多文化共生のすすめ

Toward a Multicultural Japan

規制改革・民間開放推進会議

2006年01月09日 | Weblog
規制改革・民間開放推進会議が2005年12月21日に「規制改革・民間開放の推進に関する第2次答申」を公表した。同会議は、総合規制改革会議(2001年4月~2004年年3月)終了後も規制改革をより一層推進するため、2004年4月、内閣総理大臣の諮問に応じ、民間有識者13名から構成される組織として内閣府に設置されたものである。

同会議は、2005年4月から、「外国人移入・在留ワーキンググループ(WG)」を立ち上げている。「外国人移入・在留」は、「少子化」「生活ビジネスインフラ」に並ぶ3つの横断的重点検討分野の一つに位置づけられている。

今回の答申では、外国人登録制度や研修・技能実習制度などについて2006年度中に見直すことを打ち出している。

外国人登録制度は、「在留外国人の公正な管理」(外国人登録法第1条)を目的とした制度で、日本人を対象とした住民登録制度が、市町村が「住民の利便」(住民基本台帳法第1条)を図ることを目的としているのとは大きく異なる。実際には、市町村は外国人登録のデータを使って行政サービスの提供を行っているが、そもそも、法律に外国人を管理することを謳っていること自体が問題で、多文化共生の理念に反する。また、外国人登録のデータが外国人の居住関係や家族関係の実態から乖離していることは、外国人集住都市会議が繰り返し指摘している。

一方、研修・技能実習制度が抱える人権問題、労働問題については、この10年、市民団体などが指摘してきた。途上国への技術移転という建前と中小企業による低賃金労働者の確保という本音のギャップは開いたままである。

今回、規制改革・民間開放推進会議が、こうした問題を取り上げることを高く評価したい。

また、もう一つ注目に値するのは、今回の答申が「我が国社会への適応を促す社会的統合政策」(95頁)に言及していることである。私は、日本政府に社会統合政策が欠如していることを以前から指摘してきたが、政府の文書に「統合政策」が取り上げられたのはおそらく初めてのことであろう。


「外国人移入・在留」の「問題意識」(95~96頁)の最後では、以下のように述べている。

「日本人の若年者・高齢者・障害者の雇用の促進、男女共同参画社会の実現、産業構造の高度化、多文化との共生といった観点も含め、少子・高齢化が進み、総人口の減少が視野に入った我が国の在り方に絡めての国民的合意形成に寄与すべく、諸外国におけるベストプラクティスや昨今の国内外における外国人移入をめぐる諸問題を踏まえた『受入れ政策』(主として政府の出入国管理政策)と『社会的統合政策』とを両輪とする総合的な法令・政策や、各行政機関相互の連携の在り方など、あるべき一定の方向性を示していく」と。

これは大変な長文でわかりにくいが、「多文化の共生」に言及していること、そして、新たな外国人の入国にかかわる「出入国政策」と入国した外国人の地域での受け入れにかかわる「社会統合政策」を一体のものとして、外国人政策を構築すべきことを示したことは評価に値しよう。

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