風塵社的業務日誌

日本で下から258番目に大きな出版社の日常業務案内(風塵社非公認ブログ)

出張前半報告 5/15~18

2006年05月24日 | 出版
15日@名古屋(初日)

今日から長い出張がスタートする。
名古屋駅到着に時間的な余裕があったので、
先に伺う書店の位置を確認して、喫茶店で開店を待つ。
スタートが肝心だという腹巻オヤジの教えを思い出し、
とびきり快活な営業マンになりきるのだ。実は出張前オヤジに、
一日の最初の書店で使う営業トークをその日ずっと使い続けて
いるものだから、初めがなんといっても重要なのだと教えてもらった。
たしかに思い起こしてみると、最初に決めたトークを一日
使いまわしている気がする。その上、スタート時点でトークが乗らないと、
一日ドヨンと暗い感じで過ごしてしまいがちなのだ。
8日間ある出張で、初日にコケたらあとが続かなくなってしまう。
考えただけで背筋がゾッとする。
だから、とにかくはじめが肝心!
開店とともに、突然笑顔の営業マンがやってきても、担当さんは快く話を
聞いてくださった。とりあえず最初のズッコケは免れる。
あとはこの調子で飛ばしたい。

この街は土地柄のせいか、トヨタ関連の書籍が目立つよう店内で
ディスプレイされている。
聞いてはいたけれどもすぐ順応できないのは、エスカレーターでの歩行者が
左側を通っていくこと。ボーっとしていたら、歩く側の左に立っていて、
私の後ろに立っていたおじさんの鼻息が突然荒く聞こえてきた。
郷に入らば郷に従え、と強く感じ入る。

昼頃にオヤジから、『名古屋はきしめんと味噌煮込みうどんが、
どえりゃあうまいでよ』というメールが来たのだが、目標の数字に近づくまで、
そんな美味しそうなものは食べられないゼ、とマタンゴの我慢大会が始まる。
道がわからなくなり、優しそうな通りがかりの奥様に声を掛けると、
腕を引いて目的地まで連れていってくださった。
「就活で来てるの?」と聞かれ、社会人として働いている気でいたから
ショックを受ける。はた目からはまだ学生に見えるのかな。
奥様と別れ、またひとり、道を行く。

オヤジが大変お世話になっている書店さんが名古屋にあり、
そこの社長さんには挨拶にうかがえと言われていた。
名駅地下街にある支店で、社長さんの移転先を教えてもらって向かう。
着いた先の社長さんは、これぞ生粋の書店員さん!という感じの出で立ちで、
ちょっと近寄りがたいオーラを放っていた。
挨拶すると、「腹巻オヤジのところに女性社員が入ることになるとはね」
と静かにおっしゃった。
この真意をはかりかねたので、本郷へ戻ったらオヤジに聞こう。

今日は一日何度も道に迷い、書店を探すのに時間を掛けてしまった。
目標営業数字には程遠く、少しも休憩をする気になれず歩き続けた。
名古屋では運が悪く、担当さんがお休みの書店が多かった。
幸先悪いスタートを切ってしまい、新大阪へと向かう新幹線の中で
ひどく落ち込む。
ホテルに着くと21時を過ぎていて、あとは寝るだけという気分だったのだが、
気を取り直してコンビニで買った
缶ビールとつまみで、ひとり反省会を開く。
明日は京都。なんとかしなければ。



16日@京都(2日目)

今日は京都。昨日の悪夢をふっと思い出し、朝から胃がキリキリ痛む。
こんなマイナス思考では先が思いやられる。
一人でいると自分のネガティブな部分と否が応でも向き合わなければ
ならないから辛い。逃げ場がない。
重たい腰を上げホテルを出る。
京都で下車しようとしたら、「ケータイ!ケータイ!」と後ろから声がする。
振り向くと、奥様が座席を指差している。
うっかり携帯電話を忘れていたのだ。奥様にお礼をいって、慌てて下車する。
もしも気付かずに下りていたら、どこでなくしたか見当もつかなかっただろう。
奥様に感謝です。朝からボケッとしていて、ダメなマタンゴ。

道路の反対側から京都駅を眺めていると、いつまでも飽きない。
何をイメージしてこういう形になったんだろうと、想像しはじめたら
止まらなくなってしまう。
昼頃オヤジからメールがくる。四条通りを鴨川方面に歩くと歌舞伎の南座が
あって、その隣の松葉本店は『にしんそば』が超有名らしい。
美味しそうだな。想像しただけで、少し元気が出る。
こういうオヤジの激励の仕方に感謝する。
観光名所近くを歩くが、道に迷いながらの営業で時間的な
余裕がまったくなく、ひたすら書店探しで夕方を迎える。

あきやまみみこさんと上海マリーさんの出身地である長岡京の書店へ行く。
オヤジから事前に、粗相のないようにと念を押されていたので、パンパンっと
顔を叩いて気を引き締めてから入店。
担当さんは既に帰宅されていたのだが、店長さんが話を聞いてくださった。
ここは、入り口のドアも含め、全体が木で作られていて温かみのあるお店だ。
ドア横に兵隊さんの人形が立っている。
昨日に比べると少し数字が上がったが、オヤジもわたしも満足できない。
何が何でも大阪で挽回せねば。オヤジがお仕置きを考え始めた。
この調子で本郷に戻ることになったら、ひどい目に遭いそうだ。
梅田のホテルに戻り、ひとりビールを飲む。



17日@大阪(3日目)

今日は大阪の近場をまわるので、9時頃まで睡眠。
いつもなら出社している時間だ。
大阪で二泊し、この街に順応しはじめたマタンゴ。
書店さんがハキハキしていて活気ある店内をまわると楽しい気分になった。
この町は、元気よく人と接することの大切さを思い出させてくれた。

大阪では、JR西日本がブルーを基調としたシンボルマークを使っている。
関東の感覚ではJRのマークがグリーンなので、ブルーをJRと認識できず
梅田の地下街から目の前にある大阪駅にたどり着けない。

本日はハリーポッターの新刊発売日だ。
そのため本来は定休日のところを特別に営業している書店があった。
思いがけないところで、ハリーポッターの魔法にかかって助けられる。
どこの書店も店頭にハリーポッター新刊を山積みにし、メガホンを持って
大声で販売していた。
この日はどの書店へ行っても緑色したソレの山がそそりたっている。

運がよいのか昨日までが悪すぎたのか、今日はうかがった書店のほとんどで
担当さんに会うことができた。
おかげで自然と営業数字も上がり、なんとか二日分を挽回する
ところまで持っていくことができた。
でもまだ5日ある。どう転ぶかわからない。
そこが出張の怖さだと思う。
ヒヤヒヤしながら、今夜もひとりビールを飲む。


18日@大阪(前半終了)

大阪営業二日目。昨日は梅田、今日は難波、天王寺方面を回る予定。
昨日の成績がよかったからか、お目覚めスッキリ。ゴクゴク牛乳飲んで出発だ。
三日分の注文書を腹巻オヤジ宛に速達で送る。
無事に届いておくれ。明日にはオヤジの手元に!
出荷よろしくお願いいたします。

大阪営業に地下鉄の一日乗車券は便利だ。大阪は850円。ちなみに京都は600円。
地下鉄のほかにニュートラム・バスというのも乗り放題らしい。
京都のフリーパスよりは少し高いが、あちこち乗り回すのでやっぱりお得。

昼頃に、吉本のテーマパーク近くで、アツアツのたこ焼きを18個頬張ってから
書店へ向かう。体が温まって腹の底から元気が出る。
これまで働かざる者食うべからずの精神でやってきて、昼飯は目標の数字に
近づいていないとお預けと決めていたのだが、そんな我慢大会を一人で
やるより、旨いものをたらふく食べて、ほくほく顔で営業したほうが
いいことに気付く。変な我慢は体と気分に悪影響を及ぼすだけかもしれない。

天王寺からJR環状線に乗って京橋に向かう。
東京の京橋は銀座の隣のファッション街だが、ここ大阪だとかなり雰囲気がちがう。
東京の錦糸町のように、生活感と猥雑さが一体化したようなところだ。
途中、京阪シティモールから天満橋を眺めていると、御茶ノ水の神田川を
思い出してジンとくる。4日目にして少々ホーム(本郷)シックになる。
大阪の書店にはお笑い関係の書籍が多いかと勝手に思い込んでいたが、
そうでもなく、やはり売れ筋は全国共通のようだ。
四泊したホテルに愛着がわきはじめたところで、大阪を発つ。
明日から神戸・岡山をまわり、福岡まで足を伸ばす予定だ。


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