浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

日本なかりせば。 日本の凄い技術力。

2014-12-24 11:51:37 | 資料

効率は原発の約2倍! コンバインドサイクル発電

2011.07.22 日刊SPA

― 企業の自家発電能力だけで原発60基分!! 【1】 ―

原発の約2倍の熱効率を達成する天然ガス、太陽光発電etc.はスゴイ実力。
しかも電気代も安い!!

電力不足が騒がれる昨今、注目を集めているのが、液化天然ガス利用のコンバインド・サイクル方式発電。そのほか、現在日本に存在するエネルギーをかき集めたら、いったいどのくらいあるのか?を検証。

【天然ガス】
★効率は原発の約2倍! コンバインドサイクル発電

「世界のエネルギーの趨勢は原子力からガスに移行するということが既に常識になりつつあります。天然ガスはCOなどの排出量が少ないクリーンなエネルギーです。それを燃料とする効率のよいガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電に火力の3割を切り替えれば原発なんて必要ないのです。タービンはジェット機のエンジンと同じようなもので、ものすごい出力があります。原発やほかの火力よりもずっと効率がいい」



 原発推進に警鐘を鳴らし続けてきたジャーナリストの広瀬隆氏はこう断言する。その発電設備を持つ電力会社に聞いた。

「従来型の汽力発電方式では、ボイラーの蒸気で発電していました。GTCCはそれにガスタービンを組み合わせたもの。まず燃焼ガスでガスタービンを回し、次にその排熱を利用して蒸気タービンも回すのです」(関西電力・地域共生広報室)

 発生した熱をなるべく逃がさずに利用する、いわば「一粒で二度おいしい」優等生である。関西電力・堺港発電所では三菱重工業製の世界最高水準の高効率を誇る最新鋭機が09年から運転開始し、現在5台で200万キロワットの出力で原発2基分に相当する電力を生み出す。「堺港発電所は旧設備比で二酸化炭素を30%削減でき、熱効率は41%から58%にアップしました」(関西電力)。

 原子力発電の熱効率は30%程度なので、いかにこの方式が効率よいかがわかるだろう。関電では2015年までに順次、火力の部分をGTCC発電に転換していき、636万キロワットまで高める計画だという。



★原発よりも扱いやすく無人運転も可能

メーカー側も同方式の販売に意欲を見せる。米ゼネラル・エレクトリックのジェフリー・イメルト会長兼最高経営責任者(CEO)は4月4日来日の際、東京電力に火力発電用ガスタービンを供給するかたちでの支援を約束している。同社と提携し、三菱重工と世界市場で争う日立製作所広報・IR部の泉澤雄一氏は今後の営業方針をこう語る。

「当社のガスタービンは排熱の温度が高く、メンテナンス頻度が少ないことが特徴。国内で原発の新規建設の遅れが予想されることから、GTCC発電所の需要は高まるとみています」

 前出の広瀬氏は、この日立製のGTCCが設置されている九州電力・新大分発電所を見学して感嘆したという。

日立製ヘビーデューティー型2軸構造ガスタービンH-80。同型としては世界最大の8万キロワット。九州電力・新大分発電所に搭載。

「11万~24万キロワットの中型発電機13基で、総能力230万キロワットという巨大原発2基級の発電能力を持っている。熱効率は49%を達成し、必要な電力量に応じて調整ができる。起動後、最大出力になるまでに約1時間と機動性に優れ、原発よりも扱いやすい」

 さらに驚くべきことに、この発電所はGTCCの設備構成がシンプルで、起動停止及び監視が比較的容易であることから「中央制御室無人化運用」(但し夜間宿直は2人)という全自動運転を行っているのだという。被曝労働者を生み出す原発と比べればその優位性が際立つ。ちなみに工期も、原発の7年に対してGTCCは2~3年程度だという。

【広瀬隆 氏】
43年生まれ。早大卒業後、大手メーカーの技術者を経て執筆活動に入る。80年代から多くの著書で原子力の危険性を訴え続ける。著書に『FUKUSHIMA福島原発メルトダウン』(朝日新書)など

★世界のエネルギーの趨勢は天然ガスに

― 企業の自家発電能力だけで原発60基分!! 【2】 ―

原発の約2倍の熱効率を達成する天然ガス、太陽光発電etc.はスゴイ実力。
しかも電気代も安い!!

電力不足が騒がれる昨今、注目を集めているのが、液化天然ガス利用のコンバインド・サイクル方式発電。そのほか、現在日本に存在するエネルギーをかき集めたら、いったいどのくらいあるのか?を検証。

★世界のエネルギーの趨勢は天然ガスに

 ところで、日本の電力会社としてはGTCCによる発電をどう位置づけているのか? 国内10電力会社の連合体である電気事業連合会広報部の工藤孝太郎氏に聞いた。

「国内すべての電力会社は火力の中でも石炭、石油より二酸化炭素排出の少ない液化天然ガス(LNG)によるGTCC導入について前向きといえるでしょう。供給力を『ベース』『ミドル』『ピーク』と分け、燃料単価が安い原子力でベース(水力・地熱も)を作り、そのうえで電力需要の日間変化に応じた調節を石炭、LNG火力で行い、ピーク時は石油と揚水式水力で対応するといった複合形態で需要に応えています」

日本ガス協会企画部の植草伸幸氏はこう解説する。

「今年3月、オバマ大統領は『新しいエネルギー源の第1の選択肢は天然ガス』『米国にはシェールガスが100年分ある』と演説。また国際エネルギー機関は6月、世界のエネルギー動向を概観した『ガスの黄金時代は来るのか?』という報告を出しました。在来型ガス確認埋蔵量は63年とされていましたが、シェールガスなど非在来型天然ガスを加えると回収可能な埋蔵量は250年分あると算定されたのです」

 可採年数では、石油42年、ウラン100年、石炭122年をはるかに上回る資源に躍進した。

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(旧石油公団)の特別顧問でガスエネルギーに詳しい石井彰氏は次のように言う。

「スリーマイル島原発事故以後、米国が新規原発を造っていない理由は、安全面の不安もありますが、原発の建設費が高すぎて採算が取れないからです。土地代を除けばGTCCなら原発1基の標準的な出力100万キロワットなら500~700億円でしょう。原発とは1桁は違うはずです」

 日本の原発の建設費用は1基3000億~5000億円といわれている。そこに事故時の損害補償や、新たな津波・地震対策費や立地促進のための補助金、放射性廃棄物処理費用まで加えたら莫大な額がかかってしまう。

「日本は石油価格連動型の長期契約価格で天然ガスを世界一高く買っています。原発をすべてGTCCで代替した場合は、今まで使っていたものを止めるので確かにコスト増になりますが、少なくとも新規計画の14基分についてはGTCCに切り替えたほうが安上がりだと思います」(石井氏)

★企業の自家発電は電力会社より安い!?

― 企業の自家発電能力だけで原発60基分!! 【3】 ―

原発の約2倍の熱効率を達成する天然ガス、太陽光発電etc.はスゴイ実力。
しかも電気代も安い!!

電力不足が騒がれる昨今、注目を集めているのが、液化天然ガス利用のコンバインド・サイクル方式発電。そのほか、現在日本に存在するエネルギーをかき集めたら、いったいどのくらいあるのか?を検証。

【火力】
★企業の自家発電は電力会社より安い!?

 発電を行うのは電力会社だけではない。鉄鋼や化学、製紙など、石油や石炭などを大量に使う製造業では、発生するガスや蒸気などを利用して発電をしている。また、製紙会社では紙パルプの廃液である黒液を燃料として有効活用している。昭和電工や王子製紙、JFEスチールなど53の企業・団体からなる「大口自家発電施設者懇話会」によれば、会員企業の発電総量は1779万5000キロワット。その規模は四国電力や北海道電力以上、東北電力に匹敵するほどのものだ。同懇話会が2005年10月、経産省の総合エネルギー調査会に提出した資料によれば、「会員企業の36%が電力取引市場への参加に意欲的」だという。

「実際、自家発電の余剰分は企業間で売買されています。こうした電気の小売業者をPPS(特定規模電気事業者)と言い、最近は自治体でもPPSから電気を買うことを検討しているところが増えてきました」。そう語るのは、東京・立川市市議の大沢豊氏。

「立川市では、2010年度に市営の競輪場の電力購入先を東京電力から火力PPSのサミットエナジー社に切り替えました。PPSは企業努力しているため、全体的に価格が安めです。立川競輪場では、それまで年間6200万円だった電気代が4500万円になりました。25%も節約できたのです」。価格が安いのは魅力だが、PPSは電力を安定供給することができるのだろうか? 大沢氏は「需要が伸びれば、PPS側も安定的に電力を確保できるようになるでしょう」と答える。

「今は発電プラントのシェアでPPSは全体の4%、東京では7~8%にすぎません。現在、一般家庭など50キロワット以下の層は、電力会社の高い電気を買うしかないのですが、もしPPSを選べるように制度が変われば、市場は大きく変わると思います」(大沢氏)

 しかし、火力発電が増えると、地球温暖化の要因となるCO2排出量が増加してしまうのでは?

「立川市議会でもそれが議論になったのですが、実はCO2排出係数を比較すると、東京電力もPPSもあまり変わりはなく、むしろ排出係数が低いところもありました。都の入札では、CO2排出を低く抑えることが条件となっているため、各社が企業努力したのでしょう。今後は火力だけでなく、自然エネルギーの電気を売るPPSも増えるかもしれません」(同)

★燃料費ゼロ! 長く使えばいちばん有効な発電方法は?

2011.07.25

― 企業の自家発電能力だけで原発60基分!! 【4】 ―

原発の約2倍の熱効率を達成する天然ガス、太陽光発電etc.はスゴイ実力。
しかも電気代も安い!!

電力不足が騒がれる昨今、注目を集めているのが、液化天然ガス利用のコンバインド・サイクル方式発電。そのほか、現在日本に存在するエネルギーをかき集めたら、いったいどのくらいあるのか?を検証。

【太陽光】
★燃料費ゼロ! 長く使えばいちばん有効な発電方法

 液晶テレビで有名なシャープの亀山工場の屋根一面を太陽光パネルが覆う。今年3月までの累積生産量で世界第1位を誇るだけあって、その広さは甲子園球場のグラウンド3つ分(4万7000平米)。一般家庭1300軒分の電力を発電しているのだという。

 太陽光発電は、今回の震災で脚光を浴びた。ソフトバンクの孫正義社長が被災地を中心に「東日本ソーラーベルト」構想を発表。大規模太陽光発電所(メガソーラー)の設置先として、埼玉県や関西の近畿7府県が手を上げ、以前から太陽光発電に熱心だった山梨県もメガソーラーの誘致に取り掛かっっている。そうした空き地等に置く形式での、大規模太陽光発電の設置のコストや労力、時間等を試算したのが、山梨自然エネルギー発電株式会社の大友哲社長。「太陽光発電の可能性は、やはりすごい」と強調する。

「電力不足を警戒して東京電力などは、ガスタービン発電機を導入していますが、今後10年というスパンで観れば、太陽光発電の方が経済的だといえるのです。国の予測では、東京電力管内でこの夏は500万キロワット不足するのではと見られています。この不足分を補うためにガスタービン発電機を新設すれば、10年間で1兆5230億円というコストがかかります。一方、太陽光の場合は発電効率自体はガスタービンに劣るので、600万キロワット必要とします。その場合、当社実績で換算したコストは10年間で1兆4400億円。燃料費がかからないので、10年以上使うことを考えれば太陽光の方が最終的には安くなるのです」(大友氏)

 太陽光発電の利点は「置く場所さえあればすぐ発電できること」だと大友氏は言う。

「600万キロワットの設備でも、最速3か月で設置することができます。その場合、設置工事要員8万8000人、電気工事要員1万6000人が必要となりますので、新たな雇用も生まれるでしょう。広大な設置面積が必要となることが太陽光のネックとされますが、田舎は土地が余っている。600万キロワットの発電をするのに必要な山の手線内全域という面積も、実は私のいる北杜市だけでもカバーできるんです。膨大な人員での工事や田舎の土地利用は、見方を変えれば地方の活性化にもつながります」

★1か所で原発1基分の発電量を誇る揚水発電!!

― 企業の自家発電能力だけで原発60基分!! 【5】 ―

原発の約2倍の熱効率を達成する天然ガス、太陽光発電etc.はスゴイ実力。
しかも電気代も安い!!

電力不足が騒がれる昨今、注目を集めているのが、液化天然ガス利用のコンバインド・サイクル方式発電。そのほか、現在日本に存在するエネルギーをかき集めたら、いったいどのくらいあるのか?を検証。

【その他】
1か所で原発1基分の発電量を誇る揚水発電!!

 電力需要のピークは夏の昼間の数時間で、夜間は電力が余っている。この需要ギャップを利用すれば、ピーク時を乗り切ることができる。そこで注目されているのが、揚水発電だ。これは、夜間の余剰電力を利用して下貯水池から上貯水池にポンプで水を汲み上げ、日中の電力消費の多い時間帯に、大量の水を落下させ発電をするという設備。6月9日、玉原揚水発電所(群馬県)を視察した猪瀬直樹・東京都副知事は「今年の夏は特に、揚水発電にかかっていると思ってもいいのでは」と語る。同発電所は、国内最大級の揚水発電所で、その発電能力は120万キロワットと、大型原発1基分に匹敵。東京電力管内には、ほかの事業者の持つものも合わせれば1033万キロワットの揚水発電所があり、東京電力管内の需要予測5500万キロワットの中での存在感は大きい。

 夜間電力をやりくりできるのは、揚水発電だけではない。東北電力は、2000キロワット級のNAS電池(日本ガイシ製)を40台、8万キロワット相当を能代火力発電所に設置することにしている。環境関係の著書が多数ある田中優氏はこう解説する。

「NAS電池とは大容量の電池で、これまで蓄えられないとされた発電所の電気を蓄えられる優れもの。東芝は今月にも、家庭用蓄電池を発売する予定です。これを使い、一般家庭が太陽光パネルなどで発電して十分な電力を確保するには、約200万円かかりますが、半額近くの補助金が経済産業省から出る予定です。20年くらいで元が取れるでしょう。とはいえ、クーラーを5分だけ切るなど、節電することがいちばんの対策ですが」

取材・文/竹内一晴 志葉 玲 写真/共同通信社 関西電力 日立製作所

http://nikkan-spa.jp/26924

◆東レ、炭素繊維1兆円受注 米ボーイングから 

2014/11/17 2:01日本経済新聞 電子版

 東レは米ボーイングから航空機向けに最新の軽量素材の炭素繊維を1兆円分受注する。現行機と次期大型旅客機「777X」の主翼部分に今後10年以上にわたり独占供給する。東レは1千億円を投じ米国に世界最大級の炭素繊維工場を建設、世界首位の座を固める。高い技術力が求められる航空機分野で過去最大の受注となる。日本企業が技術革新力で世界競争を勝ち抜く代表例といえそうだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ16H0Z_W4A111C1MM8000/

◆ステルス戦艦を生み出した炭素繊維技術、世界の生産能力の75%は日本に集中…中国紙

2014年12月1日 レコードチャイナ

2014年11月27日、中国人民解放軍の機関紙・解放軍報は記事「炭素繊維技術の進化がステルス戦艦を生み出した、日本の製造能力は世界の75%を占める」を掲載した。

次々と新たな軍事技術が生み出されているがその基盤となっているのが炭素繊維だ。先日もハエほどの大きさの超小型ドローンの開発成功が報じられた。建物の内部など狭い空間でも情報収集や救援活動が可能になると期待されている。米軍の新型戦闘機F-35にも炭素繊維が利用されている。重量軽減に大きな役割を果たした。また炭素繊維を使ったステルス軍艦も開発されている。

今や最先端軍事技術には欠かせない炭素繊維とその関連技術だが、量産にはきわめて高度な技術が必要となる。そのため安定した生産能力を持つ国はごく少数だ。核心技術は日米が掌握しており、世界の生産能力の75%は日本に集中している。(翻訳・編集/KT)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141201-00000015-rcdc-cn

◆米海軍のステルス駆逐艦が進水、炭素繊維で軽量化

2013.10.31 CNN



(CNN) 米海軍は31日までに、ステルス機能を持つ最新型駆逐艦「ズムウォルト」が東部メーン州の造船所で進水し、搭載兵器を備え付ける作業に今後入ると発表した。装備品の装着などが全て終えた来年に海軍に引き渡される予定。

ズムウォルトはステルス性を誇る最も大型の米海軍戦闘艦船で、DDGー1000型の1号艦。全長は約186メートルと従来の駆逐艦より長く、航行速度もより速い。船幅は約25メートル。ハワイ真珠湾に沈む旧戦艦アリゾナより長くて船幅が狭いが、重量は約半分程度だという。

船体表面の大部分に軽量の炭素繊維が使われ、独特の船体の形状もあり、敵レーダーによる探知は従来型の駆逐艦と比べ50倍程度困難になるという。米海軍は、レーダーでは漁船程度の識別しか出来ないとしている。

海軍によると、ズムウォルトは2つの最新型砲門を搭載。砲門はコンピューター誘導、ロケット推進型の砲弾を用い、63マイル(約101キロ)離れた標的の破壊が可能。この砲撃の距離は現行駆逐艦の火砲を3倍上回っている。新型のミサイル発射システムも備え、トマホーク巡航ミサイルやシースパロー艦対空ミサイルなど計80発のミサイル発射が可能。



また、シーホーク型ヘリコプター2機や無人機4機を積むことも出来る。

米海軍はDDGー1000型の研究、開発に最大で90億ドル投入。200億ドルかけて計7隻を建造予定だったが、予算増大が判明し3隻に縮小した。

ズムウォルトの乗員総数は約150人で、現有の駆逐艦の275人から激減する。自動発射式の最新型砲門の搭載で、砲弾の装填(そうてん)要員らが不要になることを反映している。

http://www.cnn.co.jp/usa/35039270-2.html

◆我が国には世界トップシェア、世界トップ技術を誇る中小企業が千社以上ある。

2014/09/30  草莽崛起ーPRIDE OF JAPAN

 我が国には世界トップシェア、世界トップ技術を誇る中小企業が千社以上ある。

■1.「小さな世界一企業」千社

 経済産業省の内部資料によると、日本には世界シェア・トップの中小企業が100社以上あるという。さらに政府系金融機関が把握している世界トップレベルの技術を持つ企業を含めると、千社を超えるという推計もある。[1,p25]

 弊誌では、今まで、瀬戸大橋やスカイツリーなどで使われている「絶対ゆるまないネジ」を開発したハードロック工業(社員50名弱)[a]、100万分の1グラムの歯車を作った樹研工業(70名)[b]、痛くない注射針を開発した岡野工業(6名)[c]を紹介してきた。

 近年はエレクトロニクス分野ではソニーやパナソニックなどが一時ほどの存在感を失い、アップルやサムスンなどにお株を奪われたように見えるが、これらの外国企業も部品レベルでは多くの日本企業に頼っている。
 自動車分野はトヨタやホンダを代表に日本企業が世界をリードしているが、それも日本の優れた自動車部品メーカーの力による所が大きい。逆に欧米メーカーが日系部品メーカーを使って追い上げを図っている。

 航空機分野では、ようやくホンダジェットや三菱のMRJが登場しつつあるが、話題のボーイング787は日本企業の分担比率が35%にも達する。

 エレクトロニクス、自動車、航空機などは売上げ規模も大きいので大企業でないと取り組めないが、グローバル化の時代には部品・材料を供給する中小企業が世界のマーケットで勝負できるし、かつ本格的な技術革新は部品材料から生ずるものが多い。

 こういう意味で、日本に1千社もの世界トップレベルの中小企業が存在するという点は、我が国の財産である。今回は、いくつかの小さな世界企業を取り上げて、それがどのように誕生し、成長したのか、見てみよう。

■2.歯医者さんの照明が替わっていた

 昔の歯医者さんが頭に付けていた丸い鏡を覚えているだろうか? 額帯反射鏡、またはヘッドミラーと言い、患者の口内に丸い鏡で光を当てながら、患部を観察する。鏡の中心に穴が開いていて、そこから覗く格好で使う事もできる。

 この鏡がいつのまにかなくなって、最近ではデスク・ライトのような照明で、患者の口の中を照らす。単なる照明器具と思ったら大間違い。デンタル・ミラーと呼ばれ、次のような3つの革新的な機能がある。

 まず、医者の手や手術器具の影があまり出ない。ライトは特殊な反射鏡で光を送るが、鏡の表面に細かい湾曲がたくさんあり、いろいろな角度から光が差し込むので、影ができにくい。昔のヘッドミラーを頭につけていたのは、医者が頭の位置や角度を変えて、光の当て方を細かく調整していたのである。このデンタル・ミラーによって、医者はそんな事は気にせずに治療に集中できるようになった。

 第2に熱が出ない。治療中に歯茎から出血することがあるが、熱は治療の大敵だ。LED照明にしても、ある程度の熱が出る。このデンタル・ミラーは光のみを反射して、熱は送らない。

 第3に自然光を再現する。これにより動脈と静脈を見分けたり、人工の歯を入れるときに、他の歯と白さを合わせることができる。

 こんなすごい機能があれば、歯医者さんが一斉にデンタル・ミラーを採用したのも当然だろう。また歯科医だけでなく、一般の外科手術にもこの技術が使われている。手術のレベルアップに多大な貢献をしているものと思われる。

 このデンタル・ミラーを開発したのが、千葉県柏市に本社を置く従業員約3百名の中企業、岡本硝子で、この分野では世界シェア7割強を持つ。その他にもパソコン画面を投影するプロジェクター用の反射鏡など、光学分野では幅広い製品ラインを展開している。

■3.職人と技術開発と

 岡本硝子は、昭和3(1928)年、現社長・岡本毅の実父によって設立された。創業の翌年には、海軍から船舶用照明灯と信号ガラスの工場に指定された。戦後、海軍がなくなったが、造船所で使う色ガラスでトップシェアをとったり、高速道路の水銀灯を一手に引き受けたこともあった。

 一大転機となったのは、商品ディスプレー用の照明機器メーカーから、デパートなどの高級ファッション用品の展示用に、自然で鮮やかな色が出せないか、という依頼を受けた事だった。精度の高い硬質ガラスで湾曲した反射鏡をつくる技術が高く評価されての依頼だったが、簡単には進まなかった。

 ガラス自体の精密な成形は、熟練工が腕をふるう。この道一筋の熟練工になると、手で触れただけでガラスの微妙な具合が分かり、「今日のガラスは機嫌が悪い」などと言う。

 湾曲したガラスの表面に特殊な膜をつければ、いろいろな光を出せることは分かっていたが、膜のバラツキが大きすぎて、使い物にならなかった。「問題は膜にある」として、従来外部に頼っていた表面処理膜の技術開発を自社で行うこととした。苦労の末に、お椀状に湾曲した反射鏡の内側に均一に膜をつける技術を開発したのである。

 岡本硝子の成功要因は、ひとえに照明にこだわり続けた点にあるだろう。そして顧客の求める照明を追求する事によって、ガラス成形の職人を育て、表面処理膜の技術を開発していった。同社の一途さこそ、世界トップシェアをもたらした原動力である。

■4.超小型ベアリングでの世界一

 もう一つ、昔の歯医者で思い出すのは、キーンと恐ろしい音をたてて歯を削る医療機器である。その音と共に、刃先が口の中で激しく回転して歯をゴリゴリ削るので、これで「歯医者は苦手」という人も少なくなかった。

 それが最近の切削器具は、音も静かになり、歯に激しい振動を与えることもほとんどなくなった。昔は1分間に数万回転だったが、今は28万回転にあがり、それだけ歯を滑らかに切削できるようになった。この進歩を実現したのがベアリング(軸受け)の改良だ。

 高速で回転する刃とそれを支えるホルダーの間に、小さな鋼球が円周状に並んで入れられており、それが刃の回転を支えつつ、回転時の摩擦を小さくする。これがベアリング(軸受け)である。鋼球が真円に近く、その大きさが揃っているほど、摩擦が少なくなって高速回転が可能となり、振動や音も減少する。

 外径が6ミリ以下の超小型ベアリングのトップメーカーがNSKマイクロプレシジョンだ。最近では外径2ミリ、内径0.6ミリの世界一小さなベアリングの量産技術を確立した。その部品はナノ(100万分の1ミリ)単位の加工精度で製造される。

 この超精密加工を可能にしているのが、自社で開発した加工機械で、その設計、製作、さらには運転にも、この道数十年のベテランが携わっている。完全自動に近い設備だが、海外に持っていっても、国内のような超高精度の製品はできない。

■5.一筋の道

 同社の前身は昭和24(1949)年に設立された「石井鋼球」で、ボールペンの先端部に入れる鋼球の生産を始めた。昭和26(1951)年にはミニチュア・ベアリング(超小型玉軸受け)の需要が将来伸びる時代が来ることを見越して、研究開発、生産販売を開始した。

 自動車、ハードディスク、ディスクプレーヤーなど、回転部を持つ製品は多く、それらにはすべてベアリングが使われる。大手ベアリング会社が大型から小型まで幅広い製品開発をするのに対し、同社は小型に特化することで、研究開発費を押さえつつ、世界最先端の技術を深掘りしてきた。

 昭和36(1961)年、日本精工と資本、技術販売の提携を結び、その資本系列には入ったが、現在も創業者の子息が社長を勤め、独自の経営を維持して、子会社というより、パートナーの関係になっている。

 高い技術を必要としない製品は海外生産に移したが、極小ベアリングの生産は国内に限定して、社員500人規模の中企業となっている。同社の成功要因も、鋼球の生産から始め、それを応用して市場の求める極小ベアリング一筋に職人を育て、技術を深掘りしてきたことだろう。

■6.スクリューで国内で7割、世界で3割弱のシェア

 船舶用プロペラ、すなわちスクリューの製作で、国内で7割、世界で3割弱のシェアを持つのが、従業員約400人のナカシマプロペラである。

 ベアリングと同様、高性能のスクリューは泡や波を少なくすることで、エネルギー効率を良くする。ナカシマのスクリューは発展途上国の製品より割高だが、節約できるエネルギー代で、1、2年の航海で元が取れてしまう。また音や振動が少ないので、1ヶ月も船上で暮らす船員にとってもストレスが少ない。

 こうした高性能のスクリューを作るには、10メートル近くある大きなプロペラの翼を、100分の1ミリ単位で研削していく技術が必要だ。わずか数ミリの誤差でも、泡が発生したり、振動が大きくなったりする。

 精度上、最も大事な研削作業は、この道数十年の熟練工が行う。手の感触を頼りに、100分の1ミリレベルの正確さで削っていく作業で、コンピュータ制御の機械でもできない。だから外国企業も真似できない。

 またスクリューは船の設計に合わせて、千差万別の設計と製作が必要だ。中島社長は「100万通りの要求に100万通りのプロペラでお応えします」と語る。どんな顧客のどんな要求にも応じるという徹底した顧客第一主義を貫いている。

「まだまだ中国や韓国には負けない」と中島基善社長は言うが、どんなスクリューも設計・製作する専門技術と熟練技能には、何年経っても追いつけないだろう。


■7.「プロペラに生きる」という一途な姿勢

 ナカシマプロペラの前身は、中島社長の祖父・中島善一が岡山で大正15(1926)年に設立した「中島鋳造所」である。善一は、当時まだ帆船が多かった漁船がエンジン付きの船に替わる、と予想して安価な漁船用プロペラの製造・販売に乗り出した。妻の松子は乳飲み子を背負って瀬戸内海の漁師町でプロペラを売り歩いたという。

 戦時中は軍の要請で上陸用舟艇のプロペラを開発し、その製造を一手に引き受けたが、終戦間際の大空襲で工場は全焼し、敗戦によって、軍からの需要はゼロとなった。

 しかし、プロペラ・メーカーとしての再起を決意し、旧海軍のプロペラ設計者を雇い入れて技術の向上を図った。漁船用以外の大型プロペラにも進出し、専門メーカーとしての地位を確立していく。

 高度成長時代には日本の造船業界が世界トップを占め、ナカシマも国内第2位まで登りつめたが、どうしても抜けなかったのが神戸製鋼所のプロペラ部門だった。

 しかし、70年代以降、日本の造船業界は韓国の追い上げで激しい不況に追い込まれ、神戸製鋼所はプロペラ事業から撤退する。他にいくつも事業部門を持っている大企業だからこそできる決断だが、プロペラ一筋のナカシマには他に道はない。中島社長はこう語る。

 私の会社はプロペラの専門会社で、どんな不況でも撤退することはできない。ここで生きるしか、ここで頑張るしかなかった。そんな「プロペラに生きる」という一途な姿勢が、世界トップシェアを取れた最大の理由でしょう。[1,p2]


 その一途の姿勢で、コンピュータ制御の大型翼面加工機などの先端機器を取り入れ、先端技術と熟練技能の組合せで、大型プロペラの精密加工に挑戦していった。それが今日の世界トップシェアの原動力となったのである。


■8.「小さな世界一企業」の共通点

 反射鏡、極小ベアリング、大型スクリューの3つの分野で、小さな世界一企業を紹介した。グローバル化の時代には、このような他社の真似のできない技術を持つ中小企業が、世界の大企業に部品や材料を売り込めるのである。

 この3つの企業に共通するのは、以下の点である。

1.一つの事業分野に一途に徹する
2.その分野で顧客のどんな要求にも応えようと挑戦する
3.そのために長期的に技術を開発し、技能を深める

 こうした姿勢をとるには、いろいろな事業分野に取り組む大企業よりも、一つの分野に集中する中小企業の方が向いている。また、長期的に技術開発や技能の深掘りに取り組む事は、終身雇用制度が根強く残っている日本企業ならではの得意技だ。

 弊誌558号「永続企業の技術革新」では、我が国には創業100年を超える「長寿企業」が10万社以上ある事を紹介した[d]。世代から世代へと一つの事業を継承していく一途さは我が国の国民性であり、それが「長寿企業」にも「小さな世界一企業」にも現れている。

 こうした「小さな世界一企業」が、我が国にはたくさんある。参考文献[1]の『世界を制した中小企業』には、船舶用冷凍庫で世界シェア8割の前川製作所、高級猟銃での世界的メーカー「ミロク」、サッカーのワールドカップなどで審判が使う笛を一手に引き受けている従業員わずか5人の零細企業「野田鶴声(かくせい)社」など、元気な世界一企業が次々と登場する。

 こういう「小さな世界一企業」が多数あることは、我が国の誇りであり、また強みである。中小企業は日本の雇用の88%を占める。全国津々浦々の中小企業が、それぞれの事業分野で「小さな世界一企業」を目指すことが、精神的にも物質的にも豊かな国作りにつながっていくだろう。

(文責:伊勢雅臣)

http://prideofjapan.blog10.fc2.com/blog-entry-6345.html

◆富士通、米防衛関連IT企業を買収

2014年08月26日 軍隊ちゃんねる

【ソース】
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201408/2014082600194

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014082602000105.html

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ26HDH_W4A820C1TJ2000/

【概要】
富士通の富士通サービスがアメリカ防衛関連IT企業のグローブレンジャーを買収していたことが26日、分かった。

アメリカ国防総省はグローブレンジャーの武器管理システムを採用している。

また、富士通は今年6月、オーストラリア国防省のIT機器の運用管理を請け負う契約を3年間延長した。

http://gunzichannel.blog.fc2.com/blog-entry-13432.html
 
◆ロシア原潜 解体後の保管に日本の技術

2014年10月23日 NHK NEWS WEB

ロシア極東の沿岸にある解体された原子力潜水艦の一部を陸上に移して保管する事業で、日本の技術によって安全に保管できるよう処理された原子炉部分が入った容器が、初めて公開されました。

ロシア極東のウラジオストク近郊では老朽化した原子力潜水艦の解体が進められていて、その作業で出た原子炉部分は、大きな容器に密閉処理され日本海沿岸に係留されています。

これらについて、ロシアでは、より安全に保管するため、陸上に移す作業を進めていて、22日、日本の技術によって安全に保管できるように処理された原子炉部分が入った容器が、初めて公開されました。

容器は、海水や潮風でさびないよう特殊な塗装が施されていて、この処理は、日本政府がことし6月、7億円余りを拠出して提供した近くの施設で行われました。
施設ではこれまでに3個の容器が処理されましたが、今もおよそ50個の容器が沿岸に係留されているということで、ロシアは2020年までにすべてを陸揚げして、塗装処理を行う予定です。

この事業では、日本政府はこれまでも作業に必要なクレーンなどの機材をロシアに提供していて、担当するロシア国営の原子力企業「ロスアトム」の責任者は「作業を進めるうえで必要な技術を提供してくれた日本に深く感謝している」と話していました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141023/k10015625731000.html
 
◆名大、新しい電気ロケットエンジン「ヘリコン静電加速推進機」を開発

2014年11月24日 財形新聞

 名古屋大学の佐宗章弘教授らによる研究グループは、三菱重工業と共同で、新しい方式の電気ロケットエンジン「ヘリコン静電加速推進機」を開発した。

 これまでのヘリコンプラズマ発生装置は、エンジン寿命を長くするために、プラズマに電極が接しないようにしていた。

 今回の研究では、あえて加速部に電極を配置することで加速電圧を有効にプラズマ加速に利用できる仕組みを開発し、「カスプ磁場」と呼ばれる磁場形状を利用して、プラズマの流れが直接加速部に配置した電極に当たらないようにすることに成功した。

 このように、磁場と電極を組み合わせて、電圧を使ってプラズマを加速させることに成功したのは世界で初めてのことで、考案したのは昨年度卒業した大学院生が考案したものである。

 なお、この内容は「Applied Physics Letters」にオンライン掲載された。

http://www.zaikei.co.jp/article/20141124/223459.html

◆レンズ原料の「蛍石」を人工合成 岩谷産業

2014.10.14 産経フォト

 岩谷産業は14日、デジタルカメラや天体望遠鏡のレンズの原料で国内ではほとんど産出されない鉱物「蛍石」(フッ化カルシウム)を、人工的に合成する技術を確立したと発表した。現在は大半を中国からの輸入に頼っているが、量産化のめどが立てば、国内での安定供給に道を開く可能性がある。

 天然資源の蛍石は品質のばらつきが大きく、中国でのレンズ需要増に伴い今後の輸出量が減らされる恐れもあり、人工合成技術への期待が高まっていた。同社は名古屋工業大の協力を受けながら、上田石灰製造(岐阜県大垣市)と共同開発を続けていた。

 合成化に成功した蛍石は、天然品に比べ純度が高く品質が安定しているのが特長。レンズの性能を左右する「光透過性」も国内レンズメーカーの要求水準を満たした。

 ただ蛍石は高純度品の価格が1キロ千円程度なのに対し、合成は同2千円程度と割高なため、量産化でコストを下げることが今後の課題となる。岩谷産業は今後、レンズメーカーなどへ売り込んでいくとしている。

http://www.sankei.com/photo/daily/news/141014/dly1410140023-n1.html
 
◆世界最強磁石化合物超える新物質を合成

2014年10月24日 The Huffington Post

ハイブリッド自動車の駆動モーターとして使われているネオジム磁石よりも少ないレアアースで、同等以上の優れた磁気特性を持つ新規磁石化合物NdFe12Nxの合成に、物質・材料研究機構の宝野和博(ほうの かずひろ)フェローのグループが成功した。佐川眞人(さがわ まさと)博士が1982年に発明した世界最強のネオジム磁石の主成分の化合物に匹敵する新規化合物が32年ぶりに見つかったことで、さらなる新規磁石開発が夢物語でないことを示した。10月20日付の金属系材料の国際速報誌Scripta Materialiaオンライン版に発表した。

ネオジム磁石に含まれるネオジムやジスプロシウムはレアアース(希土類元素)で、その産出が特定国に集中しているため、レアアースに頼らない磁石の開発が求められている。ネオジム磁石はネオジム2:鉄14:ホウ素1という磁石化合物(ネオ鉄ボロン)が主成分で、高い異方性磁界と高い磁化のために、それを主成分として作られる磁石は世界最強の磁石としての評価が確立しており、「これ以上の強度の磁石は開発できない」とさえいわれていた。

これまでの研究で、NdFe11TiNは安定に合成できる磁石化合物として知られていた。しかし、磁性を持たないチタン(Ti)が添加されているため、磁石としての性能はネオジム磁石より劣り、ほとんど注目されなかった。今回の研究では非磁性元素のチタンを使わずにNdFe12の結晶を安定化して成長させ、それを窒素ガスの中で加熱することにより、厚さ350nmのNdFe12Nx化合物の膜を合成した。その物性値を測定して、異方性磁界が室温で約8テスラ、磁化もすべての温度の領域でネオジム磁石以上の磁気特性を持つことを見いだした。

この化合物の磁気特性は高温で現在のネオ鉄ボロンをしのぐため、この化合物で磁石を作ることができれば、ハイブリッド自動車用磁石で大量に使われているジスプロシウムを使わなくても、優れた磁石特性が得られると期待される。また、Nd2Fe14BではNdの質量比が27%であるのに対し、NdFe12NxではNdの質量比がわずか17%で済むために(x=1として算出)、レアアースの使用を大幅に削減できる。さらに高価なホウ素を必要としないため、資源的・価格的に有利な化合物といえる。

宝野和博フェローは「現在は、薄膜で合成した新規磁石化合物の物性が既存のネオジム鉄ホウ素化合物よりも優れていることを示した段階で、この化合物を用いて実際に使える磁石にする研究はこれから始まる。まずは、安定なNdFe12Nxの粉末を大量に作り、磁石の形に固めていく方法を開発する必要がある。今回の発見を突破口に、レアアースが少なくて、ネオジム磁石を超える新規な強力磁石の可能性を探求したい」と意欲を見せている。

http://www.huffingtonpost.jp/science-portal/magnet_b_6033460.html
 
 

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