浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

急速に変わってきた米国人の中国観とオバマ外交の失敗

2015-01-04 18:35:11 | 資料

急速に変わってきた米国人の中国観とオバマ外交の失敗

しかし、日本が米国を見る目も、急速に変わってきたのではないか。

大昔戦後の日本は、テレビでは米国のドラマの吹き替えと、映画はハリウッドとディズニーのアニメーション。プレスリーやフランク・シナトラが全盛期には、なんと夢がある大きな国で、人々は憧れるほど豊かな暮らしをおくっていると思っていた。闇ドルがなければ米国旅行もままならない時代は、映画やドラマでしかアメリカを知ることが出来なかった。

一昔前の日本人は何でもアメリカに倣えと、アメリカ人のマネばかりをしていた。留学するのもアメリカが一番多かったと思う。

だが、終身雇用の年功序列は、日本独特の民族的雇用制度であった。良くも悪くも日本は、その社会的な構成で成長してきた。企業の業績が悪くなり倒産すれば、当然失業するが、次に行く会社でも終身雇用制度である。

働きが悪く効率の悪い社員は査定で昇給も低い。それは誰もが当然と思っていただろう。でも、会社に大きな損害を与えたり不正をしなければ、失業することは無かった。

会社が業績を伸ばし繁栄すれば、昇給賞与で反映された。

今はどうだろうか。

米国から横やりが入るたびに日本の企業もどんどん変わってきた。日本だけが儲けるのはけしからんと言うのだ。日本も米国のように成れと言って来た。規制緩和だ行政改革だと次々に変わった。

その最たる者が、小泉政権の竹中平蔵だ。米国のグローバル企業の代弁者である。終身雇用など駄目だというのだ。しかも、教育や命(病気)にまで経済を持ち込んだ。

儲からない学校は駄目。儲からない病院は駄目。次々と学校が閉鎖され、病院が無くなった。あげくの果てに田舎のへんぴな郵便局まで次々に閉鎖され統合された。

彼の言うとおりにすれば合理化され国が発展するはずなのに、雇用が失われ年間所得が減り、国自体が深刻なデフレ状態になった。年収200万の家庭が激増した。おまけに円高が続き、企業までが衰退して日本の元気がなくなった。

新自由主義者は企業経営の理屈で国家を運営しようとする。恐ろしいことだ。
企業経営の理屈で割にあわないから、例えば科学技術の基礎研究は国家プロジェクトで行われる。
下水道や上水道なんかもそうだ。
ゴミの収集を山の中の数世帯の集落にも行うのだ。
企業経営の理屈でデフレに立ち向かうことは最悪だ。
なぜなら、国民は経費であると同時に納税者、すなわち顧客でもあるのだから。

企業なら売上高が減って、利益を出そうとするなら、経費を削減すれば良い。売上高-経費=利益だからだ。
しかし国家においてはお金は使えばどこかに消えてしまうものではないため、国が支払う経費は同時に誰か納税者の法人・個人の売上高なのだ。そして利益が出た法人・個人は政府に税金を納めるのである。
そのように金は天下の回りものでぐるぐるまわっているのだ。国単位では。

それをあたまのおかしな新自由主義者はデフレ局面で経費を削減したら利益が出るようになるだろうという。しかし、それは同時に経済規模を縮小させ、売上高も減らすことになるのだ。

従業員に感謝の言葉を忘れなければ企業は発展する。人件費をコストと考え出した途端に企業にとって一番大切な人から居なくなる。日本の家電メーカーを見るまでもない。

そこで現れたのが民主党政権である。政権を取った途端に内部の勢力争いで、国民そっちのけの権力争いである。
面子も最悪だった。旧社会党や市民活動家、帰化日本人だらけの反日政権だった。

だが米国を見つめると、そんな日本より酷かった。サブプライムローンで、購入したものの雇用悪化なのにローン支払いが年々上がっていく変則ローンでたちまち返済不能に陥った。バブルは弾けた。政治家は金持ちばかりである。貧乏人の暮らしなど知っちゃいない。

現在では、留学や仕事の関係でアメリカに移住した日本人の中にはアメリカに来なければよかったと感じている人もいるのかもしれない。アメリカは、数十年前から精神的に不安定な人が多く居たのではないだろうか。

アメリカのような競争社会では、誰もが自己主張をして他人を蹴飛ばして自分は生き残ろうとする。このような社会では誰も安心して暮らせるわけがない。これでは他人を信用できなくなるだろう。しかも家庭菜園さえ法律違反で逮捕されるという、恐怖の管理社会と変わっている。

こんな姿が日本の理想だと煽って騙したのは誰だ!

米国は確かに現在の日本にとって欠くことの出来ない国となっている。しかし、戦後70年を考えれば、常に日本へ災いをもたらして来たのも米国である。日本が米国を越すようなことがないように、日本が米国より豊かになることがないように、常に日本のブレーキを踏み続けて来たのが米国である。終戦で進駐してきた占領軍とGHQが7年少しで去った後も、70年のながきを経た今もなお日本を統治し続けている。

日米安保条約で日本を守っていると言いながら、その駐留米軍を、日本の自衛隊でまず守らねばならないのはどういうことなのか。

昨年世界女性月間に際し、キャロライン・ケネディ米国駐日大使が、3月8日のツイッターに「ベアテ・シロタ・ゴードンが日本国憲法に女性の権利を書き込みました」と書き込んだ。

現占領憲法を、護憲派は一応日本人が書いたという事にしている訳だが、現実は脅迫で国会に出席させて可決させ、貴族院では時間切れになるのを時計を止めて採択させ施行させた。なんと、過去の悪事を、米国 自らが告白している事に気づかない。米国駐日大使でありながら、余りにも幼稚で不用意な自爆の書き込みである。

これを一週間で作ったチャールズ・L・ケーディスはOSS職員で、ルーズベルト周辺のコミンテルンの一員だった。驚くべき事に、何と1942年6月の時点で、OSSは日本解体の骨子「日本計画」を作成していて、それが日本占領後の憲法の下地になったと言える。

このケネディ大使の発言は、大使自らが米国の犯した「占領者が被占領者に対して憲法のような根本法の改正に介入あるいは命令する事は禁止されている」というハーグ陸戦法規違反を告白してしまったのである。

日本固有の領土〈北方領土・竹島・尖閣諸島〉の帰属に関して日本に有利な、膨大かつ明確な資料を、公開・非公開に関わらず、米国は一切日本の為に活用しようとはしない。しかもオバマは、「領土問題に米国は中立だ」などと言っているのである。これのどこが同盟国なんだ。

戦勝国アメリカの強大な力に逆らえない部分がある安倍政権の、現状致し方ない弱さに対する過度の悲観論で安倍政権批判に至るのは100害あって一利なし。マイナス面が大きいと言える。安倍総理が米国に反対できない部分に関しては、我々民間が大きな反対組織を作って民意の大同団結によって「増税・移民受け入れ・TPP・男女共同参画」等の間違った政策を毅然と反対し、大きな与論に育ててゆくことなのだろう。

★大日本帝国を滅ぼして今の世界にしたアメリカには、 日本の代わりに一定の血を流す義務がある

アメリカでは、"We fought the wrong enemy." (我々は戦う相手を間違えていた)という言葉が囁かれる。

日本と戦ったのは誤っていた、という認識である。 
日本を大陸から駆逐したものの、アメリカは共産主義勢力に中国大陸を奪われ、さらに朝鮮では自ら血を流して戦わなければならない羽目に追い込まれた。

戦後、米国国務省で対ソ封じ込め外交を立案・成功させたジョージ・ケナンはこう主張して、ルーズベルト政権がとった「ソ連と協力し、日独を叩く」という政策を根本的に批判した。 

日本が戦前果たしてきた共産主義の防波堤という役割を、日本を駆逐したために、アメリカ自ら担わなければならなくなった、という反省だ。 
「今日われわれは、日本人が韓満(朝鮮、満洲)地域で半世紀にわたって直面し背負ってきた問題と責任を、自ら背負い込むことになったわけであります。 
他人が背負っている時には、われわれが軽蔑していた、この重荷に感じるわれわれの苦痛は、当然の罰であります。」

アメリカこそが歴史を反省すべきであり、歴史を忠実に見直すべきである。

◆急速に変わってきた米国人の中国観とオバマ外交失敗の原因

2014.10.08 zakzak

 香港で起きている学生らの反政府運動は、「一国二制度」という形で香港の独自性を守るという約束に反して、北京政府が2017年に行われる香港の行政長官選挙に共産党のやり方を強制しようとしたからだ。

 北京政府があらかじめ決めた候補者から行政長官を選ぶという非民主主義的な選挙制度に、将来を考える学生らが激しく反発したのは当然だ。なりゆき次第では、中国の政治の仕組みを揺るがすことになりかねない。

 香港で起きた今回の重大な動きは、米国の保守勢力、国防総省、そして海軍がオバマ大統領の中国一辺倒政策に反抗し、中国との対決姿勢を強化しようとしていることと無関係ではない。

 オバマ大統領は、「空母キラー」と呼ばれる中国のDF21Dミサイルに怯えて、第7艦隊をハワイの東に引き上げようとした。だが、米海軍は大統領の決定に従わず、予定どおり第7艦隊の主力である空母を最新鋭の「ロナルド・レーガン」にするとともに、艦載航空兵力である第5飛行戦隊の基地を東京近郊の厚木から、中国により近い山口県岩国に移すことにした。

 香港のある南シナ海の国々は今、中国海軍の不法な侵略行動に対抗して、米海軍との協力体制を強化したり、軍事力を増強したりしている。シンガポールは、マラッカ海峡の入り口チャンギに第7艦隊のための特別基地を建設した。

 米海軍は今年、南シナ海周辺で延べ150隻の艦艇を送り込んで訓練を実施した。また、ベトナムやマレーシア、それにタイまでが海軍や航空戦力を強化しつつある。

 ハドソン研究所のケン・ワインスタイン所長は、こうした動きの引き金になったのは「日本の集団的自衛権構想」として次のように述べた。

 「あらゆる国が軍事力を拡大する中国に弱気になったとき、日本が集団的自衛権を打ち出した。この構想を進めた安倍晋三首相に、我々は『考えられないことを考えた人』に与えるハーマン・カーン賞を贈呈した」

 友人のジャーナリストは私にこう言った。

 「オバマ外交の失敗は中国と戦わなかったことがすべての原因だ」

 米国人の中国に対する考え方は急速に変わってきている。

 ■日高義樹(ひだか・よしき) 1935年、名古屋市生まれ。東京大学英文科卒。59年NHKに入局し、ワシントン支局長、理事待遇アメリカ総局長を歴任。退職後、ハーバード大学客員教授・同大諮問委員を経て、現在はハドソン研究所首席研究員、全米商工会議所会長顧問。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141008/dms1410080830004-n1.htm

◆【アメリカを読む】「九段線」米国から徹底論破された中国 猛反発「フィリピンの肩持つのか」

2015.01.02 zakzak

 米国務省が、中国による南シナ海での領有権主張の根拠とされる「九段線」を徹底的に“論破”した。九段線が意味するところを十分に説明していない中国政府に対し、定義を明確にするよう求める形を取ってはいる。しかし、中国外務省が強く米政府を批判しているところをみると、効果は小さくなかった。

■ひっそりと発表

 九段線は、中国南部・海南島の付近から南に下り、北東に向かってU字のカーブを描いて台湾に至る9つの破線で形成されている。南シナ海のほぼ全域を覆い、その形状から「牛の舌」とも呼ばれる。

 1947年に当時の中華民国が作成した地図に11の破線として初めて登場し、その後、中国で発行されている地図に引き継がれた。中国政府はそうした「歴史」を南シナ海で主権を主張する裏付けだとしている。

 これに対し、米国務省の海洋国際環境科学局は5日、これに疑義を呈する報告書をホームページにひっそりと掲載した。中国外務省の洪磊(こうらい)報道官(45)は9日の記者会見で、質問に答える形でこれに反論した。

 「南シナ海における中国の主権は、長い歴史の過程で形成され、歴代の政府によって一貫して維持されてきたものだ」

 バラク・オバマ米大統領(53)は11月、中国の習近平国家主席(61)との首脳会談で、南シナ海や東シナ海における領有権問題に関して「米国として(特定の)立場は取らない」と述べていた。

 米政府が九段線を疑問視する報告書をまとめたことは、中国側にとっては「南シナ海問題で立場を取らず、一方の味方に付かないという米国の約束に反している」(洪報道官)と映るようだ。

■一貫性がない主張

 「報告書は非常に技術的なものであり、政治的なものではない。南シナ海での領有権について立場を取らないという米国の政策は変わっていない」

 米国務省のジェーン・サキ報道官(36)は10日の記者会見でこう強調した。報告書は、あくまでも国際法に照らして各国による海洋での権益主張を法的、技術的にどう捉えるかを分析した研究資料という位置付けだ。

 しかし、中国政府に九段線の根拠を示すよう促しており、「政治的」な効果を狙っているのは明らかだ。報告書で米側が示した疑問点は、大きく分けて(1)九段線に囲まれた島嶼(とうしょ)や、国連海洋法条約に基づいてその周辺海域で認められる主権を主張しているのか(2)国境線を表すものなのか(3)中国がいう「歴史的」な海洋権益の地理的な境界を表すものなのか-の3つだ。

 いずれについても「陸域の領有に基づく海域の権益主張」でなければ国際法に合致しないと指摘。47年の地図でトンキン湾にあった2つの破線が2009年の地図では消えていることや、地図によって破線の位置がずれていることも挙げ、「一貫性がない」とした。

■「フィリピンを助勢」

 ダニエル・ラッセル米国務次官補(61)=東アジア・太平洋担当=は2月、米下院外交委員会アジア・太平洋小委員会の公聴会で、中国政府に九段線の法的な位置付けを明確にするよう求めた。それまで批判を避けていた米政府が、国際法に違反するとの認識を示したものとして注目を集めた。今回の報告書はこれを文書によって明確にしたものだ。

 中国の領有権主張を不当だとしてフィリピンが常設仲裁裁判所に起こした提訴で、中国による陳述書の提出期限が15日に迫る時期に報告書が公表されたことで別の意味を持った。

 「中国の正当な主権や権益を否定し、フィリピンに助勢するもの」(中国メディア)と受け止められたのだ。

 米政府としては、九段線の法的根拠を明確にさせることで、南シナ海の係争海域の岩礁を埋め立てて軍事拠点化を進めるなど「現状を変更する一方的な行動」(ラッセル氏)を進めるのを牽制(けんせい)する狙いがある。

 中国はこれに加え、東シナ海上空に一方的に防空識別圏を設定し、西太平洋海域への進出ももくろんでいる。

 九段線の法的根拠を否定するのはもちろんだが、中国の海洋進出に対して「米海軍がプレゼンスを維持し、航行と飛行の自由を主張する」(米太平洋軍の次期司令官に指名されたハリー・ハリス海軍大将)ことが決定的に重要になる。

(ワシントン支局 加納宏幸)

http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150102/frn1501021000001-n1.htm

支那の歴史は殺害の歴史である。国を乗っ取るために殺し、権力を維持するために殺し、時には自分を超える能力を恐れ味方まで殺す。国を憂い政権や政策に異議を唱える国民を躊躇うことなく殺す。支那大陸で一番多くの支那住民を殺してきたのは支那を統治してきた支那の諸民族である。歴代皇帝や毛沢東、現在の国家主席まで延べ少なく見積もっても2億数千万の命を殺して今が築かれている。
そんな支那の民族が、他国のことをとやかく言えたモノではない。しかも歴史を捏造までして。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成26年(2014)12月21日(日曜日)
    通巻第4420号 
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 ロシアの混乱は長期化の様相
   ルーブル暴落にこんどは労働移民が大量にロシアから帰国
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 ロシアから大量の労働移民が帰国し始めた。
原油価格暴落によるルーブルの下落により賃金は40%もの下落となり(たとえば10万円の月給は対ドルレートで6万円に目減りした)、とりわけタジキスタンからの労働移民がロシアを去った。
あるいは2015年中にタジキスタンからの労働者の四分の一は「ほかの国で職業を見つけたい」としてロシアから去ることを考えているという。
英文『プラウダ』によれば、「最大の理由は労賃下落より言語の問題で、法改正により、労働移民にもロシア語の試験が義務づけられるからだ」と解説している(2014年12月20日)。

 久しく聞かなかった闇ドル屋も登場し、外貨両替のできる銀行には一刻も早い旧ルーブル紙幣をドルに換えようと行列ができた。銀行預金の目減りを看過できないからである。

 オバマ政権は12月18日に「ウクライナ自由法」によりクリミアへの制裁強化を発表した。
カナダはいちはやく同様なロシア制裁措置をとったため、ロシアは反発を強め「農作物輸入禁止ばかりか、もっと強い報復的手段を執らざるを得ない」と言明した。

 ロシア外務省は「かりにもクリミアの住民投票によって民主的にクリミア併合が決まったのであり、この民主的手続きを無視する『民主国家』とは何者なのか」と反発を強めた。

 ラブロフ外相は「米国、カナダの制裁強化は今後、米ロ関係を長期に亘った悪化させるだろう」と暗い見通しを語った。

http://melma.com/backnumber_45206_6141906/

東チモールの独立で欧米は「住民投票の結果を重視する」と言い、セルビアからのコソボ独立も、スーダンからの南スーダン独立も同じ論法で住民投票の結果を支持した。
 それでいながら、クリミアのウクライナからの分離独立には反対するというのは論理的矛盾である。住民の意思を尊重するという原則は、結局、列強のご都合主義に振り回されるのだ。

 住民の意思を尊重するのならば、新彊ウィグル自治区もチベット自治区も中国から分離独立しなければなるまい。

by宮崎正弘氏

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成26年(2014)12月19日(金曜日)
    通巻第4419号 
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 ロシア、想定外の経済苦境だが西側へ衝撃的な対抗策を発表
  ルーブル下落をいう経済危機は「克服可能」と表明(プーチン大統領)
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 ロシアのプーチン大統領は12月18日、恒例の記者会見をおこない、「最悪のシナリオは、このルーブル安、原油下落という経済苦境を脱するのに二年かかる」とした。「しかしながら資本規制は見送る」。

 原油安はロシアばかりか米国を撃った。シェールガス開発が一気に挫折する展望となって、サウジアラビアの思惑は着々と図に乗っている。

 三月のクリミア併呑とウクライナ問題を契機に欧米はロシア制裁にでた。濾紙は農作物輸入を留めるなど対抗措置を講じた。
 ロシアに経済政策を継続する欧米には、一方でドイツのようにエネルギーをロシア依存する国があってEUの制裁強硬路線に反対する国もがあり、他方ではフランスのように武器取引を制限する国などとの温度差が顕著である。

 ブリスベンのG20で、プーチンは予定を切り上げて急遽帰国した「事件」があった。プーチンは前夜、ヒルトンホテルでメルケル独首相と六時間密室の会談をしており、ウクライナ問題を討議したが、その翌日だけに様々な憶測を呼んだ。
 メルケルは東独出身でロシア語が流ちょう、プーチンはKGB時代にドレスデンに滞在したためドイツ語が流ちょうである。

 プーチンが帰国後、ロシアは重大な路線変更を発表した。
 ロシアは原油とガスの輸送ルートを大幅に変更すると衝撃の発表だっただが、日本のマスコミでは話題となっていない。
不思議である。

 つまりウクライナ経由の対欧輸送ルートをトルコ経由とするのである。
EU諸国のなかでも、ロシアへのエネルギー依存度に濃淡があって、フランスから南欧にかけてはロシアとは貿易額もエネルギー依存度も低いから衝撃は薄いが、このロシアの路線変更に狼狽した国々がある。

 ▼ユーラシアの新しいグレートゲームが始まった

 こうしたプーチン大統領の西側接近外交から東へ向きを変えるという外交路線の変更はピョートル大帝以来のロシアの基本姿勢の変更にいたるか、どうか。ともかくG20から帰国後のプーチンは中国寄りをさらに鮮明にし、その上でトルコに急接近した。また先週はインドを訪問している。

 「ノーザンストリーム」(北海からドイツへのルート)はそのままだが、「サウザンストリーム」(黒海からルーマニアを経由して欧州へ輸出)をトルクメニスタン、アゼルバイジャンからトルコを経由してバルカンで分岐させ、オーストリア、イタリアなどへの輸出ルートに変更する。
このための投資は50億ドル。半分をガスプロムが負担するとした。

従来の「サウザンストリーム」は黒海からブルガリアを経由する計画だったため「通過料」を失うブルガリアは欧州議会に対ロ制裁を解くよう強く抗議した。

最大の裨益者はトルコである。
しかもトルコはイラン原油がイラクを経由してシリアに運ばれる輸送ルートの建設に反対し、カタールのガスをイラクからシリア経由トルコへ運ぶルートを提案していた。
小誌はトルコのイスラム回帰と脱欧州の動きに注目してきたが、欧米マスコミで悪評高いエルドアン大統領は「勇士連合」に加わったもののISIL対峙には消極的であり、むしろオスマントルコ帝国復活の夢を描いてきた。

 2015年の展望は経済危機が続行され通貨戦争が再発することになるだろう。

http://melma.com/backnumber_45206_6140940/

ウクライナでシェールガスの採掘権を持っている企業・BURISMAの取締役に、バイデン米副大統領の次男が就任した。つまり、ロシア影響圏内の資源にちゃっかりと触手を伸ばしたということだ。

◆OPEC崩壊、原油価格はまだ下がる
サウジアラビアが調整役放棄、秩序回復には1年を要する

2014年12月17日(水)小笠原 啓 日経ビジネス

 原油価格が急落している。指標となるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油は12月に入り、1バレル60ドルを下回った。米国でシェールオイルが増産され需給が緩んでいるところに、石油輸出国機構(OPEC)が減産を見送り、価格が急落した。
 原油価格の下落は、低迷する世界景気の福音となるのか、それとも新たな混乱を生むのか。エネルギー問題の専門家である、石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之 上席エコノミストに聞いた。
(聞き手は小笠原 啓)

ーー原油価格が急落しています。まずは、今後の価格見通しを教えて下さい。

野神:あと1年は下落傾向が続くとみています。世界の原油の需給バランスが崩れているからです。シェールオイルの増産などで供給が増えた一方で、世界経済の減速により原油需要は伸び悩んでいる。2015年は原油の供給が、需要を日量140万バレル程度超過するとみています。

 こうした状況で何かのきっかけがあると、市場では売りが殺到しかねない。いったん「オーバーシュート」が起きると、一時的に50ドル程度まで下がると考えています。

ーーなぜ、原油の需給バランスが崩れているのでしょうか。

野神:最大の要因は、米国におけるシェールオイルの増産です。2014年は前年比で日量100万バレル増えて、450万バレルに達する見込みです。それに対し、全世界の原油需要は今年、68万バレルしか増えません。シェールだけで世界の需要増を全てまかない、「お釣り」がくるような状況なのです。

 加えて、イラクやリビアといった国が増産余力を付けてきました。イラクではイスラム国の勢力伸長が一段落し、南部の油田地帯には影響しないとの見方が強まっています。リビアでも治安が好転したことで、原油輸出が回復しています。

 一方で、原油需要の回復は期待しづらい。世界経済の減速傾向が強まっているからです。

 欧州では、ロシアへの経済制裁が足を引っ張ります。ユーロ圏を牽引するドイツの輸出や鉱工業生産が変調し、統計でも厳しい数字が出始めました。欧州全体がマイナス成長になる懸念もあります。さらに、ディーゼル車の普及により自動車の燃費が向上したことも、原油需要の伸びを抑える要因になっています。

 これまで原油需要の伸びを牽引してきた中国でも、経済の減速が鮮明になっています。不動産など根深い問題を抱えており、すぐに回復するとは考えにくい。

 米国経済は好調ですが、それがかえって利上げ観測を呼んでいます。利上げされると余剰資金が市場から吸い上げられ、原油相場にとってはマイナスになります。

 こうした状況で11月27日、石油輸出国機構(OPEC)が総会で減産を見送り、原油価格が急落しました。

 

ーーOPECはこれまで原油価格の下落局面で減産を実施し、価格を調整してきました。今回はなぜ、減産しなかったのでしょうか。

野神:サウジアラビアを中心とする湾岸諸国が、需給の調整役を放棄した格好です。サウジ王家の長老は「他の国が真剣に取り組むなら、サウジも減産する」とのメッセージをOPEC総会前に発信していましたが、結局、確約は取れませんでした。

 これまでも、真面目に減産してきたのはサウジやクウェートぐらいで、他のOPEC加盟国はそれに「ただ乗り」していました。そんな状況に、サウジは我慢できなかったのではないでしょうか。仮に減産しても、他の国が生産量を維持したら痛みを負うのはサウジだけです。

 2015年の需給ギャップは日量140万バレル程度。サウジが主導権を握り、アラブ首長国連邦などと協調して減産すれば、対応できるレベルです。それでも減産に踏み切らなかったところに、サウジの意思を感じます

ーー米国のシェールオイル産業を牽制したとの見方があります。

野神:そうした側面は確かにあります。原油価格が60ドル程度にまで下がると、一部のシェールオイルは採算が合わなくなり、増産ペースが鈍化します。そうなると需給が引き締まり、原油相場が均衡する可能性があります。しかしこれは、一面に過ぎません。

 サウジはむしろ、他の産油国に戦いを挑んでいるように思えます。ベネズエラやイランは社会保障費などのバラマキを強めており、原油価格が100ドルを超えなければ、財政収支を均衡させられません。アルジェリアやナイジェリア、イラクの財政均衡価格も軒並み100ドルを超えています。つまり、原油価格下落で先に音を上げるのは、米国ではなく他のOPEC諸国なのです。

 サウジの財政均衡価格は90ドル前後なので、同様に苦しいのは事実です。しかし、原油高の時代に政府資産を積み上げてきたことが奏功しています。この資産を取り崩せば、数年間は財政赤字に耐えられるからです。

 

ーーOPECは分裂してしまったのでしょうか。

野神:事実上、崩壊したと言っていいでしょう。原油の需給バランスを保ち、価格を維持する機能が失われているのですから。

 OPEC加盟12カ国の生産量上限は日量3000万バレルに設定されていますが、有名無実なものになっています。

ーー原油市場の秩序は回復するのでしょうか

野神:当面は難しいと思います。OPEC総会の場で改めて減産を議論する前に収入を確保しようと、増産に走る国が出てくるからです。

 イラクやリビアは、内戦から国を復興させるために資金を求めており、増産する余力もあります。イランは経済制裁が段階的に解除されるにつれて、生産能力を増やすでしょう。OPEC全体で見ると、生産量は減るどころか増えかねません。

 原油価格が下がったからといって、米国のシェールオイル生産量がすぐに減るわけではありません。既に掘削してしまった油井は埋められない。資機材や鉱区の契約を済ませている石油会社は、資金を回収する必要があります。生産が鈍化するまでには、1年ぐらいのタイムラグを見ておく必要があります。

 OPECは今回、原油需給を均衡させるために努力を払わなかったことで、市場からの信頼を決定的に失いました。2015年6月に予定されている次回のOPEC総会で減産を決議したとしても、すぐには市場からの疑いの目は晴れないでしょう。

 減産目標を各国が順守していることが数字で示され、「一回限り」でないことが証明されないと市場は信頼しないと思います。2015年冬のOPEC総会までは信頼を取り戻せず、原油価格が下がりやすい環境が続くと考えています。

ーー原油収入への依存度が高い一部の産油国では、政情不安が広がる恐れがあります。

野神:ベネズエラでは社会保障費を削減すると、政権がひっくり返る恐れがあります。ナイジェリアも同じ悩みを抱えています。イスラム国と対峙しているイラクは、治安維持のコストを下げられません。リビアも気を抜くと、中央政府が持つ石油資産を反政府勢力に奪われる可能性があります。

 こうした「地政学リスク」は、原油価格の下落と反比例して高まっていきます。世界のどこかでリスクが顕在化したとき、原油価格は反騰する可能性があります。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20141211/275052/?n_cid=nbpnbo_mlp&rt=nocnt

 


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