おもしろニュース拾遺

 BC級ニュースが織り成す可笑しくも愛しい『人間喜劇』。おもしろうてやがて悲しき・・・

植物「ど根性」物語:大根&ミカン

2005-12-11 12:02:31 | 動物・ロボット・植物
  
 「私は新聞はまずスポーツ面から読む。そこには人間が何を成し遂げたかが載っている。その他の面は--人間がどういうヘマをやったかが載っているだけだからだ。」 子供の頃に読んでなるほどそういものかと感心したが、残念ながらこの言葉の主は記憶しなかった。最近のニュースを聞いているとまたこういう風にも言えるのでないか。「動物ネタは快挙だが、人間ネタは不祥事である。」

 物言わぬ動物が人間を励ましているだけではない。動かぬ植物までもが健闘している。最近注目を集めたのが、兵庫県相生市の「ど根性大根」だ。道路のアスファルトを破って一本だけ生えてきた大根が町の話題になる。そしてマスコミの格好のネタに。ここまではよくある話。その後にドラマがあった。
 この大根が折られて上の部分が持ち去られているのに気がついたのが11月13日朝。住民は嘆いて現場に写真と花を添え「供養」をしていた。ところがこのニュースが大きく取り上げられて怖くなったのか、犯人が現場近くにこの折られた大根(切り口が一致)を置いているのが発見されたのが16日。ただちに市役所に運び込まれて、いわば「緊急救命室」に運び込まれた人間のように蘇生の努力が続けられた。
 そして大根は蘇った!「大ちゃん」と名付けられたこの大根「回復」の様子は相生市の「大ちゃんのここだけのはなし」(上の絵はここから)で写真付きで公開されている。葉っぱが成長し、今では葉全体の長さは8cmになっている(12月5日現在)という
 市に運び込まれたときは、市長も「まさかつなぎ合わせるわけにはいかないし」と生存を絶望視していたが、今では「大ちゃん」を市のメインキャラクター扱いで、記念碑に蓄光石のイルミネーションを埋め込んでいる(写真)。


 日本のマスコミの困ったところだが、この「ど根性大根」が有名になると、全国の「ど根性植物」探しが過熱して、かえってシラケてしまった。その「ど根性」ブームが治まった今、「ど根性みかんの木」のニュースが。南日本新聞12月11日

 岩を割ってミカンの木が生長している。持ち主が岩の間から蜜柑が生えているのに気付いたのはなんと20年も前。長い間、このミカンは生存に必要なエネルギーをかろうじて岩の隙間から得ていたに違いない。それでもゆっくりゆっくり成長を続け5年前に根が地面に到達すると急に成長を始め、今では100個もの実をつけている。ど根性というより臥薪嘗胆、不屈の執念の勝利である。

 「”根性”だの”執念”だの、植物に自由意志があるかのように感心するのはバカだ。ただの偶然に過ぎない」と冷笑家は言うだろう。しかし20年どころか、二分間の我慢ができずにキレて同種を殺害したりする「自由意志」とは自慢できる代物なのか。動物と植物は人間を感動させた。人類はどうですか?と改めて問いたい。


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3 コメント

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TBありがとうございます (エセてれびまにあ)
2005-12-12 17:28:39
次々と発見させる「ど根性野菜」ですが、こういうのは昔からあったはず。にもかかわらず、1つ見つかったら立て続けに出てくるなんて、いくら何でも偶然が多すぎる。全てとは言わないが、中には必ず「仕込み」があるのでは…と個人的には思っています。
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例えば風太君 (管理人)
2005-12-12 18:26:03
>全てとは言わないが、中には必ず「仕込み」があるのでは…と個人的には思っています。



 日本の「集中豪雨的」な報道のせいでしょう。ひとたび評判になるやデスクが記者に「同じようなネタを探してこい」と号令をかける。

 いい例が「風太君」。朝日新聞が写真を載せて評判になるや、レッサーパンダのいる動物園に電話をかけまくって、「立ち上がらせてもらえませんか」。無理矢理えさで釣って立ち上がったところをカメラでとらえる。実は少しも珍しいものでないのに。

 そのくせ、他の局が取材しない重要なことは、やはりこちらも取材しない。

 結局日本の視聴者はかばんの中で片寄ってしまった弁当ばかり食べさせられてます。
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『ど根性大根』経済効果三億五千万円 (管理人)
2005-12-29 15:00:15
相生市の谷口芳紀市長は二十八日の仕事納め式で「新聞やテレビ報道など『ど根性大根』による相生市の宣伝・経済効果は約三億五千万円」との試算を発表した。(神戸新聞)

http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/00046111sg200601290900.shtml
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