’07弘前・青森・函館 熱風怒濤 その17“プレーリー継承”

　巨匠フランク・ロイド・ライトの日本でのスタッフであった田上義也氏は、ライトのアメリカ帰国には同行せず、北海道へ渡り、道内各地に素晴しい建築を残した。当ブログでも「札幌彫刻美術館」「旧小熊邸」「網走郷土博物館」など取り上げてきた。しかし今年焼けてしまった「旧坂別邸」や、2003年にあっさりと解体されてしまった「旧大谷邸／アンセリジェ」など写真に残せなかったものもある。旧坂別邸は岩井俊二監督の映画「Love Letter」の舞台にもなった建築だ。とても残念である。

　今年のツーリングでは青森から函館に渡った。函館にも沢山の価値ある歴史的建築物が建つが、今回は「旧小熊家／旧佐田邸／プレーリーハウス」を見るのも目的の一つであった。この旧小熊家に辿り着けたのは以前UPした「カフェやまじょう」のマスターのおかげである。ちょっと奥まった場所に在るため、探すのに苦労したのだが無事見ることが出来た。とは言え、現在も個人の住宅であるので外観のみの見学である。しかし、旧小熊邸や旧坂別邸、旧大谷邸に通じるライトっぽさが表れている。アメリカの草原、プレーリーを思いおこさせるライトの建築。弟子、田上氏のプレーリーハウスは立派な和風の庭にもよく合っていて驚かされた。

「旧小熊家／旧佐田邸／プレーリーハウス」
設計者：田上義也　竣工：1928年　函館市元町32-24