おもしろニュース拾遺

 BC級ニュースが織り成す可笑しくも愛しい『人間喜劇』。おもしろうてやがて悲しき・・・

ニセ医師8年間:プロより「有能」?

2005-12-09 11:30:08 | 詐欺
 「本当に親切でいいお医者さんでしたよ」というのが患者の声。「症状に合った的確な処方戔を書いていましたよ」と薬剤師。
 8年間の間ニセ医師として20か所以上の医療機関を渡り歩いていた男が12月6日ついにお縄となったが、大学の医学部さえ一度も通ったことのない男がどうしてかくも長期間見破られなかったのか。東京新聞がその深層を取材(9日記事)している。

 逮捕された病院では当直専門の医師として勤務。「専門」は外科だが、手術は常勤医が担当する決まりのため、彼は手術はしたことはないという。彼は都立病院で「見学生」という待遇で一年勤務(無給)。この間に医学知識を身につけたのだろうというが、「素人が一年間見学しただけで、診断名を付けたり、処置したりできるとは思えない」と病院。
 彼は「慶応大学医学部と北京大学医学部卒」と経歴を偽っていたが、実は定時制高校を中退が最終学歴だった。医者という仕事の大半が素人の物まねで通用するほど簡単なのか、この男が”ブラックジャック”のような天才なのかどちらかだろう。

 この記事に出ている医療ジャーナリストのコメントが悲しいほど示唆的である。
 「問診して話をするだけなら、ニセ医者でもばれない。ニセ医者は人柄が良くて、口がうまく、技術がいいのが基本。そうじゃないと、すぐばれるから。」(富家孝氏)
 「自分が新聞記者時代にニセ医者を取材した時も、患者はみんな、あんな親切な人はいないと言っていた。偉そうなニセ医者はいない。」(水野肇氏)
 医療ミスを隠蔽するプロ医師を選ぶか、ミスなく無難で親切なニセ医師を選ぶか、私たちは「究極」の選択を迫られつつある。

 とにかく偽医者はプロを超えていた。ここでもゲーテの「種の中で完全な個体はその種を超越する。」という言葉が思い出される。

 プロの一級建築士が構造計算書を偽造して日本中を恐怖に陥れている。弁護士で国会議員という法律の二重のプロが詐欺で逮捕された。今、プロの責任と倫理は地に落ちている

 新聞記者だってそうだ。どの新聞も警察発表をまとめて、その最後に「偽造をチェックする態勢が望まれる」と判で押したように書いているだけ。これなら中学生にも書ける。報道のプロたる所以は、読者の「なぜ」に答えられるまで深く真相を取材する点にあるはずだ。なぜニセ医師は8年間「医療行為」を続けられたのか、依然としてナゾは残ったままだ。


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2 コメント

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TBありがとうございます。 (jake)
2005-12-09 13:18:01
本当に新聞記者に対する思いは僕も一緒です。

今こそマスコミの役割というものをしっかりと考えてほしいですね。
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資格とは、なんなのか (sadakun_d)
2005-12-17 16:08:42
★有資格の建築士が、耐震設計を偽装し、とんでもない欠陥建造物を作る。



★有資格の弁護士が、非弁活動をする。



☆無資格の偽医者が「名医?」と慕われ、患者に評判がいい。



気がつかなかったが「弁護士」「医師」「建築士」て、花形資格の「御三家」じゃあありませんか。



なんてことなんでしょ



資格が、あって「ワル」を働き、無資格が「善?」(笑)



他のブログに「建築士は花形資格だけど、実際は、こんな程度なんだよ、と、建築士に憧れる子供が、幻滅しないといいが」とある。



いささか、心配です。
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