アセンションへの道 PartⅠ その理論と技法

2012年には銀河の中心と太陽系そして地球が整列し時代の節目を迎えます。アセンションの理論と技法について考えます。

第15章 心と意識 ⑦輪廻転生

2011-11-18 06:00:36 | 第15章 心と意識
筆者が輪廻転生の概念を初めて知ったのは、多分高校時代の現代国語若しくは古文ではないかと思う。当時は「ああそういう考え方もあるのだ」くらいにしか思っていなかったが、知らず識らず輪廻転生は当然のこととして受け止めるようになっている。理由は深く考えたこともなかったが、ヴィヴェーカナンダの説くところによると、人類は皆平等と言いながら、生まれた環境や生まれつきの容貌や才能にこれほどの差があるのは、前世のカルマの影響と説明するのが一番合理的であるし、そもそも悪いことを一生続けて富や権力をほしいままにした悪党が、その人生で何ら裁きを受けずに死ぬこと自体、不合理極まりなく、来世での報いを予期せざるを得ないといった説明をしていた。やはり、その人生で良い行いをした人は、死後天界で、或いは来世でその果報に預かることになると考えるのが合理的であろう。

ところで、筆者がクンダリニ・ヨーガを学ぼうと決意したきっかけの一つは、パラマハンサ・ヨガナンダの『あるヨギの自叙伝』を読んだことであると以前本ブログで説明した記憶があるが、その中に輪廻転生に関することも含まれていた。即ち、クンダリニ・ヨーガの修行をしたヨギは、かりに覚醒に到らなくとも、或いは途中で挫折しようとも、次生に於いてはより高いレベルからその修行を続けることが出来るとの記述である。そして、その記述の根拠は、ギーターにあることが後に判ったので、その部分をギーター(田中嫺玉氏の訳による『神の詩』)の第6章から引用する。

アルジュナ問う
「信仰を持っていたが 持続できなかった人 はじめ真我実現の道を進んだが
 俗心に負けて ヨーガを完成出来なかった人々は その後いかなる運命を辿るのですか
 大力無双のクリシュナよ そのような人は 至上者(ブラフマン)への道を踏み外して
 どの世界にも立場がなくなり ちぎれ雲のように消滅するのですか? クリシュナよ
 これが私の疑問です ぜひこの不安を取り除いて下さい 私の疑惑を打ち砕く
 ことの出来るのは あなたをおいて 他にありません」

至上者(バガヴァーン)こたえる
「プリターの息子(筆者註:アルジュナのこと)よ 真理を求めて 
めでたい行いをした人々は この世でも霊界でも破滅することはない 
友よ 善を為した者は決して悪道に堕ちない 挫折したヨギは次生において
純真清浄な者たちの住む星界に往き 長い間そこの生活を楽しんだ後で
地上の徳高き豊かな貴族の家庭に生まれる
または大いなる智識をそなえた ヨギの家庭に生まれてくる
この世において、このような誕生は まことにまことに稀なのである
アルジュナよ そのような家庭に生まれて 彼は前世における神聖な意識を
よみがえらせて その力を一新し 再び最高の目的に向かって努力するのだ
前世で聖なる意識をもっていた徳により 彼は我知らずヨーガの思想に魅かれる
探求心の強い求道者は常に 宗教儀礼を励行する者より勝れている
幾多の誕生をくりかえして修行を重ね 誠実に努力して霊的向上に励み
すべての汚れを洗い清めたヨギは ついに至上の目的地に着くのである
ヨギは苦行者より偉大である ヨギは哲学者より偉大である
ヨギは有益な働き手より偉大である 故にアルジュナよ ぜひヨギになりなさい・・・」

ところで本章のテーマは「心と意識」であるが、輪廻転生するということは、心と意識の観点からはどのように説明されるのであろうか。この問題を解く一つのキーワードがサンスカーラという概念(本章④心の構造参照)なのであるが、ラマナ・マハルシ師は『あるがままに』の中でこの問題を以下のように説明している。

質問者  輪廻転生は真実でしょうか。
マハルシ 無知が存在するかぎり、輪廻転生は存在する。本当は輪廻転生など全く存在しない。今も、今までも、そしてこれからも。これが真理である。

ということで、ラマナ・マハルシ師は輪廻転生すら無知(即ち、自身の肉体や心を真我と思いこむこと)に基づいた現象であり、真我の立場からは存在しないと一刀両断にしている。以下、魂やサンスカーラとの関連で次のように応じている。

質問者  ・・・魂とはヒンズー教の教義が示すように、何度も何度も生まれ変わる実体なのでしょうか、それともそれは単なるサンスカーラ、精神的傾向の集合体にすぎないのでしょうか?

マハルシ 真我は永遠に存在し、影響を受けない。転生する自我はより低い次元、つまり想念の次元に属している。それは真我実現によって超越されるのである。

更に引用を続ける。

質問者  生命と再誕生への渇望の原因とは何でしょうか。
マハルシ 真の再誕生とは自我として死に、霊性として再生することである。これがイエスの磔と復活の真意である。霊性、真我、源のなかに溶け去り、身体としての感覚が消え去るまで、新しい身体はつねに手に入るだろう。放り投げられた石は再び源に戻り、落ち着くまでつねに動きのなかにある。頭痛は頭痛が起こる以前の状態に戻るまで苦しみを与え続ける。生命と再誕生への渇望は、絶対的な存在、サットである生命の本質そのもののなかに本来備わっている。本質的に不滅であるにもかかわらず、はかない道具でしかない身体との偽りの同一化によって、意識はそのはかなさと同化してしまう。それが誕生と言う連鎖をもたらしたのである。だが、いかに果てしなく身体が転生を繰り返そうとも、いつかは終焉がおとずれ、唯一永遠の真我に明け渡す時が来るのだ。

次は、死と誕生の間隔についての質問に答えたものである。

マハルシ 一つの意識状態と別の意識状態の間に、測定の基準となるものはない。そのような測定方法は仮定的なものだ。ある個人はより多くの時間をとり、ある個人はより少ないということは事実である。だが、はっきり理解されなければならないのは、生まれ変わるのは魂ではなく、あたかも転生するかのように見える個人の思考にすぎない。心が如何なる次元で活動しようとも、それはそれ自身の為に身体を創り出す。物理的世界には物理的身体、夢見の世界には夢の身体を。夢見の身体は夢の雨に濡れ、夢の病で病気になる。ちょうど夢のない深い眠りのなかでは世界がなく、それゆえ身体も無いように、物理的身体の死後、心はある期間活動を停止する。だが、それは新しい世界と新しい身体(アストラル)のなかで活動的になる。そのあとに、それは‘再誕生’と呼ばれる別の身体を得るのである。だが、ジニャーニ(真我を実現した人)の心はすでに存在をやめ、二度と再び誕生と死の原因を起こすことはない。彼にとって、幻想の連鎖は永遠に断ち切られたのである。こうしてみれば、誕生も死も本当は存在しないということは、最早明らかだろう(筆者註:般若心経に‘不生不滅’という言葉がある。第14章⑩を参照)。再生という過程のなかで幻想を生み出し、それを維持してきたのは心なのだ。そして、それは真我実現によって破壊されるのである。

質問者  川が大海に流れ込んでその個体性を失うように、死も人の個我を溶かし去り、再生はできないのではありませんか?

マハルシ けれども海水は蒸発し、雨となって丘の上に降り注ぎ、再び川となって海に流れ下っていく。同じように、眠っている間は個我もその分離性を失っているが、サンスカーラ或いは過去の潜在的傾向(筆者註:ヴァーサナのことか)に従って、目覚めと共に個我性を取り戻す。それは死に於いても同じである。サンスカーラ(心の潜在的傾向)を持った人の個我性は失われることはない。

質問者  どうしてそうなるのでしょうか?

マハルシ 枝を切られた木がどのように再生するか見てみるがいい。根がそこなわれずに残っているかぎり、木は成長し続けるだろう。同じように、死の過程におけるサンスカーラはハートのなかに沈んでいるだけで、死に絶えたわけではない。そのため、時が来れば再誕生してくる。ジーヴァ(個人)はこのように再生するのである。

質問者  人の死と再生の間隔はどれほど長い期間なのでしょうか?

マハルシ それは長いときもあり、短いときもある。だが、ジニャーニはいかなる変化も通らない。彼は普遍の存在の中に溶け去ったのである。ある人々はこう言っている。‘死後に光の道のなかを通る人は、再び生まれることはない。死後に暗闇の道を通る人は、微細な身体のなかでカルマの結実を楽しんだのち、つまり生前での行いの報いを受け、それを味わった後に再誕生する。‘ またある人びとはこう言う。‘生前の功績と罪科が等しい人は、直接ここに再誕生する。功績が罪科を上回る場合、微細な身体は天国へ行き、それから再誕生する。罪科が功績を上回る場合、彼等は地獄へ行き、そのあとでここに再誕生して来る。‘ ヨーガブラシュタ(ヨーガの道を踏みはずした人)もまた、同じような過程を通ると言われている。これらのことは全て聖典に記述されている。だが真実は、誕生も死も存在しないのである。人はただ真にあるがままに在る。ただこれのみが真理である。

つまり真我実現したジニャーニにとっては、般若心経に書いてある通り、生まれるということもなければ、死ぬということもないのである。輪廻転生するかのように見えるのは、実体のない心とその中に残っているサンスカーラであり、このサンスカーラをサマーディの状態に入ることによって消滅させることを通じて真我実現が起こり、それによって人生の究極の目的である解脱(輪廻転生からの解放)がもたらされるのである。

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