、それをここで書くのは野暮なので、観劇頂いたお客様の想像にお任せしたい。

ただ2つほどネタばらしをしておこう。

実際にはある絵本から始まった「龍人の樹」であるが、1つはその中に劇団俳優座さんの「樫の木坂四姉妹」に影響を受けた要素を取り入れている。
戦後、長崎の被爆者たちが負った苦しみを描いた「樫の木坂四姉妹」…
お婆ちゃん…“金沢竜子”は、「樫の木坂四姉妹」で主演された故大塚道子さんをモデルにし、“リュウ”の存在を“あるもの”に例えると…

そしてもう1つは、作者としては“リュウ”も同じ人間として描いている。
かつて、同じ日本人でありながら“まつろわぬ民”として征伐の対象とされた東北の蝦夷や九州の隼人…
今でも国の違いや肌の色の違いで様々な差別が存在している。
その部分も描きたかった1つなのだ。

“リュウ”を異形の者としつつ、特殊な能力を持たせたのは、ストーリー上分かり易くする為であった。

そこで”異形の者”なのである。
普通とは違う姿にする必要があり、執筆当初から特殊メイクは考えていたが、公演ギリギリまで具体的なものを考えられずにいた。
ただ、被り物やペイントレスラー的なギミックなものにしたくはなかった。

リュウ役の磯崎くんと、メイクを担当してくれた井口さんと相談しながら、長浜公演の時は全身を龍に巻かれている入れ墨風にした。





そして彦根公演では、同じ事をしたくないという思いもあり、メイクにかかる時間が変わらないという事で、元々の案であった赤塗りを行った。





赤塗りの方は、写真を残しておらず、本番時の写真もなくて残念である。

入れ墨と赤塗り…

演じ手は全く同じ思いで演じていると思うが、観る側の印象はかなり違うと思う。

メイク1つで芝居が変わる…それもまた芝居の面白さである。

“リュウ”を演じてくれた磯崎真一くんも、苦しみながらも楽しんでくれたと思う。

さて、観劇頂いたお客様は、どちらの“リュウ”がお好みかな?

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