東京23区のごみ問題を考える

脱焼却の循環型ごみ処理システムは可能か!!
~ごみ問題のスクラップブックとして~

千葉県横芝光町のPCB処理施設問題、(株)セオリーの実証試験とは~

2012年06月01日 16時08分54秒 |  PCB/DXN類など

廃棄物処理法新処理基準に基づくPCB処理技術ガイドブック (単行本)
産業廃棄物処理事業振興財団 (編集) 出版社: ぎょうせい 改訂版 (2005/8/1)
内容(「BOOK」データベースより)
本書は、PCB等処理技術調査検討委員会において評価された最新の処理技術や関連情報が取りまとめられているとともに、都道府県等が処理施設の審査を行う際の留意事項や事業者が配慮すべき事項も整理されているものです。

「PCB処理技術ガイドブック」、新しくなっているかどうか、ネットで調べていたら、なんと、2005年の改定版(定価5000円)が、アマゾンで在庫なしで、プレミアついて中古で¥12,691よりとなっていた~ほぼ新品は¥14,000  驚いた!!  でも、我がBOOKは、マーカーと付箋だらけでとても高値はつきそうにない。もちろん手放さないけど~

調べたかったのは、(株)セオリー(千葉県芝光町)のPCB処理技術(光触媒・PCB剥離選別)が、国の技術認定を受けたものであるかどうかの確認。ガイドブックとしては、2005年以降、改定版、増補版がでている様子はなかったが、その後、技術認定を受けいている可能性もあるし、今回の実証試験がそれなのかどうかもわからない~



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TBS 噂の東京マガジンでも「住民の不安と怒り!住宅地に毒物処理施設が!」(2012年4月29日放送)と、横芝光町のPCB処理施設問題は取り上げられたようだ。
国も、県も、保管事業者も、だれもがPCB廃棄物の早急な処理を願い、処理体制の拡充を図っているところではあろうが、しかし、ある日突然、自分の地域でPCB廃棄物処理の実証試験、許可を受ければ事業をおこなうといわれれば、それはそれで反対運動になるというのも十分に理解できる。

地域の実情も、行われる実証試験の内容も、具体的にはなにもわかっていないのだが、当の、(株)セオリーのホームページから気になった部分を整理してみた。


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先ずは、わが国の
《PCB処理の体制や現状》


■PCB廃棄物の処理体制

※環境省「PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」資料より

■廃棄物処理法に基づく無害化処理認定施設
大臣認定

環境省「廃棄物処理法に基づく無害化処理認定施設について」より

都道府県知事等の許可

環境省「廃棄物処理法に基づく無害化処理認定施設について」より
※平成24年2月末までに全国14ヵ所の産業廃棄物処理施設で合計30回の実証試験が実施されている。6月にも1ヵ所実証試験。

■廃棄物処理法に基づくPCB処理技術一覧(2005年4月現在)

拡大:PDFファイル
光分解処理は3技術あるがセオリーの方式とは異なる。
(紫外線分解・生物処理法、紫外線分解・蒸留分離法、紫外線/触媒分解法)


参考
■微量PCB混入廃電気機器等の焼却実証試験実施状況一覧
http://homepage2.nifty.com/koshi-net/sub/pcb/sonota/teinoudopcb.htm#syoukyakusiken

■化学処理技術によるPCB自家処理の実例 (2005/4/4現在)
PCB処理技術ガイドブック(改訂版)より
http://homepage2.nifty.com/koshi-net/sub/pcb/gijyutu/bid2.htm

■PCB廃棄物処理技術動向(2004/3/14現在)
PCB廃棄物処理施設は処理済、処理中、計画中を合わせて日本国内に約30個所
http://homepage2.nifty.com/koshi-net/sub/pcb/guidebook/guidebook6.htm

■技術の評価方法及び評価済み技術について>
(財団法人産業廃棄物処理事業振興財団)JESCOのHP
http://www.jesconet.co.jp/business/pcb_technology/pdf/PCB_shori.pdf


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《(株)セオリーのホームページに掲載されていること》
http://www.theory-co.jp
気になった部分を抜粋(下線、青字は渡辺コメント)

What's New
2011/12/27 PCB処理実証試験が千葉県にて承認されました。
2011/09/14 PCB処理試験の審議会が千葉県にて行われました。←県のHPで公開なし

■PCBの処理
 ポリ塩化ビフェニル廃棄物を委託処理する方法は、廃棄物に含まれる絶縁油のPCB濃度や廃棄物の種類によって異なる。具体的な委託処理方法は次のとおりである。
(省略)
■PCBを高濃度で含む場合
 高濃度=(コンデンサで100%、トランスで50~60%)日本環境安全事業株式会社で委託処理できる。しかし、次の3点は例外で処理できない。
1.トランス・コンデンサの内、10kg未満の小型のもの
2.安定器等の小型の電気機器が廃棄物となったもの
3.感圧複写紙、ウエス、汚泥、ビニール、プラスティック等のPCB廃棄物

※セオリーHPでは「例外で処理できない」としているが、JESCO北九州で処理中。JESCO北海道でも平成24年7月より登録開始。民間事業者による、PCB汚染物の焼却処理も実証試験は数社実施、大臣認定を受けた施設もあり。

■PCBを微量(0.5mg/kgを越える濃度)に含む場合、及び上記3つの例外
 国で処理方法、処理体制等を検討中で事業者等は保管を続けなければならない。また、日本環境安全事業で処分するには機器登録(予約)しなければならない。というのが現状ですが、弊社にて現在、許可申請準備中です!

許可後これらの微量PCB汚染物は弊社にて処理可能の予定です。許可取得の際はホームページにて受け入れ態勢等を公開いたしますので、今しばらくお待ちください。

■PCB処理システム
微量PCB汚染物 処理のご案内
光触媒剥離液による画期的な抜油 抜油剥離選別
 剥離選別システムフロー(省略)
 剥離メカニズム(省略)
 液剤比較
  従来の技術として有機溶剤によるPCBの分解技術が一般的でした。
  JESCOや各電力会社で行われている方法は有機溶剤によるPCBの無害化処理です。
  しかし、従来の方法では、コストや環境負荷が大きなマイナス要因です。
  当社が使用する技術は、光触媒による画期的な抜油剥離選別システムです。
 PCB処理の現状(省略)


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《疑問点など整理すると~》

国のPCB処理技術の認定は必要ないのか
都道府県による処分業許可だけでいいのか、それともすでに認定済みなのか、
PCB焼却処理の場合は、都道府県の許可だけでも可能となっている。しかし、化学処理・光分解によるPCB汚染物の処理、抜油剥離選別、光分解により洗浄液の再利用、洗浄で金属容器の再利用などとなると、国の技術認定が必要なのではないか、

事業としての必要性
国や県や事業者は、処理体制の拡充に力を入れているのであろう。全国各地で、未処理のPCB廃棄物は今なお保管され続けているのである。不法投棄や不適正排出の例は後を絶たず、災害時のPCB廃棄物の紛失も危惧される。東日本大震災でもPCB廃棄物(トランス・コンデンサ)が大量に流出している。
高濃度PCBの無害化処理は全国5ヵ所で実施中。一方で、微量PCB、PCB汚染物の焼却による実証試験(絶縁油のみ、容器ごと焼却、汚染物焼却など)も全国各地で実施中。認定施設や許可施設も徐々に増えてきて、微量PCBの焼却処理は始まってはいるが、この先の見通しは不透明である。
東京都内でも、大臣認定を受けた施設で、微量PCBの焼却処理は開始されたが、絶縁油のみの処理施設のため、東京電力以外の保管事業者は、抜油後の容器の処理体制がないために処理は一向に捗らず。(東京電力分はTEPCO川崎 リサイクルセンターで容器処理)
しかし、容器の洗浄処理に関しては、課電自然循環洗浄法などが認められると、一挙両得となり、洗浄施設の事業としての必要はかなり薄らぐ~

安全性は~
市民サイドでは、専門的な知識がないと、焼却処理にしろ、化学分解処理にしろ、その技術の安全性など評価できない。そのためにも、国の「技術評価」「技術認定」は最低限の安全評価の指標・目安となるものである。(国の評価システム
しかし、いかに「技術認定」を受けた処理技術であれ、それが操業の安全性や事業の堅実性を保障するものではない。
JESCO東京事業の安定器の処理は、結局、「水熱酸化分解」ではうまくいかずに受入停止となってしまった。「東京事業所における安定器処理の方針について」 施設の安全対策も、多重の地下浸透防止対策、多重の排気対策、緊急時対策等々となってはいるが、それでも、事故やトラブルおきるときはおきる。
半田市の日本車輌では、PCB分解処理方式「気相水素還元法」による本格操業をおこなうまえに、もろもろの不手際や事故でPCB処理事業撤退となってしまった。「気相水素還元法」実用化の証明もできなかったのである。「技術認定」された技術であれ、うまくいくかどうかは、事業をやってみなければわからないのである。それでも、いわゆる専門家のお墨付きである「技術評価」を実施して、試験工程、試験結果、環境への影響、評価は公表してもらわねばならない。

採算性は~
「液剤比較」のなかで、有機溶剤による処理は、環境負荷やコスト面でマイナス要因としているが、焼却処理と比較するとどうなのか。JESCOの北九州や北海道のようなプラズマ溶融(JESCO処理料金)であれば、それなりのコストも高くつきそうだが、通常の焼却施設での焼却処理と比べればかなりコストは高くつくのではないだろうか。
現状では、焼却処理の認可施設は、絶縁油のみの処理が4事業者、コンデンサや機器ごとなどが2事業者、ドラム缶や抜油後の機器容器の焼却処理が1事業者(岡山県の許可)ということで、微量に限らずPCB汚染物の焼却実証試験は次々行われている。

化学分解と焼却処理~
「光触媒でPCBを洗浄」という技術は、(株)エコプライズ(名古屋)で実用化されたもののようである。その応用になるのがセオリーのPCB剥離選別の実証試験となるようだ。
JESCO東京事業の、MHI化洗法(三菱重工)は洗浄液に、NS-100、NaOH、IPAの有機溶剤を使用する。粗洗浄、中間処理、仕上げ洗浄と、きめられた洗浄工程を繰り返しての卒業判定。それら有機溶剤をいっさい使用せずに、光触媒反応を利用した剥離選別処理というと、画期的な技術とも思える。しかし、所詮は、素人がその善し悪しをいえる立場ではないし~
化学分解による無害化処理の大変さをみているだけに、せめて、微量や汚染物は焼却処理でいいだろうともおもう素人の浅はかさもある。それでも、北九州や北海道のように、プラズマ溶融施は近くにほしくはない。
民間事業者でのPCB焼却処理も、PCB焼却に関しては問題ないにしても、情報の公開や、処理施設の安全性などみえない部分が多すぎる。しかし、いちいち、抜油して、その容器を洗浄しての工程を繰り返すより、容器ごと焼却するというのもなんと簡単なことだろうともおもう。
ということで、やはり、素人には、新しい技術に期待はすれど、期待と不安は同程度でもある。化学分解と焼却処理も、同じように、メリット・デメリットはあることだし。
しかし、それにしても、国を挙げて、PCB廃絶に向けて様々な処理促進策を行わねばならないときに、微量PCBに関しては、結局は民間事業者の自主的な営業活動を待つだけではこの先どうなることやらでもある。微量、低濃度PCB汚染物の実証試験は、研究費補助金もでているようだが、化学分解ではそういう支援はないのだろう。なにしろ、安価に、迅速にが根底にあるだろうから、いまさら化学分解よりは焼却処理なのか?
「PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」のとりまとめは6月末頃にはでそうだが、ほんとうにそれですべてのPCBが処理出来るのだろうか~

ということで~
全くまとめにもならないが、考えれば考えるほど、何がいいのかわるいのかもよくわからない。事業の必要性はあれど、安全な事業であることは大前提であり、そして、先ずは、地域の理解があってこそである。ましてや、横芝光町、微量PCBであれ、町を挙げての反対運動、となると、理解をしてもらうのも並大抵の苦労ではないだろう。何事も、この手の処理施設、強引に押し切ってうまくいった試しはない。
市民サイドからみると、情報がないこと、情報が少ないことが最大の不安・不信、そして胡散臭いと、疑惑、反対につながってしまうことが多い。事業者は、徹底した情報の公開と、繰り返していねいな説明をしたうえで、住民の理解を得ることしかこの問題は解決しないのではないか。

思いつくままにダラダラと書き連ねてしまったが、
とりあえず~、



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参考
■事業化許可要件で質問も PCBで県が住民説明 横芝光(千葉日報 2012/06/04)
■横芝光町PCB問題の住民の不安と怒り!住宅地に毒物処理施設が!(噂の東京マガジン2012年4月29日放送)
■「PCB、全町で反対」 佐藤町長が初登庁 投票率過去最低 横芝光町長選(千葉日報 2012/03/27)
■合併2町の狭間で苦悩? PCB施設めぐり紛糾も 横芝光町長、突然の自殺(‎千葉日報 2012/02/20)
■横芝光でPCB洗浄研究 16日、町議や町幹部に説明会(千葉日報 ‎2012/02/11)


千葉日報の記事はいつもキャッチしていたが、町長さんのご不幸や、それにともなう選挙、新しい町長さん、大々的な反対運動となると、、、手続き上の問題や、どうも選挙や政治が絡むのも嫌だし、、おもっくるしいおもいもあって、気にはなっていたが、いままで当たらず障らずできたのだが~ 新聞記事や、ネット上での情報を読む限りでは、町を挙げての反対運動、それも、拒絶反応のようにもおもえるので、微量PCBということを踏まえて、具体的な事業内容を検証した上での安全性の危惧というようなものでもないように思えるので、そこが残念である。

先月、江東区内で、「近所の事業所敷地内に、トランスなどが野積みにされている。PCBは大丈夫なのか?」と、心配している人がいると人づてに聞いて、さっそくGoogleマップで調べてみると、なんと、ストリートビューでしっかり確認できるほどにびっしり中庭に並べて置かれていた。(実際には、一部、PCBが含まれているもの、すでに抜油済みのものもありということで、すべてがPCBを含む機器ではなかったのだが。)そんなことがあったので、今の都内の微量PCBを含む~機器の保管の状況、処理の状況、抜油後の容器の処理体制がないことなど、いろいろ現状を再認識していたところである。だからといって、抜油後の容器処理施設の必要性は理解していても、それが江東区内にできてほしいとは願わない。つい先日も、いろんなアンテナを張り巡らせているときに、~「TEPCO川崎リサイクルセンター」へ視察の話があると耳にして、「また、今度は、江東区に容器の処理施設もつくるのではないか?」と、疑心暗鬼になって、あちこちに、けん制兼ねて、電話をかけまくって、そんな話しは根も葉もない私の妄想であることを確認したところ。やはり、PCB廃絶に向けての施設とはいえ、迷惑施設という位置づけは私の頭の中でも簡単には切り替わらない。きれい事ばかりではものごと割り切れないのも現実である。

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