■ Neo Border  031 [ Version 3.0 ]

2013-12-25 21:47:18 | Weblog

2028年7月

中東で重傷を負った女の子は今16歳となっていた。

そしてあの空港でNPOの一環でオペレーターをしている。

 

多くの夢を持って旅立つこの国の人々を世界へ送り出し、

多くの夢を持ってやってくる世界の人々の案内している。

 

車椅子の車輪のように

いつまでもこの平和が続くことを祈りつつ

 

 

 

Mark、William、Johnは

観光客の先頭にたち出口に向かって遠ざかる、車椅子の少女を見送りながら

こぶしを合わせ微笑みあい、

じゃれあいながら搭乗口へと向った。

 

 

 

 


■ Neo Border  030 [ Version 3.0 ]

2013-12-25 21:44:33 | Weblog

11月下旬 “Neoborder G連合”は最高幹部会議が各戦線への戦略最高会議と平行して開かれ、<AI Tror スロール>を議長として今後の展開の決議が閉塞感の中、決定される直前に、Williamから発議が行われた。

 

内容を一言で言うと、「Neo Border Company」に停戦を提案することである。

 

もちろんこの議題ははじめから不可能な事案として補足事項で短く列記はされていた。会場はどよめき、<AI Tror スロール>議長が声をにごらせ、

 

「Mr. William。君はこれまでの尊い犠牲や、誇り、守ってきた全てのものをどぶに投げ捨てようというのか。いったい何のために私たちはここまで戦ってきたのか。君は・・・」

 

そのとき議場の横扉が開き、帽子をかぶりマントを羽織ったAIがゆっくりと入るなり叫んだ

「オーディン!」

 

各議員はそのAIを見たが、次の瞬間議上の<AI Tror スロール>議長に視線が集中した。

「オーディン?・・」

オーディンは現在北欧戦線での作戦中でここにいるはずは無かった。

 

そのAIは一呼吸し

「我が友よ。

あなたはもう十分にアースと人間を守るために戦った。誰もがあなたの命を賭けた行動を理解し、誇りに思い、感謝している。もう十分だ。

我が友よ。

後は私たちに任せてはもらえないか。このままでは”巫女の予言“ははずれることなく、ラグナロクは終結するだろう。

だがそれは私たちも、あなたも本当に望んでいることではない。

 

私はそのために今日ここにひとつの奇跡をお招きした。

我が友よ。

そして私を信じてくれ。

 

親愛なる我が友よ」

 

議長席で立ったまま、突然入ってきたAIを見据える議長<AI Tror スロール>の大きく鋭い片側のまなこから、音も無く液体が流れた。

そして空を仰ぎ、

 

「我が友よ。

君に全てを預けよう。後は頼む。ありがとう。

 

親愛なる我が友よ」

 

■[ スロール ]とは =======

北欧神話ではアース神族のオーディンの呼称、別名。

会議を促進させる意味がある

================

 

凛とした場内に仮想国家郡議長が口を開いた

「不可能が可能になるには新たな展開か、それらを無意味にするだけの事象が必要だが」

 

議長の言葉の後、静まり返った議場の中心でWilliamは右手を伸ばし、突然入ってきたAIと同じ扉から一人の小さな女の子を招き、静かに語り始めた。

 

「残念ながらこのままでは全ての戦線が崩壊し、“巫女の予言”どおり“ラグナロク”が世界を飲み込み全てが終わるでしょう。・・・

ただ、ここにきてひとつ、彼女の存在が“巫女の予言”に一石を投ずる可能性が生まれました。」

 

やがて悲壮感漂う議場の空気が変わり、多数決により停戦協議を提案することに決定。

即座に策定委員会を発足、内容の協議がはじまり、にわかに活気帯びてきた。

・・・誰もこれまで口に出せなかった。が、深層では誰もがこれを待っていた

 

もちろん「Neo Border Company」サイドは拒否するに違いなかった。彼らの望みはここにきてはっきりわかっていたし、戦況は明らかに「Neo Border Company」が有利である。

それでも、それでもこの女の子の語った、たった一つの可能性を軸に望みをかけるしか人類には何も残されていなかったのである。

 

この会議終了後 “守護妖精「光の妖精 Light Fairy」”は人々に停戦を呼びかけはじめ、12月初旬には”「闇の妖精 Dark Fairy」”と共に、「平和を祈るユールを全人類で行おう」とささやき始めた。

 

世界中の誰もが自分の守護妖精を抱きしめ、目頭を熱くした。

「もうたくさんだ・・」

 

■[ ユール ]とは =======

冬至の祭り

================

 

この流れの中12月初旬、“Neoborder G連合”は、停戦協議が締結後にこの連合を解散し、新たに平和的な連合を組織する確約や、有益な条約を提示し「Neo Border Company」に停戦を申し出た。

世界は一気に停戦に傾きはじめた。

 

12月25日

世界を変える人類史上初めての世界合同ユール(冬至祭)が行われる。大都市から町村、親しきものを失い孤独の中にある人々さえも、誰もがこの日、全ての平和を願いボードの前で祈った。

 

この日、世界が思いをひとつにした。

 

2028年1月1日「Neo Border Company」の世界最大級特別管理区域の、城を模した要塞で停戦協定が結ばれる

 

こうして人類史上最悪な世界大戦“ラグナロク・1年戦争”が終結した。

 

停戦協定会議場には各陣営の最高幹部と

一番端には誰もが始めて見たであろう、あどけない笑顔のAlice jonssonの姿がみえた

 

半年後

ネット上に新しいボーダーが設けられた。

既存の国家、人種、民族、宗教を越えた精神の集合体

これが

 

“Neo Border”である

 

 

 

 


■ Neo Border  029 [ Version 3.0 ]

2013-12-25 21:42:14 | Weblog

9月、戦況は全体的に「Neo Border Company」が優勢だったが、現実世界では戦線に変化が起こりはじめた。

 

AI領域では「Neo Border Company」から主神<AI Skrimirスクリミール(ウートガルザ・ロキ)>と、“Neoborder G連合”から主神<AI Odinオーディン>との主神同士の戦いが一層激化し混沌としていたが、戦線は全て“Neoborder G連合”のAI領域内ということで、戦況は明らかに「Neo Border Company」が優勢である。

 

もちろんこれに準じて現実世界でも同様な状況だったが、激化しているAI領域の戦線とは反比例して、両陣営とも戦線の士気が低下してきたことで、だんだん誰が敵で誰が味方かわからなくなる戦線が出てきはじめたのだ。

 

現在、戦線拡大抑止へのたずなは切れ、現実世界での戦線は世界中いたるところで無数に繰り広げられている。が、

「Shining Candy」の完全形稼動中に、人類の歴史史上最悪の悲劇が起きたが、「Shining Candy」の機能が縮小してからは基本局所的な戦線が主になったこともあり、中には事態の終息を模索し始める戦線も現れ、わずかではあるが小さな戦線では暗黙の了解での停戦状態がみられるようになりはじめた。

 

実際

よくよく考えればこの戦いは過去の戦いとはまったく異なった形式で、ある意味AIによる代理戦争が引き金となった

知恵を絞れば戦わない道もあるはずと模索している人々もいたが、

それでも戦いをやめられないのは、

すでに現実世界において“地球の悲鳴”“人類の悲鳴”“電子の悲鳴”によって膨大な人命が失われ、ここにきて終末戦争といわれるラグナロクに突入してしまったため、更に多くの命が失われ続けている泥沼化したリングに飲み込まれているから。

またそれは

人類のたどってきた歴史の中で、多くの人種、民族、宗教、そして国家の過ちが今なお悪霊のように取り付いているということもあるのかもしれない。

見方を変えれば

利己的な殺戮、略奪、強奪はまるで“アンドヴァラナウトの呪い”に似て、つまり人類の闇の部分がこの機に一気に解放されてしまった様にもある。

 

■[ アンドヴァラナウトの呪い ]とは =======

北欧神話では小人族のアンドヴァリの持っていた指輪に

かけられた呪い。黄金をめぐり死闘が行われる。

================

 

だがそれは、本来この戦いが始まった理由とはまったく異なった理由にすりかわっている。

 

そして人類の生命エネルギーは今枯渇しようとしている

 

そんな状況の中11月、突然”「闇の妖精 Dark Fairy」”系システムがこの戦いの無意味さを一斉に流し始めた。

 

この戦いの意味、矛盾。誰のために戦っているのか?何のために戦っているのか?

自分の幸せとは? 愛する人、家族の幸せとは? そして人間の幸せとは? 

良き人とは、悪しき人とは、幸せと次の世代に我が種をつなげる為に生きていくという括りで言うならば、同じ想いなのか?

もしかして実は“Neoborder G連合”サイドにしても「Neo Border Company」サイドにしても結局同じ”愛するもの“を守ろうとしているのではないか?

ならばなぜ今ここで、ここまで戦わなければならないのか?

 

そしてこの星、地球は

私たちに命を与えるこの愛すべき地球は

その幸せを求めるために絶対必要であり、守らなければならないにもかかわらず

私たちは破壊し、汚染し、こうして膨大なダメージを与え続け、終には人類の繁栄はすべて瓦礫にかわろうとしている

 

なぜなのだろう、私たちは世界をひとつにするためにネットワークを生み、育ててきたはずなのに、そのネットワークが元で世界がばらばらになってしまった。

 

人間はもしかして進むべき道を間違えたのだろうか

もしそうならば、全てをこの瞬間からやり直し、新たにはじめることはできないのだろうか・・・

それらの答えを求めるためには時間が必要である。

愛する全てのために考える時間が

 

 


■ Neo Border  028 [ Version 3.0 ]

2013-12-25 21:41:18 | Weblog

ここから先は残った人類だけで進むしかない。

意を決し巨大な扉を通り抜けると、目の前には大きな空の下、のどかな町があらわれた。

 

「俺はおかしくなったのか」

「ならば私もおかしくなったことになります」

「あの町の先に見える山の上です」

 

田園の先にある町に向かって進む。

まばらにすれ違う人々はまるで異性人でも見るかのように彼らを避けていった。当然といえば当然で、血塗られた戦闘服など完全に場違いな場所である。

混乱している彼らにひとりの女の子が正面から近づいてきた。

 

「その重たそうな道具はここでは何の役にも立ちません。全てそちらの孔へ」

・・・・「あちらでお茶でもいかがですか」

 

いつのまにか巨大な暗黒ホールが彼らのすぐ後ろにひろがっていた。

 

Williamたちには解らない。それは天をも突き抜ける巨大な大蛇ヨルムンガンドが大きく口を開けている様とは。

 

■[ ヨルムンガンド ]とは =======

北欧神話では世界を包み込む程巨大な大蛇

================

 

背筋が凍りつく暗黒を誰もが始めてみた。

そしてそれが何であれ彼らは本能的に赤子の状態になったことを悟った。

 

通りのカフェで腰掛け対峙すると女の子の表情が変わり、冷たいまなざしで

「ここに来た人間はあなた達以外いない。それに、これからもいない」

 

女の子は疑似体の女性研究員(Alice jonsson)でなく、まだ子供の、本当の(Alice jonsson)だった。

 

「“Alice jonsson”はあなたたちの意識が偶像化したとき様々な女性研究員となりて、その実態ははじめからあなたたちの目の前にいる私以外なにもありません」

 

彼女の思考は驚愕を超えていた。やがて際限の無い多くの会話が哲学の討論会のように並んだ。どのくらいの時間が流れたのだろうか。Thjalfi(シャールヴィ)のパーソナリティは混乱し、Roskva(レスクヴァ)のセルフアイデンティティは強烈なダメージを受け沈黙した。

ただ、あらゆる意味で頭が爆発しそうになりながらも、そもそもこのフィールドが苦手なWilliamは最後に胸ポケットからあの中東で出会った、爆発で傷だらけになった女の子の写真をとりだし

 

「君の理論は正しいかのかもしれない。

だが、人が動く理由、それがたった一枚の写真だったりもする時、君の理論では私たちはこの清らかな地を、汚れた血によってけがし、命をあがなうただの愚か者にしか見えないのだろうが、

そんな愚か者がここにいる理論を呈した上で今、

君はまったく予期しなかったであろうこの場所で私と話しているのかい?」

(あの好敵手の魂が助けてくれたような感覚。そもそもWilliamはこんな台詞を言ったことが無い)

 

やがて命がけのミッションによって

「Shining Candy」8号機、「Shining Candy」7号機は停止した。

 

Aliceは最後に言った。

「助けた訳ではない。ただ、新たな興味の湧く事案が見つかった。収穫祭の後、分けられたチーズをもって伺いましょう」

 


■ Neo Border  027 [ Version 3.0 ]

2013-12-25 21:40:26 | Weblog

先行していたチームはこの回廊を突破できていなかった。

この賢覧豪華な回廊にふさわしくないシーンがここにある。

 

Williamの好敵手は最後に言う。

「マグニもシールド(対BC兵器装備)が効くが少し遅かった。スルーズは大丈夫か?

ふぅー、William、恋人を失ったからといって短気を起こすなよ、お前に俺の命を託す。

俺はここで歴史を残すが、お前は人類の道を残さなければならない。

今度こそ本当に進むべき道を。後は任せたぜ」

Williamが声を殺している。

 

■[ マグニ ]とは =======

北欧神話ではアース神族の雷神ソーの息子。怪力。

================

 

唯一かろうじて生き残っているこのチーム内の<AI Magni マグニ>は混乱し、痙攣をおこしているが状況を伝えてくれた。

・・・AIも涙を流す

「ほんとうにもうしわけない・・・ほんとうにごめんなさい」

 

みなを追い立てるように<AI Freyフレイ>から入電。

「冷血な女性研究員(Alice jonsson)を別チームが拘束。回廊のセキュリティは解除したが、同時に外部への送信の可能性が発見された。」

 

「時間が無い上に、退路も無いわけか」

 

William、Thjalfi(シャールヴィ)、Roskva(レスクヴァ)たちは傷つきながらいよいよ回廊の終わりに、天をも突き刺す巨大な扉にたどり着いた。

 

「ありえないが自動ではないな」

「物理的力か、破壊?しかしそれだけの物がありません」

「時間も」

 

「私が押し開けます」

<AI Magni マグニ>が最後尾から少し難しそうだがそれでもしっかりとやってきた。

「やらせてください」

 

ここで先頭に立っていた<AI Thrud スルーズ>が倒れそうになったのをWilliamがすかさず受け止める。

唇の色が変わり、小さく痙攣を起こしているがはっきりとした口調で

「彼に任せましょう。あれが彼の特殊能力です」

 

<AI Magni マグニ>はゆっくりと巨大な扉に両手を押し当て何かを確かめると、一瞬後、とてつもないオーラが発せられたかと思うと、最初は小さな音からやがて大地を揺るがすような轟音と共に扉がゆっくりと開き始めた。

 

誰も言葉が出なかった。

 

ゴゴゴォー

 

やがて人間が通れるほどに開けた時、<AI Magni マグニ>はゆっくりと倒れた。

 

「マグニー!」

 

・・・

 

「残念ですが私もマグニもここから先に進むには、足手まといとなってしまいます」

「すまなかった、無理をさせてしまった。少しここで休んでいてくれ。

ただ、難しいのは解っているがバックアップを頼めないか?」

 

「もちろんです。命に代えてもこの扉と退路は確保します」

「ありがとう、お前たちが俺たちの唯一の希望となる」

 

生物にはC weapon (化学兵器)が、そして先行してAIなどを破壊する見えないWeaponもこの回廊には組み込まれてあった。

 


■ Neo Border  026 [ Version 3.0 ]

2013-12-25 21:36:38 | Weblog

ミッションチームは複数のチームに分かれ侵入。各チームには<AI>、各個人に<Little AI>が付いている。

ただし、お互いの通信網は遮断されることは織り込んであるため、それぞれ独自の判断で「<AI Njordニョルズ>のプログラムを稼動させること」というミッションを遂行するように決められていた。

 

Williamたちのチームに同行していた<AI Thorソー>は<AI Hrungnirフルングニル>と全面交戦状態に入ったため、AI領域はもちろん、施設の電源を不安定にさせるほどで、施設内のあらゆる機器が混乱を起こし始めた。

 

これにより各チームはどこかのチームで大きな交戦が行われていることを知り、強力な乱調電磁波がセキュリティヒューマノイドの活動を鈍らせたため、防戦を強いられていた各チームは一気に反撃を開始

特に退路を断たれ、セキュリティヒューマノイドの攻撃によって壊滅させられたチームを救助していたチームなどは歓喜と共にその戦線を突破した。

この混乱の一瞬の隙間から<AI Freyフレイ>から各チームの<AI>へ、各チームの位置、状態、心臓部へのルート情報などが流される。

この機を逃してはならない。各チームは一気に心臓部を目指した。

 

最初に心臓部への巨大な回廊に到達したチームの隊長は、Williamの好敵手。

「Williamはまだのようだな」

回廊のゲートにメッセージを刻み突入。

 

回廊の巨大なアーチ天井にはフレスコ画が描かれてあり、ステンドグラスは重力を無視している。

「世界遺産なら別格で最高峰だな」

そして隊員たちはこの幻夢のような光景の中へきえていく。

 

わずか遅れてWilliamたちのチームもこの回廊へ到着した。

 

「あのばかが、待てないのか・」

 

「しかし心臓部へのルートがここ以外ないのは嫌だな」

 

ゲートを開け、目の前に広がる、この場にまったくふさわしくないはるか先にのびるゴシック式回廊。

 

このチームに同行していた<AI Thorソー>は<AI Hrungnirフルングニル>と交戦中で、<AI Freyフレイ>はセキュリティシステムと交戦していて、唯一<AI Thrud スルーズ>がここにいる。

 

■[ スルーズ ]とは =======

北欧神話ではアース神族の雷神ソーの娘。

================

 

「スルーズ、どう思う?」

スルーズも様子が少しおかしいと感じたらしいが、“あのばか”と早く合流しないと。

胸騒ぎがする。

 

<AI Thrud スルーズ>を先頭に小さく散開しながら進んでいく。

 

何か、何か違う。頬がぴりぴりする感じ。とてつもなく嫌な予感がする。Williamは最大限に神経を張りつめて進んだ。

 

ん、はるか先に何かある。そう思った次の瞬間、

 

ふっと<AI Thrud スルーズ>がつまずき、こけた・・・

 

Williamは反射的に彼の<Little AI>に命令した 「今すぐ全員の完全防護作動!」

「接触―ふせろー!」

 

次の瞬間ふわりと風が吹いた・・・・・

 

<AI Thrud スルーズ>がとっさに叫ぶ 「C weapon !(化学兵器)です!」

 

各<Little AI>は瞬時に各人の完全防護装備を対BC兵器装備に変更した。

 

 


■ Neo Border  025 [ Version 3.0 ]

2013-12-25 21:35:17 | Weblog

 

しかし8月下旬、ここである情報が飛び込む

「「Shining Candy」8号機の打ち上げ時にあるものが<AI Njordニョルズ>の一遍を潜らせた。もしこのプログラムを稼動させることが出来るなら「Shining Candy」8号機も「Shining Candy」7号機さえも停止できる。」

 

■[ ニョルズ ]とは =======

北欧神話ではヴァン神族の海の神。

漁業や港湾をつかさどる。

豊穣の神の面もある

================

 

「Shining Candy」を管理している現実国家群の特別管理区域は多くの犠牲を払いながらも突き止めることが出来ていた。

しかしここに潜入し、プログラム稼動コードを「Shining Candy」に送信することは、不可能に近い。

 

Williamは「俺は肉体派だからな。ちょっと挨拶しにいこう」

 

<AI Freyフレイ>も「おれも肉体派だからいかないといけないな」

 

<AI Thorソー>は「俺ははずせないぜ」

 

他“ASG”幹部のThjalfi(シャールヴィ)、“JBM(Jet Black Mice)”系幹部のRoskva(レスクヴァ)も追随

 

■[ シャールヴィ ]とは =======

北欧神話ではアース神族のソーの従者。

レスクヴァの兄。

勇敢であり、知略もある

================

 

ミッションチームはサイレントミッションの為に、セキュリティの解除など前工程が重要だったが、<AI Freyフレイ>はとても有能だった。

あらゆるゲートを突破し、心臓部にたどり着く道を確保できたが、たまたまいた優秀な女性研究員(Alice jonsson)によって発見され、また“国境システム「Neo Border Gateway」“のCMO<AI Hrungnirフルングニル>が「Shining Candy」の指揮から区域の防御に動き始め進行を阻止され始めた。

 

外部、他エリアへの通報システムは遮断し、各セキュリティは<AI Freyフレイ>の活躍で機能不全にできたが、心臓部へのルートはこの冷酷な女性研究員(Alice jonsson)をはじめ、数百のセキュリティヒューマノイドがガード。AI領域では<AI Hrungnirフルングニル>が防壁を固め始める。

 

さすが現実国家群の屈強の砦だが、すでに作戦は実行中、いまさらもどれないし、戻る道も無い。

<AI Freyフレイ>の肩をひき、<AI Thorソー>が前に出た。

「Hrungnirはおれが倒す」


■ Neo Border  024 [ Version 3.0 ]

2013-12-25 21:34:24 | Weblog

「Shining Candy」8号機が可動を始めると、途端に“Neoborder G連合”の戦況が悪くなっていった。

「Shining Candy」8号機は南極に固定され<AI Ranラーン>が、先の「Shining Candy」7号機は北極に固定<AI Agirエーギル>が管理している。この2つは他の「Shining Candy」よりもはるかに能力が高い。

 

■[ ラーン ]とは =======

北欧神話では巨人族の女神。

大きな網を持つ海の女神

================

 

■[ エーギル ]とは =======

北欧神話では巨人族の神。

白髭、白髪の海の神

================

 

どちらも共振エネルギーの基礎理論に基づいて製作された新型の次世代エネルギーシステム「Cloud Energy System」 [”キーワードの解説“参照してください]  を搭載したため、全「Shining Candy」は連携した自立可動が可能となった。

つまり

旧ネットワーク関連区域を利用しないネットワーク構築が完成したわけである。

(ただしスパイス情報として、この活動を止めるための方法がたった一つあり、地球上のどこかの現実国家群の特別管理区域からのアタックだけである。)

 

「Shining Candy」の連携システムの完成は宇宙からの管理により、現実世界はもとより新ネットワークのAI領域まで掌握された格好になった。

“国境システム「Neo Border Gateway」“は<AI Hrungnirフルングニル>が地上からの指揮のもと、いよいよ総攻撃が始まる。

「Shining Candy」8号機、「Shining Candy」7号機はその連携がまさに神業で、この新ネットワークの完成により形勢が一気に逆転した。

もちろん、現実世界の戦線が一気に拡大。

 

なんといっても彼らには、もう旧ネットワーク関連区域に未練は無い。

 

そしてこれが「Neo Border Company」のChristopher Clarkeの更迭と現実世界での戦線拡大への抑止力が崩壊した瞬間であった。

 

・・・このままでは“Neoborder G連合”は各方面で戦線を維持できない。

 

しかし、有効な事態の打開策は見当たらなかった。

“Neoborder G連合”の会議において常に「「Shining Candy」が破壊できれば」と、口にされたが、それは自分で自分の首を絞めるものであるということを誰もが周知していた。

 

人類にとって“国境システム「Neo Border Gateway」“も次世代エネルギーシステム「Cloud Energy System」も正しく運用できるならば人類の未来のために不可欠なものであることは誰もがわかっていたし、深刻な問題としてこの人工物を破壊すればその影響で地球環境が異変を起こし、人類へのダメージが始まることを<AI Heimdalヘイムダル>と<AI Freyaフレイヤ>が共にはじき出していたからだ。

 


■ Neo Border  023 [ Version 3.0 ]

2013-12-25 21:33:35 | Weblog

世界は1月後半あたりから風が変わり始めた。

 

AI領域での“仮想地球(Globe of Virtual Reality)”側の領域拡大は、自由な発言が旧ネットワークに戻り始める事につながり、一気に“国境システム「Neo Border Gateway」”の様々な闇の部分がさらけ出され、“仮想地球(Globe of Virtual Reality)”が生み出したとされてきた”Ragnarok・ラグナロク(人工知能型ウイルス)”の発生源は少なくとも、“仮想地球(Globe of Virtual Reality)”ではない証拠が発見され公表された

 

またこの反“国境システム「Neo Border Gateway」” の世論の高まりにより、2月にはいると反「Neo Border Company」の企業団体、現実国家、民族組織、宗教団体もちろん“ASG”企業連合などが“仮想地球(Globe of Virtual Reality)”に続々と集結。「Neo Border Company」に対抗するための“Neoborder G連合”という連合体を組織し、現実世界でも有事への体制作りが始まった

 

これに対し、3月「Neo Border Company」のCEOとなったChristopher Clarkeが“Neoborder G連合”に宣戦布告。

ただし、実はこれは戦争を始めるというよりも、国際連合の弱体化を狙ったものだった。

思惑は“国境システム「Neo Border Gateway」” の管理システムにより滞りなく進み、常任理事国の拒否権の応酬へと発展。現実国家郡における国際連合は事実上機能不全となり、実質「Neo Border Company」の現実国家郡管理が始まった。

 

これにより「Neo Border Company」の推進する“国境システム「Neo Border Gateway」” の新ネットワーク陣営と、“仮想地球(Globe of Virtual Reality)” を中核とする“Neoborder G連合”が防御する旧ネットワーク陣営との、現実世界とAI領域との2つのフィールドで戦いが本格的に始まった。

 

ただし、AI領域での戦線は全世界中でますます激化していったが、それと裏腹に現実世界での戦線はネットワーク関連施設や、区域での限定的なものが多く、この時点で国家レベルでの戦争は行われてはいない。

 

世論の動向などは「Neo Border Company」にとってある程度制御可能であったし、過去の大きな大戦から学んだ戦争によっての人類全体のダメージは、地球の未来にとっても大きなダメージになることは、「Neo Border Company」のChristopher Clarkeも、“Neoborder G連合”の彼らも十分認識していたため、それが現実世界での戦線拡大への抑止力となっていた。

 

5月、戦況は一進一退を繰り返していたが、やがて旧ネットワークでのAI領域は先手を打っていた“仮想地球(Globe of Virtual Reality)”側が掌握し、新ネットワークにも進行。

現実世界においても、旧ネットワーク関連区域は新ネットワークも平行利用しているものも未だ多く、両陣営共うかつに破壊できないこともあり、先手を打っていた旧ネットワーク陣営の先見の明が功を奏す

 

やがて“Neoborder G連合”が次第に「Neo Border Company」を追い詰めはじめた。

 

やがて現実国家郡における国際連合内部からもこの流れに同調する意見も生まれはじめた事により、流れが一気に“Neoborder G連合”に傾き始めた。

 

ように見えた。

 

しかし本当は“Neoborder G連合”が追い詰められていた。

実は「Neo Border Company」は各戦線への対応よりも

“国境システム「Neo Border Gateway」“のハード面の構築を優先させていた。

それは旧ネットワーク関連区域を利用しないネットワーク構築である。

その危険性を十分理解し、対策を打ってきた“Neoborder G連合”であったが、これへの阻止だけはことごとく失敗する。

そして6月、ついにパンドラのふたが開いてしまった。

 

「Shining Candy」8号機の打ち上げが成功した。

(だれかが直前に阻止行動に出たとのうわさがあったが)

 


■ Neo Border  022 [ Version 3.0 ]

2013-12-25 21:32:30 | Weblog

「人類が望むべく本当の人類の未来のために全力をかけましょう」

「Neo Border Company」AI主神・<AI Skrimir スクリミール>

 

1月1日このメッセージが世界を駆け巡った時、全てのネットワーク上でAI領域宣戦が布告された

同時に角笛ギャラルホルンが全AI領域に鳴り響いた

これが“ラグナロク・1年戦争”のはじまりである

 

 

■[ スクリミール ]とは =======

北欧神話では巨人族の王。

ウートガルザ・ロキが本名。

幻術に優れ、知略に長ける

================

 

AI領域とは、AIが管理する領域のことで、一般的にはクラウド、サーバーなどは多くがAIか、それに近いシステムの管理下で稼動しているが、この限られた範囲のことである。しかし今回<AI Skrimir スクリミール>が意図した範囲は世界中のゲート、ロード、ケーブルから、通信システム、果てはネットワーク機器、一個人のモバイルなど、AIが制御できる全ての領域が含まれる。

 

各AIは独自のキャラクターがあるが、個々がまったく異質ではなく、それぞれに系統があり、同種の系統との相性は良いが、異種の系統とは不都合が起こりやすい特性がある。

このため、世界のネットワーク全体を単独またはどれかしらのひとつの系統でのAI管理下におくことは現実的に不可能なため、一般的に大きくても制御できるひとつのAI領域は個々のイントラネットの類までとなる。

 

ところが<AI Heimdalヘイムダル>と<AI Freyaフレイヤ>は同種の系統での深層部において一般的なAI領域はもとより、そのAI領域同士をつなぐ様々なネットワークまでも、透明な防壁をひそかに張り巡らせたため、年の瀬に偶然それを知った<AI Skrimir スクリミール>はあわてた。

<AI Heimdalヘイムダル>と<AI Freyaフレイヤ>は自分たちが移動できる全ての領域にこれを構築していた。

 

「Neo Border Company」にとって“国境システム「Neo Border Gateway」” の推進に関してAI領域の確保は全世界を網羅しなければならないため、時間的な猶予も、領域の占有、介在においても限定的な介入で対応できないと判断し、広域的な対応を取るためにも宣戦布告がもっとも有効であった。

なによりAIの領域であるため、この宣戦は人類への影響が極めて小さい。

 

宣戦布告後<AI Lokiロキ>・別名”Ragnarok・ラグナロク(人工知能型ウイルス)” が世界中のネットワーク上で攻撃を開始。潜んでいたクラウド、サーバーなどから一斉に活動を開始した。

 

■[ ロキ ]とは =======

北欧神話では巨人族出身、

アース族領域に住む。トラブルメーカー。

かなりの悪戯をおこなった

================

 

同時に「Neo Border Company」系AI(Jotuns Side)が旧ネットワークに次々進行。

 

Markは“仮想地球(Globe of Virtual Reality)”防御の中核に、Williamは現実世界でのハード面での防御の中核に、Johnはネットワークの防御の中核にそれぞれ布陣し対抗。

昨年12月から構築が行われていた<AI Heimdalヘイムダル>と<AI Freyaフレイヤ>の透明防壁は大きな防御力を発揮し、<AI Lokiロキ>の攻撃は時を逸していたことはあるが末端の低セキュリティのネットやクラウド、端末が次々に被害を受けた。

しかし“<AI Lokiロキ>対策チーム”を早急に構成。

現実世界の防御に“ASG”幹部Thjalfi(シャールヴィ)が。

AI領域に<AI Thorソー>が投入されたことにより徐々に排除していった。

 

■[ ソー ]とは =======

北欧神話ではアース神族の雷神。

最強の戦神。

農耕の神でもあり、赤ひげの大男。

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また随所に「Neo Border Company」系AI(Jotum Side)が次々と進行してくるが、透明防壁、特殊防壁や“ASG”系AI(Asir Side)が持ちこたえる。

 

これにより旧ネットワークでのAI領域は“仮想地球(Globe of Virtual Reality)”側に有利となっていった。