浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

民主党のリーダーで国が揺らぐ

2015-02-18 23:51:29 | 資料

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)2月18日(水曜日)
    通巻第4471号 
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 ロシアを「あちら側」へ追いやったオバマの愚策
  中国が建設のニカラグア運河をロシアは軍艦の通り道にする
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 考えてみれば歴代アメリカ外交は誤断に基づくとてつもない見込み違いを繰り返し、結果的に取り返しの付かない失敗に繋がることの連続である。
近年ではサダム・フセインが大量破壊兵器を開発しているという理由でイラクに戦争を仕掛け、あげくにスンニ派のバース党を解体させ、シーア派政権をバグダッドに樹立させた。

 その揺れ返しがISILという「アルカィーダ」よりも残酷なテロリスト集団を誕生させた。もとはと言えば米国の失策から誕生したのだ。アルカィーダもアフガニスタン戦争の結果が産んだ化け物である。

1930年代後半から日本の台頭に不快感を抱いたルーズベルトは心底からの親中派で、共産主義に深い同情と理解を示した。
もっとも彼の周りはコミンテルンのスパイばかりだったため、あろうことか中国を支援し、日本をくじいた。ヤルタの密約で、宏大な利益をソ連に差し上げたのもルーズベルトだった。

 味方と考えてきた蒋介石への援助を中断し、毛沢東に結局シナ大陸を支配させた。「誰がチャイナを失わしめたか」とリチャード・ニクソン等は後年、ルーズベルト外交を攻撃した。

こんにち真珠湾攻撃はルーズベルトの仕掛けた罠であったことも証明されている。が、米国でこの真実を言うと「修正主義」のレッテルを貼られる。

 朝鮮戦争で恩を仇で返すかのように毛沢東は朝鮮半島に義勇軍を送り込んできた。米国は爾来、ソ連と中国を一枚岩の共産主義同盟と誤認し、封じ込めを計った。
 40年代の政策を逆転したのである。

 中ソ対立が起きていたことを鉄のカーテンの向こう側の政局激変をしらずにいた米国は、ある日気がついた。それは敵の分断、内訌を促進する作戦である。
米国と自由世界の主要敵であるソ連を封じ込めるには、むしろ中国を駒として利用することが得策であり理にかなっていることに米国は活路を見いだした。

ニクソンの安全保障担当補佐官だったキッシンジャーは中国の軍事同盟国=パキスタンを訪問し、三日ほどホテルで病気と称して引きこもった振りをして、イスラマバード経由で北京に密かに飛んで周恩来と密談をなし、米中関係の劇的な再生に結びつけた。
ニクソン・ショックと呼ばれる米大統領の北京訪問が発表された。

 この間、米国は徐々に中国へてこ入れを開始し、1971年のニクソン訪中から、79年の国交回復の期間に台湾と外交関係を断ち切り、スポーツ文化交流から軍事交流への道を突っ走る。
もし中国がソ連と軍事衝突し、それが長期化した場合、米国は装備などの支援のほか、ソ連軍の動きを分析した情報の提供もほのめかし、中国軍の脆弱性を補完するなど中国軍の近代化に側面的援助をなした。
 それが布石となって今日の中国軍はおばけのような凶悪な存在となった。

 米中雪解けを商業的に先読みした日本は中国に急接近するために台湾を弊履の如く捨て、異様な金額を注ぎ込んで、中国の経済発展を助けた。
 将来を不安視する声を、日本のマスコミは黙殺し、企業は中国への投資を進めた。戦前のコミンテルンのごとき代理人役を果たしたのが、日本の主力メディアだったのだ。

やがて中国が経済力をつけると、それが軍拡になって将来日本への脅威となることを当時の日本の政治家も財界人も考慮した形跡がない。だから米国の歴代政権同様に日本も愚かだった。

 しかしソ連が崩壊し、新生ロシアが米国の脅威とみなされなくなると、米国の対中態度はがらりと変わる。
なにしろ米国の軍事力に挑戦しようというライバルの出現に敵対的になるのは大国として当然である。

 したがって現状を分析すれば、「ロシアを中国から引きはがすことは、あたかも1970年代にソ連から中国を引き離したときにように、アジアに於ける力の均衡において好ましい影響をもたらすことになる。ヨーロッパにおけるロシアの報復主義を阻止しながらも、アメリカ政府はこの可能性を排除してしまうような行動はいっさいとらないようにすべきであろう」(アーロン・フリードバーグ『支配への競合』、佐藤亮監訳、日本評論社)

 だがオバマは間違えた。
オバマはルーズベルトと同じ過ちを犯し、ロシアを『あちら側』に追いやってしまうという愚を、歴史の教訓を考えずに、周囲の反対も聞かずに押し切って将来の歴史家から愚昧な大統領として評価されるしかない道を選んでしまった。

 ▼ロシアの反撃が始まった

 すでに多くの点で米国の思惑は大きく外れ、中国の敵対的行動は、とうとう米国の目の前に現れたのだ。

 ニカラグア運河の建設が始まった。
 「米国の裏庭」で中国は、米国の大きな権益があるパナマ運河に対抗するため膨大な建設費を投じてニカラグアの東西を貫通させる運河を建設し、数年で完成させると息巻いている世紀のプロジェクトだが、はたして『ニカラグア運河』が完成するか、どうかは高見の見物だろう。
世界の情報筋も、これを半信半疑で見ている。

 ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣は先ごろ、このニカラグラ、ベネズエラ、そしてキューバを訪問した。
いずれも中国が大々的な投資をおこなっている国々だが、もとはと言えばソ連時代の「あちら側」だった国々である。

キューバはソ連の代理戦争を各地で闘ったほど、反米のあまりにソ連衛星圏の中核的存在だった。オバマは、そのキューバへの制裁を徐々に解除しはじめ、将来の国交回復を述べた。

 ニカラグアのサンディニスタ独裁政権はソ連の後ろ盾で革命に成功した。
 セルゲイ大臣はニカラグアでソ連軍艦寄港の弐国間取り決め交信にサインし、また将来、ニカラグア運河完成のおりは、ソ連の軍艦が通過するとした。

 「これは重要な案件であり、ソ連の軍艦が太平洋からメキシコ湾へ入れることを意味する。ロシア海軍は長距離巡航ミサイルを装備した艦船を保有しており、これらがキューバの近海で遊弋すれば、米国の下腹部をいつでも襲撃可能となる。これこそはロシア周辺国に米国と連携した軍隊の展開に対してのロシアの回答である」。

 米国のキューバへの急接近はキューバ側が要求しているグアンタナモ基地の撤収が最初になされて以後、本格化するかも知れないが、ロシアは国防大臣を送り込んで、米国の急な接近を牽制する。
 ただしキューバでラウレル・カストロ議長と何が話し合わせたかは発表がなかった(英語案プラウダ、2月16日)。
 
 ベネズエラでは火砲、戦車、機械化装置など軍事物資の購入に関して打診し、また共同の軍事演習についてつっこんだ話し合いがもたれたという。

 インドはモディ首相の登場以来、たしかに親米路線に外交方針を変えたが、それでもプーチンをあたたかく迎え、対米外交との均衡をとる。なぜならインドの武器システムはソ連時代から露西亜製で体系化されており、短時日裡に米軍システムに切り替えは不可能だからだ。

ニカラグア、キューバはインド同様な境遇にあり、中国がいかにしゃかりきになろうともラテンアメリカ諸国の武器、防衛体系は一朝一夕に中国のシステムに二者択一というわけにはいかないだろう。

 ともかく中南米でおきているのはロシアのクリミア併合に端を発し、ウクライナの戦火拡大に抗議してとられた欧米の対ロ経済制裁が、ロシアをして、こうした報復的行動を採らせてしまった。

最大の脅威=中国にロシアは依拠せざるを得ない環境をつくりだしたわけであり、オバマのロシア制裁はあまりにも拙速だった。

http://melma.com/backnumber_45206_6166921/

◆手なずけるはずが深刻な脅威に、大間違いだったアメリカの対中政策
世界覇権獲得を目指す中国の「100年のマラソン」戦略

2015.02.18(水) 古森 義久 JB PRESS

 米国の歴代政権の中国への「関与」政策は間違っていた。米国が中国と関われば中国は米国主導の国際秩序に協調的な一員として参加してくるだろう、という推定は幻想だった。一貫して中国は米国を排除して世界覇権を握ることを目指しているのだ――。

 この2月、こんな大胆な考察が、米国の国防総省で長年中国の軍事研究を任されてきた権威によって公表された。中国は世界覇権獲得への「100年のマラソン」を走っており、日本を世界の悪者に仕立てる「日本悪魔化」工作もその長期戦略の重要な一環なのだという。

間違っていた中国に関する思い込み

 米国のこの政策ミスは、マイケル・ピルズベリー氏の最新著書『100年のマラソン:米国に代わってグローバル超大国になろうとする中国の秘密戦略』("The Hundred-Year Marathon: China's Secret Strategy to Replace America As the Global Superpower")のなかで明らかにされた。

 ピルズベリー氏は、1970年代のニクソン政権時代から一貫して国防総省の高官や顧問として中国の軍事動向を研究してきた人物である。米国の数多くの中国研究者の間で軍事分野での第一人者とされる。特に中国語に堪能で、共産党や人民解放軍の軍事戦略関連の文書を読みこなす一方、中国側の軍首脳との親密な交流を保ってきた実績で知られる。

 東西冷戦中のレーガン政権時代には、ソ連を牽制するために米国は中国に軍事関連の支援をするべきだという政策を提唱し、中国軍首脳と緊密な関係を築いて、中国側の信頼をも得てきた。

 そのピルズベリー氏が、いまとなって中国強化の政策は間違いだったと告白したのである。『100年のマラソン』は、ワシントンの外交政策形成の世界で衝撃的な波紋を広げている。

 同書によると、米国側には官民ともに中華人民共和国に対して「欧米や日本の侵略の犠牲になった貧しく弱い国」という思い込みがあった。特に1970年代のニクソン政権やカーター政権の時代から、中国をより強く、より豊かにすることがソ連への牽制だけでなく、中国を米国に対して協調的、友好的にさせる最善の方法だと信じてきたという。つまり米国は「建設的関与」によって中国を最大限に支援し、中国の根幹を強くして豊かにすれば、中国は国際社会への参加や協力を強め、西側に同調するだろうと考えてきた、というのである。

 だがいまやピルズベリー氏は、自分自身のかつての考えも含めて米国の年来の「中国に対する関与政策は中国の対米協力をもたらす」「中国は民主主義へと向っている」「中国は国家としてまだ弱体」「中国は米国のようになりたいと願っている」・・・という想定がみな錯誤だったと断じる。

「タカ派」的思考が主流となっている中国の指導層

 その上でピルズベリー氏は自著のなかで次のような重大な指摘をしていた。

・中国は「平和的台頭」や「中国の夢」という口先だけのスローガンを掲げて米国を安心させ、対中関与政策をとらせてきた。だが実は建国100年となる2049年を目標に、経済、政治、軍事の各面で米国を完全に追い抜き、自国の価値観や思想に基づく国際秩序と覇権を確立しようとしている。

・中国共産党指導層は、米国が実は中国の現体制を骨抜きにし、国際的にも封じ込めて変質させ、米国主導の国際秩序に従属的に参加させる意図だとずっと前から断じていた。だが表面上は米国の主導と関与の策に従うふりをして、その一方で国力を強め、米国の覇権を奪い、中国主導の国際秩序を築く長期戦略を「100年のマラソン(馬拉松)」として進めてきた。

・中国共産党指導層のそうした真意は、人民解放軍の最高幹部や共産党の幹部のうち「タカ派(白鷹)」とされる人たちによって明らかにされてきた。実はそのタカ派的な「100年のマラソン」の思考こそが指導層の主流であり、特にいまの習近平主席の考えに近いことが明白となった。

・筆者自身は、中国が米国を圧して、覇権を行使できる世界秩序を構築することを意図している事実を2010年頃から認識するにいたった。米国政府内でもCIA(中央情報局)などはその事実を認めるようになった。対中関与政策が中国を米国の好む方向へ変質させるというのはもはや幻想だと言える。

 以上のように、中国軍事研究の最高権威がこれまでの自分の認識が幻想だったと打ち明けるのだから、その余波は巨大だと言えよう

「日本悪魔化」戦術のプロパガンダとは

 ピルズベリー氏は日本についても重大な指摘をしていた。米国を圧倒して世界最大の覇権国家になろうという中国の野望「100年のマラソン」には、日本を極端に敵視する戦術が組み込まれているというのだ。

 同氏によると、中国はその野望の主な手段として、「現在の日本は戦前の軍国主義の復活を真剣に意図する危険な存在だ」とする「日本悪魔化」工作を実行してきた。アジア諸国と日本国内を対象とするこの反日工作は、日本が米国の主要同盟国として安保と経済の大きな柱である現状を突き崩すことを目的にするという。

 つまり、日本を悪魔のような存在として描き、その負のイメージを国際的に、さらには日本国内に向けても植えつけるというのである。いわば日米分断の試みとも言えよう。

 ピルズベリー氏の指摘によると、中国側ではこの「日本悪魔化」戦術の一環として次のようなプロパガンダを内外に発信しているという。

「日本の首相の靖国参拝は、中国への再度の侵略に向けた精神的国家総動員のためである」

「日本の宇宙ロケット打ち上げはすべて弾道ミサイル開発のためであり、プルトニウム保有は核兵器製造のためだ」

 中国共産党指導層内部ではこのような日本非難が堂々と叫ばれ、繰り返されている。発信役はおもに「白鷹」と呼ばれる党や軍の強硬派だが、そのメッセージ自体は共産党全体の発信として重く受けとめられているのだという。

 だからピルズベリー氏は、日本側としてはこの種の有害なプロパガンダについて正面から論争を挑み、正すべきだと提言するのだった。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42935

◆米国のイスラム国掃討作戦に戦略なし
批判に応えようと必死のオバマ大統領だが、腰が引けて効果は期待薄

2015.02.17(火) 堀田 佳男 JB PRESS

 明らかにバラク・オバマ大統領は(対イスラム国の)戦略を持ち合わせていません」

 多くの人が感じていることを、ある人が明言した。ワシントン・ポスト紙編集主幹のボブ・ウッドワード氏だ。

 2月11日に米ケーブル局MSNBCに出演し、バラク・オバマ大統領には対イスラム国の戦略が立案できていないと指摘した。

 机上論を述べるコメンテーターの発言であれば受け流せるが、1970年代のウォーターゲート事件から調査報道を手がけている同氏の言葉である。

戦略がないのに指示を出したがる大統領

 国防総省(ペンタゴン)の高官の話を引き合いに出しながら、オバマ氏にはイスラム国を掃討することは難しいと言い切った。しかも戦略がないにもかかわらず、オバマ氏はペンタゴンにしきりに指示を出したがるとも指摘した。

 さらにオバマ氏はウッドワード氏がテレビ出演した日、イスラム国への対応を変えた。限定的な地上作戦を含む武力行使の承認決議案を米議会に提示したのだ。

 これは大規模な地上軍は派遣しないが、「特殊部隊や情報収集を目的にした地上部隊を投入するので、国民の皆さん、議会の皆さん、承認してください」という意味である。

 昨夏から継続されている空爆だけではイスラム国を壊滅できないことが証明されたことでもある。オバマ氏の本気度が少しばかり増したとも受け取れる。イスラム国に拘束された人質が次々に殺害されていく現状を見るに見かねてとの思いもあるかと思う。

 様々な情報に触れると、米国がイスラム国を壊滅するには3万の兵力が必要になるとの具体的な数字も上がっている。そんななか、日本のメディアはイスラム国に対するオバマ大統領の立場をおおむね後押ししている。

米国の立場を後押しする日本の主要メディア

 「(米国は)イスラム国の壊滅に向け、より強力な軍事作戦を展開する。米国の方針転換を前向きに評価したい」(読売新聞)

 「米欧の主要国と日本は、改めて国連安全保障理事会などに呼びかけつつ、組織に対する包囲網の強化に動かねばならない」(朝日新聞)

 日本は政府も含めて、イスラム国を掃討する手立てを持たないので米国に頼るしかない。だが米国内には、オバマ大統領の心変わりと対イスラム国への対応の優柔不断さが批判の的になっている。

 まず、オバマ氏は2008年に大統領に当選以来、国際紛争やテロリズムに対しては消極的な態度をとり続けてきた。というより、積極的に出ていくべきではないとの考えだった。米国が世界の警察官の役割を担うことに、オバマ氏は毛嫌いしていた。

 2013年9月、テレビ演説を行った時に国民に説いている。

 「米国はもはや世界の警察官でいることはできません。ただシリア国内の子供たちは救えるかもしれません」

 軍事力で紛争は解決できないので、人道支援をしていきたいとの意思である。ジョージ・ブッシュ前大統領がアフガニスタンとイラクで戦争を仕かけたことで、多大な犠牲が2国だけでなく米国にも及んだことへの反省である。多くの米市民は中東での戦争はもうこりごりとの思いを抱く。

 しかし2014年9月、オバマ氏は態度を変えた。

 ニューヨークの国連で、「警察官」という単語こそださなかったが、再び米国が世界で主導的な役割を担ってもいいとの意思表示をしたのだ。

ブッシュ前大統領に似てきたオバマ氏

 外交専門誌『フォーリン・ポリシー』はオバマ氏の心変わりを見出しで、「オバマ大統領の国連演説・米国が世界の警察になることにオーケー」と打った。

 そして2月に入っての限定的な地上軍派遣の「お願い」である。少しずつブッシュ氏に近づきつつあると言えるほど、場当たり的な態度の変更が見える。多くの専門家は、それではイスラム国との戦いで勝利を得られないと見立てる。

 しかも民主党からも共和党からも批判が出ている。曖昧だとの指摘だ。

 民主党議員からの批判は、限定的であっても地上軍の派遣はすべきではないというものだ。上院外交委員会のクリストファー・マーフィ議員は、「地上部隊の投入という考え方は曖昧。限定的と定義してもすぐに全面的な地上軍への展開につながる恐れがある」と憂慮する。リベラル派らしい意見だ。

 一方、共和党の重鎮オリン・ハッチ議員は逆の立場から曖昧だと言う。

 「米軍を派遣するときに期間や地域、部隊の種類など限定的な要素をつけてはいけない。イスラム国を負かす目的を自ら削ぐようなもの。自分で手を縛ってどうするのか」

 こうした批判を耳にすると、オバマ氏は政治的にどちらにも寄り切れていないことが分かる。ウッドワード氏の言葉を借りなくとも、イスラム国を掃討する明確な戦略が立案されていないということだ。

 ただ米国が指をくわえたまま何もしないと、イスラム国は中東から北アフリカに支配地域を拡大していく可能性がある。

 決議案で、オバマ氏は有効期間を3年と定めた。ハッチ議員はそうした期間を限定することが勝てない理由につながるとする。しかもオバマ氏の任期は残り2年を切っている。

米国が本気になれば20日間で制圧が可能

 となると、次期大統領にイスラム国掃討の任務を託すことになる。それはブッシュ前大統領がアフガニスタンとイラクでやり残したことをオバマ氏に受け継いだことと同じだ。

 軍事的な観点からものを述べると、イスラム国の壊滅はさほど難しいことではないように思える。2003年に米軍がイラクに侵攻した時のことを思い出していただきたい。

 3月20日に侵攻を始め、バグダッドが陥落したのは4月9日である。ほぼ20日間でイラクという国を落としている。

 米国の陸海空軍が総力を結集すれば、おのずとそうした流れになる。しかしイラク戦争の代償は大き過ぎた。同戦争で亡くなったイラク市民は約65万人(英ランセット誌の調査)。米兵だけでも約4500人の死者が出た。

 しかもイラクの国内政治は不安定であるばかりか、フセイン政権を牛耳ったバース党の残党がイスラム国を生み出すことにつながった。

 「1人のテロリストを殺害すると10人が新たに生まれる」という言い伝えは誇張が含まれるとしても、オバマ氏は過去の教訓から、米国はもはや国外で戦争をすべきではないとの思いに至っていたはずだ。

 ところが今になって心変わりをする。

 本気でイスラム国を掃討したいのなら、ハッチ議員の言うとおり、限定的という枠を外し、総力を結集して短期決戦にでるべきなのかもしれない。

 だが筆者には、オバマ氏が「嫌々ながら、自分の意志と反することをしなくてはいけなくなりました。ほかに選択肢はありません。何とかうまくいきますように」とのぼやきを胸中に宿しているような気がしてならない。

 これではイスラム国の掃討など遠く及ばない。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42928

◆共和、民主両党から見放されたオバマ大統領
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42099

◆テロリストをテロリストと呼べないオバマ、イスラム国テロリストに仕事を与えろだってさ!

February 17, 2015 苺畑より

バレンタインズデイに起きたデンマークのコペンハーゲン、カフェとユダヤ寺院での乱射事件。引き続き公開されたISISによるエジプトのキリスト教徒21人の斬首ビデオ。このような残酷なテロ軍団と戦うために、オバマ政権にはどんな作戦があるのか。国務庁マリー・ハーフ副報道官はクリス・マシューズのトークショーで、マシューズのISISの暴虐をどうやって止めるのかという質問に、なんとテロリストに仕事を与えることだと答えた。

はあ?

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ハーフ:それは、幾つかの段階があると思います。先ず我々が今やっていることは彼らのリーダーや戦闘員をイラクとシリアの戦場から取り除くことです。その地域は彼らの活動が最も活発だからです。

マシューズ:我々は十分な数の敵を殺してるんですか?

ハーフ:我々はたくさん殺しています。そしてもっと殺し続けます。エジプトにしろヨルダンにしろそうです。これらの国々は我々と一緒に戦っています。 しかし、我々は殺し続けることでは勝てません。この戦争には殺し続けることでは勝てないのです。我々には中期と長期にかけて人々がこうしたグループに参加する根本的な原因を追究する必要があります。それが就職する機会に欠けていることなどにしろ、、

マシューズ:それでは我々の生涯中に、いや50の生涯中でも彼らを止めることなんて出来ませんよ。いつの時代にも貧しい人は居ます。いつの世にも貧しいイスラム教徒はいますよ。貧しいイスラム教徒がいる限り、トランペットは鳴り、彼らは参加する。我々に止めるはできない、そうですか?

ハーフ:世界中の国々と協力して状況を改善していくことはできます。我々は彼らの経済を立て直し、就職の機会を与えることが出来ます。

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オバマ政権は平和なアメリカの就職率すら盛り返すことが出来ないくせに、何がイスラム国テロリストに仕事の機会を与えるだ、馬鹿も休み休み言え!

第一、ハーフの前提は間違っている。ISISにはアメリカ国内からもヨーロッパ諸国からもテロ軍団に参加するために故郷や家族を捨ててシリアに行った人間がいくらでもいる。欧米で安穏と暮らせる若者が何が欲しくてISISに参加したりするのだ?日本からもISISに参加したがる若者がいるという。あきらかに彼らの動機は貧乏ではないだろう。

オバマ王政権はこんなふうだから、議会がオバマの対ISIS戦争に予算割り当てなど簡単にできないのだ。金だけ振り分けてみても、オバマがISISテロリスト用の職安なんかつくったりするんじゃ意味ないからね。

http://biglizards.net/strawberryblog/archives/2015/02/post_1681.html

◆「アラブの春」が裏目? 事実上「内戦」のリビアが格好の標的に

2015.2.16 産経ニュース

 【カイロ=大内清】イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」系組織がリビアでも台頭し、新たな人質殺害事件を起こしたことは、イスラム国が、2011年以降のいわゆる「アラブの春」で混乱した中東・北アフリカ情勢を利用し、勢力を拡大させている現実を国際社会に突きつけた。

 エジプトに隣接するリビアでは11年、反政府デモへの弾圧をきっかけとした内戦と、北大西洋条約機構(NATO)などの軍事介入でカダフィ政権が崩壊。その後は制憲議会が民選されたが、軍閥化した各地の反カダフィ派民兵の権力争いが激化したことで政権移行プロセスが頓挫した。

 昨年夏には制憲議会に代わる議会を選ぶ選挙が行われた。しかし、新議会の正統性を認めない西部ミスラタの有力軍閥や、イスラム原理主義のムスリム同胞団系、東部ベンガジを拠点とする国際テロ組織アルカーイダ系などのイスラム勢力が「リビアの夜明け」連合を結成し、首都トリポリで独自に学者のオマル・ハーシ氏を首相に擁立した。

 これに対し、国際的な承認を受ける新議会側は、拠点を東部トブルクに移しシンニー首相を選出。シンニー氏は、カダフィ政権で軍高官だったハフタル将軍や西部ゼンタンの軍閥と連携し「リビアの夜明け」側と対立している状況だ。

 これまでイスラム国は、宗派対立に起因する政情不安が続くイラクや内戦下にあるシリアなど、国家権力が機能していない地域に狙いを定めることで勢力を急拡大させてきた。

 そんなイスラム国にとり、事実上の内戦状態にあるリビアは格好の浸透対象だ。カダフィ政権を打倒する内戦の過程で戦闘的なイスラム勢力が台頭していたことや、内戦中のフランスなどによる武器支援もあって銃器が氾濫していることも好条件となっている。

 こうしたリビアの状況に対し、多数の労働者がリビアへ働きに出ているエジプトのシーシー政権は強い懸念を表明してきた。リビアから大量の銃器が周辺国に流出していることなどへの危機感も強く、昨年夏にはアラブ首長国連邦(UAE)とともにトリポリでイスラム勢力を空爆したとも取り沙汰された。

 ただ、財政難にあるエジプトが単独でリビアへの介入を続けるのは難しいとみられ、今後は湾岸アラブ諸国など他の有志連合参加国に協力を求めることも考えられる。

http://www.sankei.com/world/news/150216/wor1502160038-n1.html

中東から手を引いて力の空白を作ったオバマは最悪のことをしてくれたし、今から考えればネオコン派の世界を民主化することがアメリカの国益と世界平和につながるという説は寝言だったということだ。
恐怖でイラクを統治してきたフセイン体制とシリアのアサド体制の方がISISよりも多文化・多民族共存で10倍マシで、バース党は両国外部への伝染性などなかったからだ。

◆エジプト最凶の武装組織、「イスラム国」への忠誠誓う

2014年11月4日 ロシアの声

エジプトで最も強くかつ最も危険な組織と見なされているイスラム過激派「アンサル・ベイト・アル=マクジス」が「イスラム国」への忠誠を誓った。火曜、ロイターが伝えた。

同組織は、シリアおよびイラクにおける「イスラム国」の活動を支持する、と表明した。
アンサル・ベイト・アル=マクジスはアルカイダの影響下にある組織。同組織と「イスラム国」との関係は以前から指摘されていた。両者は共謀してアラブ諸国の軍隊を攻撃していた。タスが伝えた。
10月初頭には「タリバン」も「イスラム国」支援の意思を表明している。タリバンは米国を筆頭とする国際空軍連合に対する「イスラム国」の戦いを誇りに思う、と語り、イスラム主義国家の共同建設に向けて支援を施す用意があることを表明していた。
Lenta.ru

http://japanese.ruvr.ru/news/2014_11_04/279587241/

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成26年(2014)11月24日(月曜日)
      通巻第4405号 
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 エルドアン以後、トルコのイスラム回帰が本格化している
   全土80以上の大学にモスクを新設、イスラム教育を制度化へ
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 トルコの「脱西欧、入イスラム」が進んでいる。
 全土80以上の大学構内にモスクを建設し、イスラム教育を制度化すると発表したのだ。

 「ゆえに」と書けば、たいそう短絡的と捉えられるかもしれないが、エルドアン大統領は欧米のメディアからぼろくそに批判されてきた。独裁者だとか、時代錯誤だとか。この文脈からはプーチンと同列である。
 トルコのイスラム回帰が本格化すれば「近代トルコ建国の父」といわれたケマル・アタチェルク以来のイスラム世俗化路線を大幅に軌道修正することを意味する。

 これまでトルコはNATO,OECDの一員でもあり、自らを「ヨーロッパの国」と認識してきた。それがイスラムの国に戻るのだ。
 
 欧米のエルドアン批判によって、従来のトルコの西側へのアプローチを逆回転させたことになり、欧米のロシア制裁がプーチンをして中国に向かわせてしまったことと同じ危険性を孕んでいる。

 トルコは英国、露西亜との戦争に敗れ、オスマントルコ帝国は音立てて瓦解し、版図は縮小されて、いまのアナトリア半島に縮こまり、冷戦中は西側に与してNATOの一員として多大な貢献ぶりを発揮した。トルコ軍は中東諸国の中では精鋭の兵隊を誇り、イラク軍やシリア正規軍や民兵やクルド民兵より強い。

地中海に面したトルコ第三の都市イズミールにはNATO海軍基地も置かれている。欧州企業は、このエキゾティックな港町に多数が進出している。

 冷戦崩壊以後のトルコは、積極的にEU参加を表明し、またユーロ加盟を申請していた。たがEU加盟はまだ未決定の上、ユーロは結局の所、昔の「神聖ローマ帝国」の版図をそのまま引き継ぐかのように、キリスト教圏だけをメンバーとして、イスラム圏を加えようとはしなかった。
 トルコははじかれたのだ。

心理戦としてはフランスなどが「トルコのアルメニア虐殺」を言いつのったため、欧州の主要国家との政治宣伝上の対立が先鋭化した。トルコ側によれば、「戦争の最中、移動中の事故」があったことは認めるが意図的なアルメニア人虐殺はない、とする立場を貫き、この西側との歴史解釈を巡る齟齬は感情的対立として尾を引くかたちとなった。
見えない心理戦である。

トルコはその替わりユーロ危機とは無縁で、むしろ「ユーロに入れなかった恩恵で」という口実が生まれた。というのも欧米企業は通貨安のトルコへ工場進出を加速化させたため、経済成長著しく、経済的な発展を遂げた。トルコからの出稼ぎがおおいドイツはトルコと経済的絆がもっとも強い。

他方、トルコはイスラエル軍と深い関係を結び、イスラエル空軍から訓練をうけるほどの関係だったが、これも米国の後ろ盾があった。
米国がトルコと距離を置きだしたのはエジプトの政変である。トルコは「ムスリム同胞団」を支援していたが、軍はクーデターでイスラム原理主義政権を転覆させ、米国も渋々シシ政権と関係改善を図った。

 ▼トルコが抱える二つのアポリア(難題)

 トルコと欧米との関係は表面的にうまく行っているはずだった。しかし最近とみに雲行きが怪しくなった原因は第一にシリア情勢である。
昨今はISILの暴虐な浸透ぶり、産油国の警戒と米国への猜疑心が拡大してゆき、国内に難題を抱え込んだ。シリアからトルコへの難民は数十万に膨れあがった。この難民の群れにイラクを追われた人々が加わる。
トルコ政府は人道的見地に立って百万近い難民の救援に当たっている。

 第二はクルド族の独立問題である。
 世界に散らばったクルド族は1500万人以上で、アナトリア半島に東側、イラク、シリア、アルメニア、グルジア、イランにまたがる宏大な山岳地帯にクルド族が暮らしているが、ISILのイラク北部占拠以後、クルドへの援助を欧米が再開し、公然とクルドの独立を容認する発言が続く。
トルコはクルド族自治区の住民投票を容認する姿勢に転換している(大統領選挙中、エルドアンは公約した)。

 トルコはチュルク民族の最初の国家「突厥」の成立(552年)をもって国の成り立ちとしており、また近代化の父ケマル・アタチェルクを顕彰する日は祝日である。それほどイスラムの世俗主義に徹して、経済発展に邁進してきたので一人あたりのGDPは10000ドルを超えている。

 また政治的には5%ルールのドイツより厳しく「10%ルール」を適用させているため、選挙で10%に達しない少数政党(とくにイスラム原理主義、イスラム諸派)は議席を獲得できない。
まして政治の背後に巨大な軍の存在がある。エジプトでも、イラクでもそうだったように軍は近代化路線を志向し、極端な宗教色を嫌う。

▼トルコが「勇志連合」への参加に消極的なわけ

 複雑な状況を踏まえて見れば、なぜトルコが米英欧主導の「勇志連合」に対して最初の段階では参加を見送ったか。

 米国は9月7日に空爆を決め、直後にヘーゲル国防長官はトルコに参加を呼びかけた。またISILの新規加入者がシリアへ潜入するルートはトルコであり、このルート壊滅も要請した。空爆は10月中旬から開始された。

10月のトルコ議会は渋々「勇志連合」への参加を決めたが、クルド軍兵士の領内通過を容認しただけで、空軍基地の提供はためらったまま、また地上軍の派遣を実行していない。欧米のやり方に懐疑的なトルコは、いざ参加しても途中で梯子を外される危険性を十二分に感知しているからだ。

 それゆえにトルコ全土80以上の大学構内に2015年度中にモスクを新設するというトルコの方針転換は、イスラム回帰の嚆矢となるのか、大いに注目されてしかるべきだろう。 
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