中国の都市交通事情:王鋭 (WANG Rui) のブログ

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・信号システム修理時の不正操作の原因か―中国高速鉄道事故

2011-07-27 00:57:32 | 5) 中国の高速鉄道
自分は鉄道専門ではないですが,個人的に以下のことを信じますから,この個人の場に個人の憶測に過ぎない推測を紹介させてください。

背景
・事故の車両は(中国語)動車組列車であり,在来線と高速鉄道新線併用型の列車
・事故の鉄道は,最高速度250km,主に客用の貨物兼用型の高速鉄道新線(いわゆる中国版“新幹線”の設計速度300km以上の旅客専用高速鉄道ではない,運賃も4割程度安い)
・このような新線高速鉄道と在来幹線には,CTCS-2という集中運行管理システムが整備された
・そのCTCS-2の一部として,ATPは完備(新幹線と言えば,ATC)

事故原因の分析
・今回の温州事故の直接の原因はATPシステムが機能していなかったということ
・後ろのA301次列車の車載ATPがずっと青表示ということは既に分かった。
・ATPシステムは軌道回路からの情報に基づいたシステムであること
・軌道回路や車載ATPは普通に故障したら,必ず赤或いは無表示になる(無人の自転車は必ず転倒と原理が一緒)
・ATP無表示=赤=自動停車

故障している信号システムが赤あるいは無表示ではなくずっと青い表示になる唯一可能な原因は
・信号システム,特に軌道回路の設備を,意図的に操作されたこと。配線のバイパスなど。

もう一つの事実
・当時の事故区間に確かに雷の影響で信号システムが調子が悪そうで(故障中?),温州南駅の作業員が確認・修理中だったらしい。

以上の分析で,
「信号システム修理時の不正操作の原因か―中国高速鉄道事故」という個人の憶測が成立しました。

 1949年中国国鉄が設立以来,死者人数2番目多い(自然災害を除いたら最悪),約14年前に発生した死者126人の栄家湾事故の原因はそうだったですが。

以下は余計なはなしかもしれない。

1980年代末といた事故多発期に発生した上海鉄道事故では沢山の日本人中高生の方を巻きこまれましたので,多くの日本人が中国鉄道=危険という印象を持っていますが,世界中に見ると,中国鉄道は決して特別危険なものではなかったです。中国鉄道はとにかく規模が大きい。主力の貨物輸送を別として,旅客輸送人キロは日本と,EU,米国といた先進国の合計値にもあまり負けないような超大規模である。これらを考慮したら,特に過去10年の安全記録は,他の途上国はもちろん先進国に比較しても,それほど悪くなかったと私が信じます。定時性も同時に大幅に改善されたらしい。多くの中国の国民は鉄道=安くて安全な交通機関というイメージを持っていたはず。

しかし,これらの実績と近年の鉄道大建設のせいか,鉄道部(鉄道省)の驕り高ぶりがいかに表面化されています。成熟した鉄道システムはお金で買えれるの技術設備だけになれないことを忘れましたね。調子に乗りすぎな。

被害者の方々のご冥福をお祈りします。本当に心が痛いです。


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