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「子猫をお願い」DVDにて

2005年03月20日 | cinema-korea
ようやくDVDで『子猫をお願い』を観ました。ずっと観たかったんですが、やっと1週間レンタルになったので借りてきました。
主演は『ほえる犬は噛まない』の「ペ・ドゥナ」。共演に『イ・ヨウォン』『オク・ジヨン』


『テヒ(ペ・ドゥナ)』『ジヨン(オク・ジヨン)』『ヘジュ(イ・ヨウォン)』、そして双子の『オンジュ(イ・ウンジュ)』『ビリュ(イ・ウンシル)』は高校の仲良し5人組だった。卒業後はそれぞれの道を歩みだしていた。
『ヘジュ』の誕生日を祝うため、久しぶりに揃った五人。それぞれがプレゼントを持ち寄る中、『ジヨン』の箱の中身は可愛い子猫だった。
一度は受け取った『ヘジュ』だったが、両親の不和をきっかけにソウルに引っ越すことになった『ヘジュ』は子猫を『ジヨン』に返した。
『テヒ』は、家業の手伝いをしながら、小児マヒの青年詩人の口述する詩をタイプに打ち込むボランティアも行っていた。
チラシ配りをする『テヒ』の携帯に電話がかかってきた。『ヘジュ』からの頼みごとの電話だったのだが・・・


改めて韓国映画の底の深さを見せ付けられた気がしました。
監督は本作が商業映画長編デビューになる「チョン・ジェウン」女史。興行的には何の実績も無い映画学校でたての監督を抜擢できる韓国映画界の懐の深さを感じます。

本作を語るに『等身大』という言葉ほど当てはまる単語は無いでしょう。
高校を卒業して社会に出ていった5人の女の子たち。性格も家庭の環境も違う彼女たちの友情や社会の現実に揺れ動くさまを、飾らずにそのまま切り取ったかのような作品に仕上がっています。
以前『八月のクリスマス』のレビューでも書いたことがあると思いますが、映像化が一番難しいのは『日常』を描くことだと思います。(ドキュメンタリーは別ですが。) 凋落著しい今のハリウッドや日本映画にかけているモノではないかとも考えています。
本作で、もうひとつ好感が持てるのは音楽の使い方です。監督のセンスが結構反映されると思いますが、本作では必要の無いシーンでは音楽をつけていません。(最近はやたら全編BGMを付けたがる監督ばかりです。モチロン相乗効果もありますが、映像に自信を持てない監督ほど音楽を使いたがる傾向がある気がします。)
それぞれのキャラクターの使い方も見事だと思います。物語のキーパーソンとなるのは『ジヨン』ですが、あえて彼女を主に置くのではなく、横で見守る形の『テヒ』を主役にすることで無用な(ドラマティックな)盛り上がりを避けています。この演出が『等身大』『日常感』を支えているのだと思います。 
『ジヨン』とは対照的な存在が『ヘジュ』です。現代社会に埋もれてすこしずつ大切なものを失っていく少女。見かけは裕福になっていきますが、反比例で心が貧しくなっていく。現代社会の鏡の役目でしょうか。
双子の使い方も見事です。バイブル『ガラスの仮面』をお読みの方は分かるでしょうが、観客の緊張の集中力は長くは続きません。必ず緩和がどこかで必要となります。双子が笑いの役目を果たすことで展開にメリハリが付き、見る側の集中力を最後までもたせてくれる演出になっています。


「ペ・ドゥナ」が演じたのは『テヒ』。卒業後就職もせず、家業のサウナを手伝いながらボランティアに参加し、いつかは旅に出ることを夢見る女の子です。吝嗇家な父親に反発するなど、普通の女の子の悩みを体現させている役柄を的確に表現していました。(もしかして 地・・・)
『ジヨン』を演じたのはモデルから転身した『オク・ジヨン』。社会の矛盾に翻弄される難しい役どころだったと思います。
「イ・ヨウォン」がOL娘『ヘジュ』を演じました。制服姿は無理に背伸びしているように感じました。

監督もインタビューで言っていますが、2度3度見るごとに新しい発見のある作品だと思います。(返すまでに2回見ました。)


評価 星 よっつ


公式サイトはコチラ

子猫をお願い@映画生活


P.S.1
特典映像でのインタビューの「ペ・ドゥナ」があまりに大人の女性なので、ちょっとびっくりしてしまいました。1979年生まれですから当たり前なんですけど、一番女性が変わるときなのかもしれませんね。

P.S.2
双子を演じた「イ・ウンジュ」は先日衝撃の自殺を図った「イ・ウンジュ」とは別人です。双子役の二人は本作後、役名をそのまま芸名にされたと「ペ・ドゥナ」は云ってました。


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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (しまちゃん)
2005-03-20 23:47:43
トラックバックありがとうございました。

こちらもさせていただきます。

よろしくお願いします。
TBありがとうございました (yyz88)
2005-03-21 05:39:31
チョン・ジェウン監督は今後も注目したいですね!
TBしました (映画の花道)
2005-05-25 22:03:44
あまりにも受けた感想が似てたんで、驚きました。

この映画の魅力は、なんと言っても”等身大”の彼女達でしょ(笑)そんな女の子達に魅せられました



この記事を読んだときに確かに音楽も適所によかったな~と再認識しました



アンニョン
瑞々しい青春ドラマ (ももママ)
2005-06-24 08:42:31
TBさせていただきました。

韓流といえば、冬ソナか戦争映画しか知らなかったのですが、こんな作品もあるんですね。こういうの、大好きです。

国境を越えて共感を呼びます。イキイキとした彼女たちの表情が良かった。たしかに双子の使い方も見事でした。
こんばんは (朱雀門)
2005-09-11 02:10:27
最近になってやっと見ました。



5人のキャラクターについての観察力に感心しました!

最後は、テヒとジヨンだけの話になってしまいましたが、他の3人もそれぞれバランスの取れた描き方をされていたと思います。

私自身、引っ込み思案なところがあるので、

ジヨンにすこし感情移入してしまいました。

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