NPO法人新潟ワイルドライフリサーチ (Wiron)

新潟で生じている野生鳥獣の問題を解決し、野生動物と人間が共存できる社会を目指して活動します。

大厳寺高原ブナ開花(結実)調査 完了報告(速報版)

2015-07-05 17:46:32 | イベント・研修報告
大厳寺高原ブナ開花(結実)調査参加の皆様
 
お疲れ様でした。心配されていた天気もむしろ晴れ渡り、楽しいイベントとなったのではないでしょうか。
イベント詳細は後日紹介するかもしれませんが、まずは完了報告と参加御礼まで。
 
写真中央は本番で試食したブナクッキーの写真です。以前の記事の試作版との違いを比べてください。
 

 

 

平成25年10月9日(水)に開催された講演会の紹介

2014-08-08 11:35:24 | イベント・研修報告

平成25年10月9日(水)に開催されたサル害対策先進地事例研修会での講演会が、新潟県のHPにて紹介されました。

新ふくしま農業協同組合の今野文治さんをお招きして、サル害対策の先進地である福島市の事例について御講演頂きました。

日 時
平成25年10月9日(水)18:00~20:00
場 所
南魚沼市浦佐5175番地1 コミュニティホールさわらび
演 題
サル害対策の歩みと将来展望  ~福島市を事例として~
講 師
新ふくしま農業協同組合 営農部 農業振興対策室
危機管理センター長 今野文治氏

この研修会は、「平成25年度サル・クマ等と共存できる地域づくりモデル事業」の一つとして行われました。

「サル・クマ等と共存できる地域づくりモデル事業」は、住民の皆様に、集落が協力してサル・クマ等の被害対策に取り組むことの重要性を理解して頂き、地域全体に広めることを目的として、南魚沼市及び南魚沼地域振興局より委託を受け、平成24年度から新潟ワイルドライフリサーチが実施しています。

詳しい内容は、新潟県HPよりご覧ください。

http://www.pref.niigata.lg.jp/minamiuonuma_kenkou/1356776193701.html

※URLをクリックすると、ページが開きます。


第2回通常総会と記念講演会のご報告

2014-05-19 13:48:16 | イベント・研修報告

5月18日(日)長岡市にあるまちなかキャンパスにて任意団体新潟ワイルドライフリサーチの解散総会とNPO法人新潟ワイルドライフリサーチの第2回通常総会、記念講演会が行われました。
 3年間の活動を経て任意団体新潟ワイルドライフリサーチは、NPO法人新潟ワイルドライフリサーチとして生まれ変わります。その重みが双肩にと思うと気が引き締まる思いです。一方で、総会では参加してくれた会員の皆様からワイロンを子供のように思って見守ってくださり、ここまで来て感慨深いというご意見をたくさんいただいたり、これからの仕組みづくりが大切という前向きなコメントをいただいたり、とても有意義な総会でした。



 記念講演では、「カメラトラップを用いた野生動物調査~保護管理への適用と課題~」について早稲田大学人間科学学術院 助手 東出 大志さんよりご講演いただきました。カメラが安価になり普及したことで、この手法の普及が哺乳類の個体数推定に大きなアドバンテージを産んだことはまちがいありません。しかし、確立して間もない技術だけに今後の方法をもっとブラッシュアップすることができる点などについてもご紹介いただきました。ワイロンでも今後カメラを使った個体数推定は施一曲的に実施していく予定なので、とてもためになる講演でした。



 夜の懇親会も大変盛況でした。さて、これから1年、事業計画を業務不履行にしないようみんなで頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。最後はワイロンのヤングレディーたちによるボーナスショット!




ブナ開花(結実) in 大厳寺高原 調査報告

2013-07-21 19:11:40 | イベント・研修報告

このHPでもお知らせしていた通り、去る7月13日(土)に十日町市の大厳寺高原にてブナの開花(結実)調査を実施しました。

当日はあいにくの雨にも関わらず、19名の方々が参加してくださいました。


まず、長野がブナの開花(結実)の豊凶について、そしてクマの出没との関係について説明した後、調査の方法を皆で確認して早速調査を開始しました。参加者を6つのグループに分け、それぞれトレイルの左右について重複を避けながらブナの開花(結実)状況を双眼鏡で目視しながら判断していきます。評価基準は、森林総合研究所の基準に準拠し
非結実:まったく実がない
一部  :ごくわずかな実がつく
部分  :樹冠上部に多くの実がつく
全体  :樹冠全体にたくさんの実がつく
としました。

1グループ2名から3名の方々が同じ個体を観察し、どの基準とするかを判断します。もし、判断に違いがあった場合は、互いに確認しあい、再度判断するという方法を取りました。例えば、私が非結実だと判断しても、実は一部に実がついていることがあり、実際は“一部”であったこともありました。このようにたくさんの目で見ることで判断の精度が上がります。

参加いただいた皆さんの日ごろの行いが良かったのか、調査開始後すぐに雨も上がりました。ただし、湿度100%といった感じの蒸し暑さで、汗だくの中皆さん頑張ってくださいました。


昨年は大凶作といえるほど開花(結実)していなかったのですが、今年はそこそこ実を確認することができました。


詳細はこれからまとめますが、調査した203本のブナのうち、開花(結実)していた個体は116本で、開花個体の割合は57%でした。ちなみに、昨年は0%、一昨年は89%という結果でした。

ブナの開花率と秋以降のクマの目撃・痕跡数の間には高い相関関係のあることが分かっています。ただし、昨年は大凶作でしたが、私たちが想像していたほどのクマの出没はありませんでした。

ブナの開花(結実)調査は地味な活動ではありますが、春のブナの開花率から秋以降のクマの出没を予測できる可能性が大いにあります。ただし、精度を高めるためには今少し継続して、広範囲でデータを取り続ける必要があります。

多くの会員の方にもこの調査法を体験していただき、身近なブナ林で楽しみながら調査をしていただくことで、人とクマとの共存に一歩でも近づけると思います。大厳寺高原での調査は、多くの方々に楽しみながら調査手法を理解していただく目的で実施しています。もちろん来年も実施しますので、皆さん是非ご参加ください。来年こそは、勉強会+調査+温泉+一杯というスケジュールを実現したいと思っています。

最後に、調査終了後の集合写真。
皆さんの、やりきった感いっぱいの笑顔が印象的でした。


(文責 長野康之、写真提供 樋口正仁氏)

7月14日南魚沼第1回研修会報告

2013-07-19 14:31:20 | イベント・研修報告


7月14日に南魚沼市コミュニティーホールさわらびにて
「平成25年度サル・クマ等と共存できる地域づくりモデル事業」
サルの行動データを活かした被害対策講演会
サルが来る集落、来ない集落の違いを探る現地研修

が開催されました。



これは当日の受付の様子。
最終的な参加者はなんと121名!
過去のワイロンの研修会の最大参加人数を更新いたしました。
受付は半分に分け、お弁当、懇親会の方のお金の方の受付は南魚沼地域振興局と南魚沼市の
職員の方が担当してくださいました。

ベテラン揃いの受付は滞りなく終わり、無事10時開催で時間通りスタートすることができました!

始めに山本の方から【サルの被害対策について】と題して、お話しさせていただきました。

サルの生態、サル対策をするために必要な3本柱、それに総合的に取り組むために
集落で合意形成を持って取り組む手法である集落環境診断のやり方、
実際にそれを実践して効果を上げている船ケ沢新田の昨年の実施状況について
ご報告させていただきました。




その後、ワイロン理事の望月から、【サルの行動データを活かした被害対策について】
ということで、サルのテレメトリー調査による行動データ、そして被害地点のデータ
これを使ってサルの被害対策をどうやって行っていくのか、その活かし方の具体例について、
新発田や南魚沼のテレメトリーや被害地点のデータを基に紹介してもらいました。
船ケ沢新田におけるサルの行動圏のデータを見ると里山のすそ野にベターっと広がっているのですが、
船ケ沢新田の部分だけ、サルの行動域が途切れてへこんだ穴のようになっている図が示され、
広域的な大規模緩衝帯整備によってサルの行動が大きく変わったことがGISのデータからも示されていました。
また、県内で先進的な取り組みを行ってきた新発田市のデータを基にサルによる被害のハザードマップなども提案され、予算、労働力ともに限られた条件下で効率的な被害防除対策を行う上でGISのデータ分析が力を発揮することを大変わかりやすくお話しいただきました。



その後お昼休みを挟みまして、
船ケ沢新田集落と穴地集落に現地研修に伺いました。
船ケ沢新田はH22念に大規模な緩衝帯整備事業を実施し、
杉林の強度間伐や広域の下草刈り、林縁にあった胡桃や柿などの果樹の皆伐を実施しています。
また、山際にある共同圃場には電気柵が設置され、被害防除対策もばっちりです。
そこで、H23,24年はサルの被害が激減し、クマの出没もゼロになりました。

ところが、森林を伐採し、光が入ると今度は背の高い萱が茂り、
杉林も下草刈りを実施後2年が経つと再び見通しの悪い森がよみがえりつつあります。
今後の課題として萱場はヤギを放牧することで草管理を実施する予定ですが、
里山林の管理については、継続的な予算がないため、管理が困難であり大きな問題点となっています。

一方、穴地集落は現在サルが出没し、被害があるエリアです。
やはり林縁に胡桃の樹が自生し、杉林と広葉樹が混交林化し、
裏の里山は見通しが悪く昼なお暗い感じがします。
今後、緩衝帯の整備を行うことが必要なエリアです。
ただ、3年前に杉林の整備が行われたところはやはりサルが通らないという話でした。
森の管理がとても大切だということを改めて認識させられました。



その後、さわらびのホールに戻り
パネルディスカッション サルに強い集落環境とは?と題して
パネルディスカッションを行いました。

現地を見ての感想を私と望月の方から
船ケ沢新田のすばらしいところ、そして問題点、
今後どのように取り組むべきかについて意見を述べさせていただきました。
その後、船ケ沢新田自然融和会の代表である高橋さんから
これまでの取り組みや何を目的にやっているのかなど
熱い思いを語っていただきました。
南魚沼市の梅沢さんからは農林課の取り組みや
南魚沼市の他の地区のサル対策の例をご紹介いただきました。
とても素晴らしいと思ったのは、私がいつも使っている資料で、梅沢さんがサル対策について
現地を回って勉強会を開催してくださってたことです。
市町村の担当者の方がこのような気持ちで臨んでくれているからこそ、
南魚沼市は各地に良い例が生まれているのだと感じました。
会場からは、阿賀野市でサル追いをしている専門家の方から捕獲に関する技術的な質問や
これから被害対策を行いたいという集落の方、また、サルを追っている集落の団体の方からの
日頃の苦労話など様々な意見がでて、あっという間の1時間半でした。



その後夜は、近くにある越後ワイナリー脇の葡萄の花というイタリアンレストランで交流会です。
実に26名の方が参加され、夜も大いに盛り上がりました。

今年の南魚沼の目標は船ケ沢新田の取り組みを市全体に広げることです。
そうして南魚沼市全体がサルの被害に強い市となり新潟のモデルになってほしいと思いました。

皆様、丸1日の大変充実した研修会、お疲れ様でした。

(文責 山本麻希)