東京電力は福島第1原発の敷地内などで保管している使用済みの防護服や手袋などのごみを処理するため、
焼却炉2基を増設する計画を明らかにした。平成24年度後半に工事を始め、26年度中の稼働を目指す。
東京電力、「放射性物質の濃度を十分下げた上で、排気筒から外部に放出する」と、率直な表現である。環境省のように、「バグフィルターで99.9%捕集する」「排気からはだしません」と言われるより、正確な言い回しなのかもしれない。現状の、福島原発事故由来の放射性物質含む廃棄物を焼却している市町村焼却炉より、原発施設ででてくる低レベル放射性廃棄物を焼却するということは、放射能濃度がかなり高くなるということでもある。
MSN産経ニュース - 2012/08/15
東京電力は15日、福島第1原発の敷地内などで保管している使用済みの防護服や手袋などのごみを処理するため、焼却炉2基を増設する計画を明らかにした。平成24年度後半に工事を始め、26年度中の稼働を目指す。経済産業省原子力安全・保安院の専門家会議で説明した。…
7.2トン/日×2基とは、
原発施設での焼却炉としてはかなり大規模になる
従来の集中廃棄物処理建屋(高温焼却炉建屋)は、高濃度の放射性物質を含むたまり水に浸かっている。
たまり水の貯蔵及び処理の状況
(独)国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター
「放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料 第二版)平成24 年3 月26 日」より
実用発電原子炉の設置、運転等に関する規則(昭和53年通商産業省令第77号)
第15条第4号及び第7号により、放射性廃棄物の廃棄に当たり、排気又は排水中の放射性物質の濃度をできるだけ低下させるとともに、排気については排気口等、排水については排水口等において、放射性物質の濃度を監視することにより、周辺監視区域(※1)の外の空気中又は水中の放射性物質が次の濃度限度(※2)を超えないようにする。
(災害廃棄物安全評価検討会資料より)
一般廃棄物の焼却施設でも、放射性物質汚染対処特措法ができるまでは、上記の実用発電原子炉の設置、運転等に関する規則で、排ガス測定などの基準として運用していたが、特措法でも、そのまま同じ基準を適用している。
平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成23年法律第110号)
環境省「放射性物質汚染対処特措法」↓↓
法律、政令、省令、告示、通知、基本方針など
http://www.env.go.jp/jishin/rmp.html
放射性物質汚染対処特措法制定後は~
Q3.清掃工場から排出される放射性物質に基準値はないのですか
A3.平成24年1月1日に施行された放射性物質汚染対処特措法※1で基準値が示されています。
同法の規定では、焼却灰等の放射能濃度について定期的な測定が義務付けられています。測定の結果、放射性物質による汚染状態が一定の基準を超える焼却灰等(指定廃棄物)については通常の埋立処分はできず、特別な管理が必要となります。この指定廃棄物の指定基準として「放射性セシウムの合計が1kgあたり8,000Bqを超えるもの」と定められています。
また、清掃工場の排ガス、排水※2についても、放射能濃度の測定が義務付けられ、守るべき基準として次の濃度限度値※3が示されています。
(1) 排ガス セシウム134:20Bq/m3 、セシウム137:30Bq/m3
(2) 排水 セシウム134:60Bq/L 、セシウム137:90Bq/L
平成24年1月現在、当組合施設での排ガス測定結果はすべて検出下限値未満であり、排水測定結果は検出下限値未満か上記濃度限度を下回っています。
※1 「平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(平成23年法律第110号)
※2 同法で規定する排水は、河川や海などへの放流水を対象としており、下水道に放流している清掃工場には適用にならない。
※3 セシウム134とセシウム137の両方が検出された場合には、各放射性物質の濃度限度に対する割合の和が1以下でなければならない。
(例) 排ガスにセシウム134が4Bq/ m3、セシウム137が9Bq/m3検出された場合、次のように計算する。
(4/20+9/30) = (0.2+0.3) = 0.5 < 1
(東京二十三区清掃一部事務組合「放射線量等についてよくいただく質問と回答」より抜粋)
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