浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

日本のニュースからはロシア情勢が正しく伝わらない

2015-03-16 09:57:59 | 資料

ロシア・プーチン政権内に不穏な動き 野党指導者ネムツォフ氏暗殺で浮き彫りに

2015年03月14日  The Huffington Post Japan

[モスクワ 12日 ロイター] - ロシア野党指導者のボリス・ネムツォフ氏の暗殺事件からほぼ2週間。事件の背景や「黒幕」については依然、謎に包まれたままだが、事件をきっかけに、プーチン政権内部の亀裂が浮き彫りになっている。



政権内部で何が起きているのか、外部からはうかがい知れない。ただネムツォフ氏に近い筋は、政権内のある一派が事件を利用して、大統領に不満を持っていることを知らしめようとしている、と話している。

ネムツォフ氏の弁護士のヴァディム・プロホロフ氏は、ロイターに対して「プーチン大統領にとっても、事件は寝耳に水で、恐怖を感じているのかもしれない。クレムリンに近い場所での暗殺が可能ということは、(大統領の)車列への攻撃も可能、ということになる」と述べた。

プーチン大統領が今週、何の説明もなしに、カザフスタン訪問をキャンセルしたことで、憶測は一段と広がっている。カザフの政府当局者の1人は、体調不良のためだと述べたが、クレムリンによると、プーチン大統領の健康状態は良好で、通常どおり執務を行っているという。

プーチン政権内で、誰がどの派閥に属しているのか、そもそも派閥が存在するのかについて、確かなことは言えない。プーチン政権内に主張の異なるグループがあることは、誰も公式には認めていないからだ。

ただアナリストは、チェチェン共和国のカディロフ首長と、大統領の最側近である治安当局者との間に、深刻な対立があると指摘する。

■国内ではプーチン大統領「弱腰」批判も

プーチン政権内で不穏な動きを見せているのはナショナリストだ。ロシアによるウクライナへの介入は西側諸国の怒りを買ったが、ロシア国内では、プーチン大統領は弱腰だと不満を持っている向きもある。

ロシアでは、ウクライナ南部・東部の親ロ派への支援を強化し、支配地域をルガンスクとドネツク全土に広げるよう、要求する声が強い。

ウクライナ東部の親ロシア派の間でよく知られているロシアの指揮官、イゴール・ギルキン氏は1月、ロシアのインターネットTVとのインタビューで、プーチン大統領の側近を「西側寄り」だと批判した。

ロイターの記者は昨年12月、プーチン大統領に質問した。ウクライナ危機やロシア経済悪化による圧力が高まるなか、宮殿クーデター(支配者の側近によるクーデター)が起こるリスクを感じているかと。

大統領は「宮殿がないため宮殿クーデターは起こりえない。大統領の正式な居住地はクレムリンであり、警備に怠りはない」と強調した。

(Christian Lowe記者、Jason Bush記者 翻訳:吉川彩 編集:加藤京子)

http://www.huffingtonpost.jp/2015/03/13/russia-putin-unstable_n_6861276.html?ncid=fcbklnkjphpmg00000001

◆ネムツォフ暗殺の黒幕は?

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)3月9日(月曜日)
    通巻第4482号  <前日発行>
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 ボリス・ネムツォフ(元ロシア副首相)暗殺の陰に
   チェチェン・マフィアの犯行説も捨てきれないのでは?
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 ネムツォフの愛玩動物は猫だった。小渕首相訪露のおり、この猫の置物を土産にしたところ、ネムツォフはたいそう喜んだ。
同時に驚いて小渕首相に聴いたそうな。「わたしの趣味をなぜ知ったか」と。
 それは佐藤優氏の助言だった。

 ネムツォフは経済改革の旗手としてエリツィン政権を支えたが、同時に彼はチェチェン独立戦争には強硬姿勢をつらぬき、チェチェン過激派から恨まれていたようだ。
 FCB(KGBの後身)の調査ではチェチェン・マフィアはモスクワに於ける夥しい殺傷事件と誘拐に関わったとされ、近年でもウクライナにおけるロシア支持派の側にたって戦闘に参加していると「フリー・ラジオ・ヨーロッパ」(3月4日)が伝えている。


 2月27日、クレムリンのすぐ傍の橋で女性と歩いていたところをネムツォフは背中に四発の銃弾をあびた。
最近、ネムツォフはプーチン批判の最先頭にたっていただけに、クレムリンの犯行を疑うのは当然であろう。

しかしながら、これほどあからさまな暗殺をクレムリンの目の前で行うには、プーチンの仕業に見せかけた犯行という推測も浮かんでこないか。

http://melma.com/backnumber_45206_6176440/ 

◆ロシア暗殺の実行犯か。チェチェン治安部隊幹部など5人を逮捕。

ロシアの野党指導者ネムツォフ氏が殺害された事件で南部のチェチェン共和国の治安部隊の幹部など5人が殺害に関わった疑いで逮捕され、政権支持者が事件に関与しているのではないかとして注目が集まっています。

http://atuiblog.blog.fc2.com/blog-entry-64.html

ソチ・オリンピックが行われた土地は、ロシア軍の軍事侵攻によって「独立を失った」チェチェン人、チェルケス人達の土地であった。

ロシア軍によって殺害されたチェチェン人、チェルケス人の墓がブルドーザーで掘り返され、墓地が潰され、オリンピック観戦に来た人々が休息する公園に整備されたので、チェチェン人、チェルケス人達は激怒している。

オバマ大統領をはじめとした、各国首脳が開会式参加を辞退した理由も、ここにある。

このオリンピック開催に反対する人々を、「テロリスト」と呼んだロシア政府に正義は無い。

 ソチ・オリンピックの開催に伴い、ロシアでは「テロ対策」と称し、チェチェン人等の少数派への弾圧が激化された。

 ウクライナとモルドヴァに挟まれた独立国・沿ドニエストルの軍用空港からは、しばしばチェチェンに向けた輸送機が飛び立つ姿が見られる。

「公式には」この空港は沿ドニエストルの「独立」戦争時の戦闘等のため破損が激しく、使用されていない事になっている。

この国は独立時、独立を阻止しようとするモルドヴァとの対抗上、ロシアのプーチンに「支援」を要請した。

しかし「独立を達成した」現在でも、ロシア第14軍は、この地に「居座り続け」、事実上、この「独立国」はロシア=プーチンの「制圧下」にある。

 旧ソ連時代から軍事産業の集積する沿ドニエストルはロシア(ソ連)の兵器庫と呼ばれ、現在でもロシア軍の兵器の重要な供給地帯の1つとなっている。

この地からチェチェンに向けて飛び立つ輸送機の積荷は、ロシアン・マフィアとロシア第14軍=プーチンが、チェチェンの反ロシア勢力・独立軍に「売りさばく」兵器である。

プーチンが、「チェチェンのテロリスト」と呼び、「テロとの戦い」を唱導する、そのチェチェンの「テロリスト」の持つ兵器は、この輸送機を使いプーチンとロシアン・マフィアの手によって「供給されている」。

ロシア軍VSチェチェン独立軍。

この繰り返されてきた過酷な戦争で使用されるロシア軍の兵器は、ロシアと沿ドニエストルの軍事産業によって製造され、プーチンによって供給されている。ロシア軍と戦闘を繰り返すチェチェン独立軍の兵器も、ロシアと沿ドニエストルの軍事産業によって製造され、プーチンによって供給されている。

ロシアが絶対に、チェチェンの独立を許さない理由は、チェチェンの地下資源を奪う事にある。

◆プーチン大統領:ウクライナ危機の背後の「人形使い」は米国 

15.03.2015 ロシアの声

ロシアは当初から、ウクライナのクーデターの背後の「人形使い」が米国であることを知っていた。欧州はウクライナの反体制派をただ形式的に支援しただけだった。ロシアのプーチン大統領が「ロシア1」テレビのドキュメンタリー「クリミア、祖国への道」で述べた。



「形式的には、反体制派を支援したのは第一に、欧州であった。しかし、我々は、素晴らしくよく知っていた。あとから理屈付けしたのでない、知っていたのだ。真の人形使いは米国にいる我々のパートナーたち、友人たちであったと。彼らこそがナショナリストらを訓練し、彼らこそが戦闘部隊を養成したのだ」とプーチン大統領。

プーチン大統領はまた、戦闘部隊の訓練は部分的にポーランドやリトアニアで行われた、と述べた。

「我々のパートナーたちはどう振舞ったか。クーデターの遂行に道をつけたのだ。つまり、パワーによって、行動を開始させた。それが事を運ぶのに一番いい方法であるとは私は思わない」とプーチン大統領。

http://japanese.ruvr.ru/news/2015_03_15/283343143/

ウクライナでシェールガスの採掘権を持っている企業・BURISMAの取締役に、バイデン米副大統領の次男が就任した。つまり、ロシア影響圏内の資源にちゃっかりと触手を伸ばしたということだ。

◆米国は「強いロシア」の重要性を理解していない

15.03.2015 ロシアの声

米政府は「強いロシア」、「開花したロシア」というものが自分たちにとってどれほど重要であるかということをよく理解していない。米ロ関係評議会総裁、ロ米太平洋パートナーシップ理事長、デレク・ノーバーグ氏が述べた。

同氏によれば、「強いロシアは欧州および米国を含む世界経済に経済的刺激を与える」。また同氏によれば、「強いロシアは米国の有価証券の重要な購入者である」。たとえば、同氏によれば、「ロシア政府はここ数年、常に、米財務省の有価証券の購入者としてトップ10に入っていた。それらは米国の会計にとって致命的に重要なものだ」。
「ロシア経済が弱まり、または欧米の制裁によって弱められたために、ロシアはもはやそれら証券を取得することが出来なくなり、既に取得している証券も、次第に手放すようになるだろう」と同氏。「それは米国にとって根本的な脅威となる。そのことを米国の政権は、どうやら、十分真剣に検討していない」。具体的には、同氏によれば、その場合、米国の有価証券の主要な購入者としての中国の立場が強化される。

「単一の外国政府に過度に依存したならば、米国の金融モデルが脅威にさらされることは火を見るより明らかだ。それが中国であるならなおさらだ」と同氏。

米ロ関係評議会には両国の大企業が名を連ねている。Exxon Mobil、航空会社「ヤクーチヤ」、米ロ実務会議など。また、露米太平洋パートナーシップ理事会は、「米国とロシアの民間部門、地域および連邦政府を統合する唯一の国際フォーラム」をうたう。その活動目的は「東のロシアと西の米国の間の貿易と協力を拡大する」こと。

http://japanese.ruvr.ru/2015_03_15/283341073/

 大東亜戦争で日本を敵にしたことで、米国は国の方向を明らかに誤った。敵対するべき共産国を味方に引き入れ、既に選挙権や民主的政策を採る日本を敵と指定し、戦後味方であったはずの共産国ソ連と冷戦構造を招いた。ソ連が崩壊し民主的政策を進めるロシアを未だに敵と見なし、一党独裁で周辺国を次々と侵略し今も日本を我が領地と宣言し脅かす共産国支那と手を組んだ。

米国は自由主義国を名乗りながら、結局は共産国を常にパートナーとする。しかも、世界各国が内乱や混乱を招く裏には必ずと言って良いほど米国の裏工作が発覚する。正義の戦い、テロとの戦いと言いながら、テロ側の後ろで米国の影がちらつくのは何故か。結果から見れば、最大のテロ国家は米国ではないのか。

ロシアの軍事力分析

 ロシアの立場で自国が上とみる国、東欧諸国、支那、朝鮮。自身の方が下とみる国はなし。

ところが不思議なことに逆からみると軍事上あれだけの歴史的関係にもかかわらず、東欧諸国、特にポーランドなどは遙かに我々の方が上だと思っているのだ。これは東欧諸国皆同じである。
つまり欧州民族はロシア民族を見下している、ヨーロッパ人はロシア人をヨーロッパ人と認めていないということだ。支那も自分の方がロシアより上だと思っている。

実際に、ロシアは超大国なんて威張っていても、心の中では帝政ロシアの時代から西欧には劣等意識を持っていたのだ。
それは今でも変わらない。

ちなみに、ロシア軍は、国後・択捉両島の駐屯地を整備し、対艦ミサイルの配備を計画するなど、二島返還平和条約締結を念頭に軍近代化を着実に進展させている。これは今後の北方領土交渉にきわめて悪い影響を与えるだろう。

 ソ連崩壊時の支那への軍事対応に、やむを得なかったとはいえロシアは大失敗している。その最たるものが中距離核戦力(INF)全廃条約で、ロシアと米国=NATOとの条約は支那やインド、パキスタン、中東各国は関係がないため抑えがきかない。最近、ロシアが中距離核戦力(INF)全廃条約を破棄して、中距離核を保有したいと繰り返す裏には、こういう事情があるのだ。

 中ロはGDPですでに約4倍の格差がある。不透明な核事情と核管理は今やロシアの大きな不安材料となりつつある。

 中露国境を挟んだ人口格差に加えて、支那の教科書ではロシアが支那北部の領土を略奪したと記されており、将来的にロシア極東地域が支那の影響下に入ることをロシアも本気で懸念し始めている。ウラジオ空母配備計画はその対策の一環である。

 昨年3月26日からの中ロ首脳会談は「中ロ関係はかつてないほどの高水準」と演出されたものの、海外の反応は失敗と評価された。天然ガス交渉も、最新鋭戦闘機スホイ35などの十数年ぶりの大型武器供与もまとまらなかったからだ。支那は交渉成立、ロシアは否定とわけがわからない。時系列表にでているのはこの関係である。

 こういう流れがあって、ロシアは日本との安全保障の強化や、インド、さらには南シナ海の領有権問題で中国と対抗するベトナムとの戦略的関係を強化しはじめているのである。最近ではエジプト、トルコ、ギリシャもオバマの失政でロシア側についたとみられている。

 インドとの軍事技術協力では、第5世代戦闘機の共同開発などが進められ、ベトナムには、キロ級潜水艦6隻の売却や原子力発電所の建設、カムラン湾はロシア海軍の補給拠点として再生されることになっている。ドイツの対応次第では、ギリシャの土地にロシアの軍港や基地が出現するかも知れない。(私はむしろ、支那による基地が実現の可能性が高いと思うのだが。)

★中国営中央テレビは25日、中国が習近平国家主席のロシア訪問を前に、ロシアから新世代潜水艦「ラーダ級」4隻や最新鋭戦闘機スホイ35を24機購入する合意文書に署名したと伝えた。
2013/03/25
http://2ch-archives.net/anago.2ch.net-dqnplus/1-1364220332/ 
     
★ロシアのタス通信、中国の戦闘機・潜水艦購入報道を否定。首脳会談で取り上げずとロシア政府が完全否定
2013/03/27
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20130325-OYT1T01719.htm 

★パクリすぎで鼻つまみ者になった中国軍の最新戦闘機は解放軍も受け取り拒否した“プラモデル”(SAPIO 2013年2月号掲載) 2013年2月14日(木)配信

結局支那共産党は、国民を説得するためには、どんな嘘でも誇張でもする国である。朝鮮民族となんら変わらない。 

◆「西側が仕掛ける新しい戦争」? ロシアの新軍事ドクトリン

2014年11月25日(Tue)  小泉悠 (財団法人未来工学研究所客員研究員) ウェッジ・インフィニティ

プーチン大統領のヴァルダイ会議における演説を紹介した11月10日の記事で、筆者はその背景として「形を変えた侵略」という概念がロシアの国家指導部で広く共有されていることを紹介した。

 要するに、旧ソ連諸国での「カラー革命」やアラブ諸国での「アラブの春」、そして2014年2月に発生したウクライナでの政変などは、単なる民主化運動ではなく、西側の陰謀である、という見方だ。
 


 もはや国家間の大規模戦争が困難となった現代において、西側諸国は敵国の内部で政治的不安定状況を煽り、外部からは政治・外交・経済上の圧力と共に強力な情報戦と軍事的威圧(場合によっては実際の軍事力行使)を行い、公式の戦争を起こすことなく政治的目的(都合の悪い体制の打倒)を達成する。そしてロシアもまた、このような脅威に晒されているのだ−−−こう書くとなにやら陰謀論じみて聞こえるが、今やロシアではこのような考え方が安全保障政策の中心的テーマとして急浮上しつつあると言ってよい。

国防指導部のトップも「戦争のルールが変わった」

 これがただの陰謀論でない証拠に、このような見方を唱えているのはまさに国防指導部のトップそのものである。

 たとえば2013年2月、ロシア軍の制服組トップであるヴァレリー・ゲラシモフ参謀総長は、「予測における科学の価値」というちょっと変わったタイトルの論文を発表した(『軍需産業クーリエ』2013年2月27日付掲載)。

 ここでゲラシモフ参謀総長が述べているのは、21世紀の戦争は国家が堂々と宣戦布告をしてから始めるような分かりやすいものではなくなっているということだ。こうした近代的な戦争のモデルはもはや通用しなくなり、戦争は平時とも有事ともつかない状態で進むようになった。しかもそのための手段としては、軍事的手段だけでなく非軍事的手段の役割が増加しており、政治・経済・情報・人道上の措置によって敵国住民の「抗議ポテンシャル」を活性化することが行われる、と主張した上で、ゲラシモフは「戦争のルールが変わった」のだという。

 そこでここでは、ゲラシモフのいう新たなルールに基づいた戦争を「新しい戦争」と仮に名付けることにしよう。

 さらにゲラシモフは1年後の2014年2月にも「参謀本部と国家の防衛」というタイトルの論文(『軍需産業クーリエ』2014年2月5日付掲載)で現代戦に対応したロシア参謀本部のあり方について論じているが、ここでは「新しい戦争」の手段としては、NGO(非政府組織)やPMC(民間軍事会社)が隠れ蓑として用いられることもあると述べている。そしてその例として、シリア、ウクライナ、さらに北極海における環境団体「グリーンピース」の活動を挙げている。

 こうなるとゲラシモフの言う「国防」は、限りなく情報・治安機関の活動に近づくことになりそうだ。

 ただ、2013年の論文に話を戻すと、ゲラシモフは伝統的な軍事力の役割を否定している訳では無い。それどころか現代の軍事的トレンドとして、遠い地域に兵力を迅速に派遣する能力や、長距離から精密攻撃を行う能力、自動化された指揮通信システムなどを必須項目として挙げている。

 ゲラシモフによれば、現代の戦争は、以上のような非軍事的手段と軍事的手段とを組み合わせたもの(ゲラシモフ論文に添付された図によると、その比率は4:1とされている)であるという。その上でゲラシモフはこう問いかける。

 「アラブの春のような事態こそが21世紀の典型的な戦争形態ではないのか?」と。

異例のタイミングで改訂される軍事ドクトリン

 さて、このあたりで「もしかしてゲラシモフという人はかなりトンデモに毒されているのは…」という疑念がわき上がってくる方も居られるかと思う。我が国の例を見ても、将軍まで上り詰めた人物がかなりトンデモな政治観を抱いたりしている例は少なからず見られるのでその疑念ももっともであるが、前述の通り、ここでゲラシモフが述べている見解は、決して彼の個人的なものではない。

 その証拠に、今年5月、モスクワで開催されたロシア国防省主催の国際安全保障についての国際会議では、ショイグ国防相やセルグン参謀本部作戦総局長といった国防指導部がこぞって西側の「新しい戦争」を非難する演説を繰り広げた。ゲラシモフ論文は、むしろこうした国防省(なかんづく参謀本部)の見解を集大成したものと見た方がよいだろう。

 そしてこの「新しい戦争」の概念は、どうやらロシアの軍事ドクトリンに公式に盛り込まれることになりそうである。

 今年9月、プーチン大統領は、軍事ドクトリンの改訂案を12月までにまとめるよう命じた。現バージョンの軍事ドクトリンは2010年2月に公表されたものであるから、できてからまだ5年も経っていない(従来は大体7〜10年程度で更新していた)。にもかかわらず、このタイミングで軍事ドクトリンの改訂をプーチン大統領が命じたのは、明らかにウクライナ情勢を意識したものであろう。そして前述のように、ロシア政府は、ウクライナ危機こそが現に西側の展開している「新しい戦争」であると主張しているのである。

予防核攻撃の否定、米国やNATO批判は変わらず

 軍事ドクトリン改訂の鍵を握るのは、ユーリー・バルエフスキー安全保障会議副書記だ。安全保障会議議長であるプーチン大統領や、会議全体を統括するパトルシェフ安全保障会議書記がFSB(連邦保安庁)出身の公安畑の人間であるのに対し、バルエフスキーは参謀本部作戦総局長を経て参謀総長を務めた軍事戦略のプロである。

 それゆえに、安全保障会議が決定する軍事政策はバルエフスキーを中心とした省庁間作業グループが策定している。

 そのバルエフスキーが11月、来たるべき新軍事ドクトリンについて自ら執筆した論文が公表された。媒体は、ゲラシモフ論文を掲載したのと同じ『軍需産業クーリエ』である。

 この論文「軍事ドクトリンの新たな思想」(『軍需産業クーリエ』2014年11月12日付け)において、バルエフスキーは新軍事ドクトリンの特徴を幾つか列挙している。

 筆者なりにまとめると、伝統的な軍事的領域においては、新軍事ドクトリンは現バージョンと大きく変化しないようだ。

 バルエフスキーが第一に強調するのは、核兵器の使用が「ロシア連邦およびその同盟国に対して核兵器又はその他の大量破壊兵器を使用した攻撃が行われた場合」及び「ロシアに対する通常攻撃により、国家の存立が脅かされる場合」に限られるとした従来の軍事ドクトリンにおける核使用基準を変更することはないという点だ。これは前々からロシアが予防核攻撃ドクトリン(単なる先制核攻撃ではなく、戦争が始まる前に先んじて核兵器を使用するとのドクトリン)を採用するのではないかと言われてきたことへの反論であろう。

 しかし、第二に、米国は核戦力の近代化、ミサイル防衛システムの配備、宇宙の軍事化、通常型戦略攻撃兵器といった新兵器の配備によって戦略核バランスを不安定化させ、NATOをロシアの国境に向けて拡大させているとバルエフスキーは非難する。これも現バージョンの軍事ドクトリンで強調されている点でさして目新しいものではない。

「非核抑止力システム」の整備を

 これに対してバルエフスキー論文で注目されるのは、やはり「新しい戦争」への言及であろう。バルエフスキーは次のように述べている。

控えめに言っても核抑止は常に外的な軍事紛争を効果的に抑止しうるものではないし、内的な軍事紛争についてはまったく無力である。過去100年間、我が国に対して強圧的な圧迫を加えようとする試みはことごとく失敗してきた。直接的な軍事闘争でロシアに勝利するのは不可能である。だが、ソ連邦はもう存在しないのだ! 核兵器ではそれ(ソ連崩壊)を阻止することはできなかったのであって、「ソフト・パワー」のほうが強かったのだ。
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ここで結論を出そう。我が国は非核抑止力のシステムを整備しなければならない。

では、それは何を意味するもので、どのようにして課題を解決するのか?

非核抑止力システムとは、対外政策、研究開発、軍事技術的手段の総体である。それは国家が非核抑止力に関する行動を策定し、実現し、誇示するためのものである。

その課題の解決は次のように行われる。

第一に、軍事ドクトリンの中に非核抑止力を組み込み、宣言することで、法的正統性を確保する。

第二に、充分に広範な情報を得た上でそのための適切な実験及び訓練を実施し、非核抑止力のシステムが技術的に実現可能であることを実証する。

第三に、非核抑止力のシステムに沿う形で通常戦力の役割を拡大する。

今日、米国は「非直接的行動戦略」を用いて自らの死活的に重要な地域で軍事政治的状況の推移をコントロールしている。これは政治・外交、経済、情報に関する活動の総体である。
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「陰謀論」はロシアでどこまで本気にされているのか

 これについて、バルエフスキーは、現行の軍事ドクトリンはこのような米国流の新たな戦略(と彼が呼ぶもの)に充分に対応していないと指摘する。その上で、バルエフスキーは次のように述べている。
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しかし、いわゆる非暴力的行動、抗議、サボタージュの結果、国家に何が起こるのか見もせず、聴きもしないのは、目が見えず、耳が聞こえない者だけである。ウクライナで起こっていることを想起すれば十分であろう。

国際的な非合法武装勢力を用いて非暴力的な手段で現在の国家システムを転換し、国家の領域的一体性を破壊する可能性は残っている。このような出来事が起こる可能性はロシアにおいてさえ存在する。

国内問題の先鋭化が国内での軍事紛争にまでエスカレートする潜在的な危険性は、中期的な将来における我が国の安定と領域的一体性に対する真の脅威となっている。この点はロシアの改訂版軍事ドクトリンに盛り込まれねばならない。
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 ここでバルエフスキーが言う「非直接的行動戦略」が、本稿でこれまで用いてきた「新しい戦争」であることは言うまでもない。ゲラシモフが述べるように、西側はこのような「戦争に見えない戦争」を世界中で仕掛けているのであり、その最新版がウクライナで起こっている。ロシアもいずれそのような「新しい戦争」の標的となる可能性がある。したがってロシアの軍事ドクトリンもこれに対応したものとならなければならない、というのがバルエフスキーの主張なのである。

 問題は、このような陰謀論染みた世界観をロシアの政治・軍事指導部がどこまで本気にしているのかという点だ。

 たしかに西側が旧ソ連諸国における体制転換を民主化支援の一環として支援してきたことは事実であり、それに対してロシアが強い不満を抱いてきたことは前回の拙稿で紹介した。

 ただ、そのような「新しい戦争」が西側の軍事戦略の中心的要素となり、ロシアもその標的となっている、というところまで行くと「西側」の人間としてはかなり首を捻らざるを得ない。むしろ、こうした脅威を強調することで、政治指導部としては国内の締め付けに対して、軍事指導部としては軍事力の強化に対して格好のエクスキューズを得た格好であると見ることもできよう。

 一方、このような脅威を指摘しつつ、実際にウクライナで「新しい戦争」を展開しているのはむしろロシアの方である。軍事ドクトリンに「新しい戦争」の脅威が盛り込まれるならば、ロシアもまた、それを自国が攻勢的に用いることを考慮していると考えねばならない。さらに言えば、大規模な国家間戦争が法的にも、国民の支持という観点でも不可能になりつつある21世紀の世界で軍事的な目的を達成しようとした場合、このような「戦争のように見えない戦争」こそが「21世紀の典型的な戦争なのではないか?」というゲラシモフの問いかけは意味深長である。

署名欄のサプライズ

 ちなみに、バルエフスキー論文は、その末尾にひとつのサプライズがある。署名欄に「ユーリー・バルエフスキー 内務省国内軍総司令官顧問 上級大将」と記されているのだ。

 バルエフスキーが内務省国内軍総司令官の顧問に就任していたことはこれまで知られていなかった。「新しい戦争」を真剣に考えるならば、連邦軍だけでなく、国境警備隊(FSBの傘下にある)や内務省国内軍(警察とは別個の、国内での鎮圧作戦などを任務とする重武装の軍事組織)といった準軍事組織との連携は必須である。折しもロシア軍は、こうした準軍事部隊も含めたロシアの全軍事部隊の統一指揮機関「国家国防司令センター(NTsUO)の設立を進めており、12月には完全稼働体制に入るという。

 以前から国内軍総司令官には陸軍出身者が就任するなどして軍とは密接な連携関係にあったが、バルエフスキーの国内軍総司令官顧問への就任は、こうした軍事組織の統一運用に向けた布石のひとつとも考えられよう。

 
もはや国家間の大規模戦争が困難となった現代において、西側諸国は敵国の内部で政治的不安定状況を煽り、外部からは政治・外交・経済上の圧力と共に強力な情報戦と軍事的威圧(場合によっては実際の軍事力行使)を行い、公式の戦争を起こすことなく政治的目的(都合の悪い体制の打倒)を達成する。そしてロシアもまた、このような脅威に晒されているのだ−−−こう書くとなにやら陰謀論じみて聞こえるが、今やロシアではこのような考え方が安全保障政策の中心的テーマとして急浮上しつつあると言ってよい。

日本はすでに支那南北朝鮮から仕掛けられている。 
 
◆サハリン州知事を逮捕

2015年3月7日 ロシアNOW

収賄の容疑で、アレクサンドル・ホロシャヴィン・サハリン州知事が逮捕された。ロシア連邦捜査委員会は、「例外はありえないし、これからもない」と声明している。政治評論家らは、これほどの高官の逮捕は、他の地域に対するシグナルでもあり、「もっと目立たなく、忠実に行動しなければならない」との警告を含むと考えている。
 


 アレクサンドル・ホロシャビン・サハリン州知事が側近3人とともに巨額の収賄の容疑で逮捕された。捜査関係者は、ホロシャビン知事が地元の火力発電所建設に関する契約に際し、560万ドルを受けとったと推測している。

 知事レベルの高官の逮捕は稀なケースで、現職知事が拘束、逮捕されたのはホロシャビン知事が二人目(前回は2006年)。政治評論家らは、クレムリンが再三同氏にサインを送っていたのに、反応しなかったとみる。

「例外はなかったし、これからもない」

 3月4日、 治安機関は、サハリン州政府庁舎を捜索し、ホロシャビン知事をモスクワに護送した。知事のモスクワのマンション別荘、官邸からは、巨額の金銭と大量の宝石が見つかっている。

 「これほどの高官に対して刑事事件が立件されたという事実そのものが、国が汚職問題に断固取り組もうとしている、その決意を裏付けている。<…>例外はなかったし、これからもない」。ホロシャビン知事の逮捕に関し捜査委員会が出したプレスリリースには、こう述べられている。

 注目すべきは、まさにこの逮捕の当日、内務省の拡大会議でプーチン大統領が同省を厳しく批判し、大規模な汚職事件がほとんど摘発されていないと指摘していたことだ。「まるで、そんな事件が起きていないとでもいうかのようだ」。その際、大統領はこう付け加えた。

 政治評論家らはもう、ホロシャビン知事の逮捕は、すべての知事に対しての中央からの警告だと解釈している。

 「汚職対策の見せしめ」だと言うのは、国立高等経済学院・地域政治研究室長で、政治学者のロスチスラフ・トゥロフスキー氏だ。「ロシアでは、他の人間にとって見せしめになり、大人しく忠実に行動するようにと、こういう派手な警告をする」。そして、普通はこうした一回の警告で十分効き目があるのだという。トゥロフスキー氏は、このあと大規模な汚職対策キャンペーンが実際に展開されるとは考えていない。

「知事はサインに反応しなかった」

 サハリン州知事は既に何度もせっぱ詰まったサインを送られていたと専門家らは指摘する。逮捕の直前には、政府組織である「全ロシア人民戦線」が知事を批判していた。すなわち、知事の法外な出費を指摘(1375万ドルを政府庁舎改修に費やし、1132万ドルを自分のPRに使っていた)。2013年には、人民戦線を通じプーチン大統領自らが、自己宣伝するより新しい幼稚園を造ったほうがいいと公に警告していた。

 「このときの人民戦線の警告はもちろん大統領府から中継されたものだ」と言うのは、政治情報センターのアレクセイ・ムヒン所長。「人民戦線は、ホロシャビン知事に対する一般の気分と法外な出費に関心をもっていた」

 だがムヒン所長によると、誰もこの知事を“ハイリスク・グループ”には入れていなかったし、そういったことは他の地域でも行われているという。

 この事件は、政治、財政面での対立とも関係があるかもしれない。サハリン州には、ロシアの石油・ガスプロジェクトが集中している。同州の予算は原油収入で潤っており、極めて良好だ。

 「前代未聞の規模の汚職なるものは、サハリン州にはあったためしがない。むしろ、同州は最も安定した地域の一つに数えられていた」。ムヒン氏はこう指摘する。同氏の意見では、事の本質は、資金の流れをめぐる争いにある。中央政府には、州の財政が気に入らなかったので、「もっと忠実な人物」に知事が交代させられることになるだろうという。

http://jp.rbth.com/politics/2015/03/07/52229.html



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