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高樹のぶ子のSIAブログ

2008年09月02日 / 『甘苦上海』

上海コンシェルジュ、インタビュー

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 芥川賞をはじめ、数々の文学賞を受賞している高樹のぶ子が、9月から日経新聞朝刊にて上海に生きる日本人女性を主人公にした小説「甘苦上海」を連載する。取材のため上海に滞在中の彼女にインタビューを試みた。


 「はっきりとした”明暗”と”落差”が面白いですね。」開口一番、上海の魅力を語ってくれた彼女。現在進行形の上海を文字にするために、小さな身体でアクティブに上海中を歩き回ったそうだ。


 そんな彼女の上海との出会いは90年代初頭。作家代表団として中国中をめぐった高樹は、当時の上海に現在の姿を予感した。「他の都市で人民服が主流だった時代に、ミニスカートを履いている女性もいて、開放的でした」。


 それから15年、上海はその予見通りに成長し、その間、高樹にとっても自身が主催する「アジアに浸る(Soaked In Asis)」をテーマにしたSIAプロジェクトなどで、たびたび訪れる街となった。


 「国際的な都市の姿と古い町並みのギャップ。石庫門にモダンレストランという内と外の矛盾。さらにそこに生きる人にも、地域格差、経済格差などがみられる。昔は『魔都』と呼ばれていたけれど、今の上海は、さまざまなものが新しいミックスアップを見せる『混』という字がぴったり」。


 一方で、上海には活気があり、欲望や向上心むき出しの街と語る。新しい小説は、高樹がかんじたそんな上海が舞台だ。


 「何もかもを手に入れた中年の女性が、挑戦として事業を展開する上海で、唯一手にしていない、本物の恋愛を年下の男に求める物語です」。小説に登場する地名は実名を心がけるという。「上海に住む読者にはなじみのある名前が毎回出てくる。主人公が食べるランチを、じゃあ週末は食べてみようかな、という楽しみ方もできますよね」。


 舞台を上海に設定したわけではなく、上海という都市から物語が生まれた。「上海だから、自己が解放され、欲望がむき出しになった状態が描ける。上海でないといけないんです」。


 何かを得るためには何かを捨てなければならない。そんな幸せの取捨選択を拒んで、何でもほしい!と思う欲張りな女性が日本で増えてきているという。上海という異国の地でこそ、あせりの中で貪欲にトライしていく女性主人公の姿がたくましくも見えるはずだ。
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コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )

« 泣いたひと コレラの時代の愛 »

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コメント
 
 
 
一年間 (崖 之萩)
2008-09-03 00:55:46
なんと深夜便がきっかけで、今日でこちらにお邪魔して、丸一年が経ちましたので何かコメントを。
小説家としてのこのような記事で嬉しく思います。
高樹さんに無理のないスタンスでのストーリー設定、作家も読者も愉しめそうな「甘苦上海」かも知れません。
作家に無理のないと云うことは、好いことなのかよく解りませんが・・・。(笑)

若いの男との本物の恋愛?
元来、女性の憧れの世界かも、僕も若い女との恋はいろんな意味で楽しいです。
ただキャリア女性「苦」、プライドをどう済うか大変でしょうね?
世の中いろんな愉快な男性がいますから大丈夫でしょう!?
勝手な思いを語ってしまいました。

九月の何日からの連載でしょうか、いえ、調べてみます。


 
 
 
欲張りな女性? (ビー玉)
2008-09-04 04:26:23
9月連載開始はまちがいないのですね。もうすぐ始まる!楽しみです。

年下の男性との恋愛?いいなぁ・・・。

「欲ばりな女性たち」というのは、TVドラマ「アラフォー」の副題でもありました。
でも、私、思うんです。現代を生きる日本の女性は、決して欲ばりなのではなく、当たり前の欲求を満たしているだけなのだと。過去に男性諸氏が満たしてきた複数の欲望や選択を、やっと女性も当たり前に満たすことのできる世の中がやってきたのだと思います。上海の女性は、どうなんでしょう?

20年ほど前、たまたま知り合いになった中国のTV記者の話を聞いて驚いたことがあります。当時の中国の女性が社会に進出している度合は、遥かに日本の上をいっていました。SIAの報告特番でも、上海では男性が働く女性のために料理をするのが当たり前だという話を放映していましたよね。

今回、芥川賞を受賞したヤン・イーさんの小説を読むと、同じ中国でも格差があるようで、悲しい人生を歩む女性の姿も描かれています。

新旧のギャュプと矛盾、高樹先生が「混」の一字で表わされた現在の上海に生きる女性の人生の混沌について、日本女性との対比のなかで書いて頂ければなぁと思います。
 
 
 
「木陰の呟き」と海難とその後 (崖 之萩)
2008-09-04 12:11:28
ファンサイトの揺籃の樹の「木陰の呟き」を拝見しましたら、連載開始は十月にズレ込みそうなんですね。

ついでに「木陰の呟き」のアーカイブを始めから拝見、高樹さんの感性や性格なども把握できました。
もっと前に読んでおけば良かったと・・しかし携帯でのアーカイブ閲覧は操作に難点があり、余り高樹のぶ子像が解りすぎてると長続きしないでしょうし。(笑)
いくらか始めの頃の呟きは、のびのびした語りで好みです。読むのに三時間も・・・。
それよると「甘苦」も高樹さんの自信のある造語とか・・。苦笑


高樹さんは台湾でダイビング中に、事故って溺れ死にそうになったそうですね?
救助してくれたのは画家の方達でしょうか?
僕は海で溺れる様な人は嫌いです!(苦笑)
理由は高二の夏休みに、偶然、死ぬような危険な思いをして、同級生を救助したことが有ります。
その光景とその顛末を話して措きましょう。
それは中学の同窓会(40人位)を、海水浴場でした時のことでした。
若い頃の習性で、先ず海に入ると沖に泳ぎだしたら、よく知らない友人が僕の数M後ろから、付いて来た感じがしてました。
真っ直ぐ百M近く泳ぎ、後ろを振り返ると海面に彼は居ません、付き合いのない奴だから、きっと直ぐに引き返したんだと思って、どんどん何時ものように疲れるまで、アベックのボートも来ない沖に泳ぎ出しました。
流れの早い沖で少し休んで岸に引き返し始め、ひと泳ぎして、また休んでたところ、海中に何か僅かに白い部分が見えるのでした。
はて?何だろうと目を凝らしても判りません。
恐る恐る潜っても手さえ届かず、充分休んで息を整え目を閉じ指先に神経を集中して潜ったら、ゴムの様な感触、これは人かも知れない!?
浮き上がると体力の限界状態で、運命に気が遠くなりそうでした。
とにかく休みながら、常に海中の見にくい僅かに白い影を追い、アベックのボートの確認をしたら遠く、声を上げ手を振っても反応無し。
とにかく姿を確認しようと思いっ切り深く潜行、目を開けると手をゆっくり動かすM君が・・・羊水の中の赤子のようで、苦しみを通り越してる表情。
海水には何か生存を可能にする成分が?
僕一人浮き上がり、思案、遠くのボートに声を上げようとしても、海辺育ちの通る声も、もう発声すらできない状態。
取り敢えず海面に引き揚げるしかない、彼の下に潜行し、下からヨイショを三度潜行を繰り返し、やっと海面に浮上させました。
僕は疲労困憊のため筋肉が酸欠、怪力だった握力は失せ、彼の顎を持ってられず、仕方ないので彼の顎を、後ろから僕の首に引っ掛けました。
そして彼の力のない腕を両肩に深く掛け、浦島太郎の亀状態に、漂いながら時々手だけを平泳ぎ、もちろん足は彼の身体が邪魔で使えません。
アベックのボートに向かっているうちに、彼も僕の肩に水を吐いたらしく蘇生したので、バタ足バタ・バタ・!!と指示。
二度くらい彼を肩から下ろし、海上をジャンプするが手も挙がらず、アベックは気付かない、三度目のジャンプと掠れ声で、やっとボートに異状を察知されました。
僕は発声が言葉に為らず、ボートに掴まる力も無くし、腕を肘までボートに掛けて砂浜に曳いて貰いました。

予期しない突然の地獄の体験でした。
砂浜に上がり彼は海に頭を向けて、腹ばいになっていたので、声を掛けたら病院に行く気も無く、それより自分が溺れ死にそうになったのを、プライドの為にひたすら隠したかったのでした。
彼は有難うも言わず、飲んだ海水を吐かせようとしたら、大丈夫、と言うので僕は水族館見学に・・恐らく身体の急激な負荷による、やはり精神的ショックでしょうか、その後の行動はぼ~っとして、クラスのどの女の子と遊んだのかよく覚えてませんね。(苦笑)
彼は同じ高校に進学してましたが、それからは屈辱感の為に何時も僕を避けてました。
でも内心、世話になったと思っていたらしく、その二年後、東京から帰省した超満員の急行「瀬戸号?」で偶然出会い、僕に座席を譲って敬意を表わしました。

しかし20年後に彼から電話が有りショックでした。
学会なんだが、そちらの地区の◯◯に投票を頼むよと・・・驚愕。
彼は非常に貧しい家庭でしたし、親から幼い頃か少し虐待気味にされ、背中には無数の大きなお灸(ヤイト)の痕跡が在りました。

あの壮絶な時間を思い出すと今は空虚になります。

このような経験から、青春の頃、人をまるごと助けると云うことは、恐らく何にしても大変な事で有り、またその結果も期待をしてはいけないのかな。

高樹さんの溺れた仮死体験?はどんな感じだったのか、小説で楽しみに、・・・あ、いえいえとても悲しく読みます!(笑)
この辺りは小説家の・・・?


 
 
 
新聞に性描写 (日経)
2008-10-16 16:07:36
日経新聞は家庭に配達され、子供が読みますので、性描写はやめてください。
 
 
 
Unknown (梅盈子)
2009-01-20 18:04:18
甘苦上海を毎日欠かさずに読んでおります。上海出身の私にとっては復興公園、烏魯木斉路等地名、場所が大変懐かしく思います。十代の頃そこで遭遇した文化革命の事を思い出すとまた切なくもなります。掲載を切り取ってしまってますが抜けた内容をネットでも読めますか?是非読めるようにお願いします。
 
 
 
梅盈子さま (Staff OHYA)
2009-01-21 09:30:24
梅盈子さま>

掲載後一週間はこちらのサイトで無料で読むことが出来ます。
http://bizex.goo.ne.jp/special/shanghai/

それ以前のものは有料ですがこちらで入手することができますよ。
http://bizex.goo.ne.jp/special/shanghai/backnumber.html
 
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